16.天井裏から来るアイツ
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それぞれの思惑が飛び交う中、忍術学園は今年最後の開校日を迎えていた。
明日から冬休みに入る忍術学園では、最終日の今日、先生と生徒総出で大掃除をするのが恒例となっている。
空は今、食堂のおばちゃんと一緒に食堂全体を掃除している。
すると突然、二人の前にとある人物が姿を現した。
「あら、利吉君!」
食堂のおばちゃんが嬉しそうに訪問者の名を呼ぶ。
山田利吉。
凛々しく、見目が良い、新進気鋭のフリーの売れっ子忍者。
そして、一年は組の実技担当教師、ベテラン忍者の山田伝蔵の息子である。
利吉は二人のもとまで歩み寄り、軽く一礼した。
「食堂のおばちゃん、空さん、ご無沙汰しています」
「利吉君、こんにちは。今お茶用意するから待ってて」
「ああ、お茶なら大丈夫です。これから父上のところへ行って、大掃除の手伝いしますから」
利吉はそう言って、じゃ、と軽く手を挙げる。
去り際に、ふと空と目が合う。
次の瞬間、利吉は大きく片瞬き を決める。
利吉ほどの美形が放つ片瞬きには、世の女性たちに絶大な効果がある。
空もご多分に漏れず、心臓の音がうるさいのだが、もっと興奮している人が近くにいた。
食堂のおばちゃんだ。
どうやら、食堂のおばちゃんは利吉の片瞬きは自分に向けられたものだと勘違いしてしまったらしい。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと、空ちゃん今の見た?」
「え、ええ」
「ああ……利吉君ったら、来るたびにいい男に成長して、素敵よねぇ!」
「そ、そうですね」
「利吉君、年末は必ず立ち寄って山田先生と一緒に帰省するのよ。ホント、親孝行な息子だこと!」
利吉を大絶賛するご機嫌なおばちゃんの傍ら、空は不意に思い出していた。
おばちゃんのお使いで二人で町へ外出したときのことを。
その際、利吉に手を取られた空は、手の甲に接吻 を落とされた。
(あ……)
利吉の唇の感触を思い出して、身体が熱くなる。
無意識に、唇が触れた箇所をもう片方の手でおさえていた。
(なんか最近ドキドキすることが多いな……)
今、空の脳裏には、自分の心をかき乱す人物たちの顔が浮かんでいる。
半助と利吉。
ぼーっとした顔で呆ける空だが、今は掃除中だと自分を叱咤する。
思い描いた人物たちを振り払うように、掃除に集中した。
明日から冬休みに入る忍術学園では、最終日の今日、先生と生徒総出で大掃除をするのが恒例となっている。
空は今、食堂のおばちゃんと一緒に食堂全体を掃除している。
すると突然、二人の前にとある人物が姿を現した。
「あら、利吉君!」
食堂のおばちゃんが嬉しそうに訪問者の名を呼ぶ。
山田利吉。
凛々しく、見目が良い、新進気鋭のフリーの売れっ子忍者。
そして、一年は組の実技担当教師、ベテラン忍者の山田伝蔵の息子である。
利吉は二人のもとまで歩み寄り、軽く一礼した。
「食堂のおばちゃん、空さん、ご無沙汰しています」
「利吉君、こんにちは。今お茶用意するから待ってて」
「ああ、お茶なら大丈夫です。これから父上のところへ行って、大掃除の手伝いしますから」
利吉はそう言って、じゃ、と軽く手を挙げる。
去り際に、ふと空と目が合う。
次の瞬間、利吉は大きく
利吉ほどの美形が放つ片瞬きには、世の女性たちに絶大な効果がある。
空もご多分に漏れず、心臓の音がうるさいのだが、もっと興奮している人が近くにいた。
食堂のおばちゃんだ。
どうやら、食堂のおばちゃんは利吉の片瞬きは自分に向けられたものだと勘違いしてしまったらしい。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと、空ちゃん今の見た?」
「え、ええ」
「ああ……利吉君ったら、来るたびにいい男に成長して、素敵よねぇ!」
「そ、そうですね」
「利吉君、年末は必ず立ち寄って山田先生と一緒に帰省するのよ。ホント、親孝行な息子だこと!」
利吉を大絶賛するご機嫌なおばちゃんの傍ら、空は不意に思い出していた。
おばちゃんのお使いで二人で町へ外出したときのことを。
その際、利吉に手を取られた空は、手の甲に
(あ……)
利吉の唇の感触を思い出して、身体が熱くなる。
無意識に、唇が触れた箇所をもう片方の手でおさえていた。
(なんか最近ドキドキすることが多いな……)
今、空の脳裏には、自分の心をかき乱す人物たちの顔が浮かんでいる。
半助と利吉。
ぼーっとした顔で呆ける空だが、今は掃除中だと自分を叱咤する。
思い描いた人物たちを振り払うように、掃除に集中した。