16.天井裏から来るアイツ
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自室に戻った空はひとまず安心した。
部屋を細かくチェックしても、毒ヘビの姿は見つけられなかったからだ。
(よかった……)
きっと毒ヘビは今頃外を徘徊している。
屋内の自分の部屋に毒ヘビなんて現れないだろう。
そう思った空は掃除に取り掛かることにした。
部屋中を箒で掃いて、床や棚を拭き、文机の引き出しの中を整理した。
普段から掃除の習慣がついているので、それほど時間はかからない。
ようやくすべての掃除が終わった。
そう実感した瞬間、急に身体が重く感じる。
全身に疲労感を感じていた。
思えば、今日は朝からずっと掃除しかしていなかった。
空は部屋の壁にもたれて、少し休むことにした。
近くにあった自前のひざ掛けにさっと包まって、ぼーっと休んでいると、次第にうつらうつらと眠気を催してきた。
空が眠りに落ちてから、すぐのこと。
ニョロニョロ……
教職員長屋の天井裏を、一匹の動物が這いずり回っている。
四肢のない、細長いロープのような身体をくねらせながら、地を進んでいく。
ヘビだ。
さらに正確に分類すれば、銭形模様を有するそのヘビはマムシである。
このマムシこそが生物委員会の探している毒へビ――ジュンコであった。
ジュンコは散歩を楽しんでいた。
せっかく初登場のジュンコなので、ジュンコの心の声に耳を傾けてみよう。
ジュンコの思っていることはこうだった。
(ああ、やっぱり檻の中にいるより、外の新鮮な空気は美味しいわねぇ)
(孫兵さん、溺愛してくれるのは嬉しいんだけど、女はあんまりお姫様扱いされると、物足りなくなっちゃうのよねぇ……)
(もうしばらくお散歩して、孫兵さんをヤキモキさせようっと)
中々の小悪魔っぷりであった。
そんなジュンコが、ある部屋で動きを止める。
空の部屋だった。
(あら!こっちの長屋に女の子がいるの、珍しいじゃない!)
天井裏から空を見て、ジュンコは宝箱でも見つけたようにキラキラと目を輝かせている。
そのまま壁伝いに降りてきて、眠っている空をまじまじと凝視した。
品定めをしている。
(綺麗なお顔してるし、お肌のツヤはいいし、もちもちして柔らかそう……)
(ごつごつと逞しい男の人肌もいいけど、女の人肌もまた、あの柔らかさがたまらないのよねぇ)
どうもジュンコは人間のオスメス両方イケる口らしい。
完全に空のことを気に入ったようである。
空にロックオンしたジュンコは空の首にシュルっと巻き付いた。
それまで気持ちよさそうに眠っていた空だが、急に息苦しさを感じだした。
妙な圧迫感を顔や首に感じたのだ。
(や、やけに首から上がキツい……)
何か変だ、と次第に意識が戻ってきた空は、首に巻かれているものに手を置いた。
ツルッと滑らかな手触りだが硬い。
まるで、動物の鱗のようだ。
何らかの爬虫類……とそこまで考えを発展させた空は重大な事実を思い出した。
今、忍術学園内で毒ヘビが徘徊中だったはず――
まさか。
それまで半開きだった空の両眼が一気に見開いた。
間髪入れず、視界に飛び込んできたのは……苦手とする爬虫類、ヘビの顔だった。
「あっ、あ……」
恐怖で心臓が止まりそうだった。
ジュンコはというと、ターゲットの寝覚めを待ちかねていたようで、さらにぎゅっと巻きついていく。
(やっと目が覚めたのね。寝顔も可愛かったけど、起きた顔は一層可愛いわ!)
感激したジュンコは口から長い舌を出して空の頬をペロリと舐める。
このジュンコの愛情表現に、全身が総毛立った。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
猛烈な嫌悪感から、声帯が壊れるほどの悲鳴を上げた空は、咄嗟に部屋を飛び出した。
部屋を細かくチェックしても、毒ヘビの姿は見つけられなかったからだ。
(よかった……)
きっと毒ヘビは今頃外を徘徊している。
屋内の自分の部屋に毒ヘビなんて現れないだろう。
そう思った空は掃除に取り掛かることにした。
部屋中を箒で掃いて、床や棚を拭き、文机の引き出しの中を整理した。
普段から掃除の習慣がついているので、それほど時間はかからない。
ようやくすべての掃除が終わった。
そう実感した瞬間、急に身体が重く感じる。
全身に疲労感を感じていた。
思えば、今日は朝からずっと掃除しかしていなかった。
空は部屋の壁にもたれて、少し休むことにした。
近くにあった自前のひざ掛けにさっと包まって、ぼーっと休んでいると、次第にうつらうつらと眠気を催してきた。
空が眠りに落ちてから、すぐのこと。
ニョロニョロ……
教職員長屋の天井裏を、一匹の動物が這いずり回っている。
四肢のない、細長いロープのような身体をくねらせながら、地を進んでいく。
ヘビだ。
さらに正確に分類すれば、銭形模様を有するそのヘビはマムシである。
このマムシこそが生物委員会の探している毒へビ――ジュンコであった。
ジュンコは散歩を楽しんでいた。
せっかく初登場のジュンコなので、ジュンコの心の声に耳を傾けてみよう。
ジュンコの思っていることはこうだった。
(ああ、やっぱり檻の中にいるより、外の新鮮な空気は美味しいわねぇ)
(孫兵さん、溺愛してくれるのは嬉しいんだけど、女はあんまりお姫様扱いされると、物足りなくなっちゃうのよねぇ……)
(もうしばらくお散歩して、孫兵さんをヤキモキさせようっと)
中々の小悪魔っぷりであった。
そんなジュンコが、ある部屋で動きを止める。
空の部屋だった。
(あら!こっちの長屋に女の子がいるの、珍しいじゃない!)
天井裏から空を見て、ジュンコは宝箱でも見つけたようにキラキラと目を輝かせている。
そのまま壁伝いに降りてきて、眠っている空をまじまじと凝視した。
品定めをしている。
(綺麗なお顔してるし、お肌のツヤはいいし、もちもちして柔らかそう……)
(ごつごつと逞しい男の人肌もいいけど、女の人肌もまた、あの柔らかさがたまらないのよねぇ)
どうもジュンコは人間のオスメス両方イケる口らしい。
完全に空のことを気に入ったようである。
空にロックオンしたジュンコは空の首にシュルっと巻き付いた。
それまで気持ちよさそうに眠っていた空だが、急に息苦しさを感じだした。
妙な圧迫感を顔や首に感じたのだ。
(や、やけに首から上がキツい……)
何か変だ、と次第に意識が戻ってきた空は、首に巻かれているものに手を置いた。
ツルッと滑らかな手触りだが硬い。
まるで、動物の鱗のようだ。
何らかの爬虫類……とそこまで考えを発展させた空は重大な事実を思い出した。
今、忍術学園内で毒ヘビが徘徊中だったはず――
まさか。
それまで半開きだった空の両眼が一気に見開いた。
間髪入れず、視界に飛び込んできたのは……苦手とする爬虫類、ヘビの顔だった。
「あっ、あ……」
恐怖で心臓が止まりそうだった。
ジュンコはというと、ターゲットの寝覚めを待ちかねていたようで、さらにぎゅっと巻きついていく。
(やっと目が覚めたのね。寝顔も可愛かったけど、起きた顔は一層可愛いわ!)
感激したジュンコは口から長い舌を出して空の頬をペロリと舐める。
このジュンコの愛情表現に、全身が総毛立った。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
猛烈な嫌悪感から、声帯が壊れるほどの悲鳴を上げた空は、咄嗟に部屋を飛び出した。