34.新たなる一歩
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乱太郎たち三人と別れた半助と空は真っ先に学園長の庵へと向かった。
午後の授業が終わった後に帰還し、丸一日無断欠勤となってしまったことを謝罪し、処罰を受けるためだ。
「おお。土井先生に空ちゃん、やっと帰ってきたか!」
「ヘムゥ」
学園長は半助たちを見やり喜んだのも束の間、すぐ将棋盤に視線を戻した。
半助は重々しい様子で平伏する。
「学園長先生、この度は……私事で欠勤してしまったこと誠に申し訳ありませんでした」
「私も……申し訳ありませんでした」
空も半助に続き、頭を下げた。
だが、学園長は全く意に介さずヘムヘムと将棋を続けている。
「それよりも、変な噂の方は無事解決したんじゃな?」
「はい。無事に犯人をつきとめることができました」
「ふぉふぉふぉ。それなら良い。それより……」
「ん?」
学園長は空を一瞥する。
あることに気づくと、学園長はニヤリと笑った。
「その感じだと、ワシらの有り金全部巻き上げられずに済みそうじゃの」
「ヘムゥ!」
「はぁ?」
不思議そうに見つめる半助と空に、学園長が慌てて両手を振って誤魔化した。
「なんでもない、こっちのこと。こっちのこと。それよりなんじゃ?そんな重苦しい雰囲気を漂わせて」
学園長がめんどくさそうに問う。
半助は気を引き締め、もう一度頭を下げた。
「学園長……今回の処罰の件ですが、空君だけはお咎めなしにして頂きたく……すべて私のせいです」
「処罰?何でじゃ?」
「いや、だって、その……欠勤して皆に迷惑をかけましたし……」
「バッカもん、何を言うか!身に降りかかった火の粉を振り払うのは当然じゃ。ワシからの処罰なんて、一切ないぞ!強いて言うならば、半助も、空ちゃんも迷惑をかけた関係者にそれぞれ謝罪しておくように」
「学園長……」
「以上じゃ。ワシはヘムヘムと真剣勝負中で忙しいんじゃ」
「ヘムゥ」
「ああ!ヘムヘム、その手は待ってくれんかのう!この通りじゃ……!」
学園長とヘムヘムは半助たちの存在を無視して将棋に没頭する。
半助と空は顔を見合わせて微笑むと、静かに庵を後にした。
***
というわけで二人は早速各関係者のところへ謝罪しに行くことにした。
半助と別れた空は、小袖から制服へ着替えると真っ先に食堂へと向かった。
「食堂のおばちゃん!シナ先生!」
「空ちゃん(さん)!」
おばちゃんとシナの声が重なる。
空は小走りで二人の元に寄った。
「おばちゃん、今日はご迷惑おかけして申し訳ありません……。シナ先生も私の代わりに手伝ってくれたと聞いて……」
「空ちゃん、全然気にしないで。それより、噂の方は解決したのね」
「はい。町に着いたら、すぐ犯人を捕まえることができました」
空は食堂のおばちゃんに意気揚々に報告する。
そんな空に対し、悪戯っぽい笑みをつくってシナが口を挟んだ。
「あらぁ。早く解決したのに、こんな時間までゆっくりしていたんだ。町で土井先生と一体、何をしてたのかしら?」
「そ、それは……」
空は汗ダラダラのタジタジ状態になる。
動揺しているのが一目瞭然だった。
その反応を見て、おばちゃんとシナはしてやったりの表情で目を合わせた。
「シナ先生、どうやら私たちは賭けに完全勝利したようね」
「ええ」
「ん?賭け?どういうことですか?」
「うふふふふ……何でもないの!それより、空さんにはこれが必要ね。しばらく貸しておくから」
シナはそう言って、自分のスカーフを取ると空の首元に巻き付けた。
「えっ……?」
「流石にそれは人目に晒さないほうがいいわよ。くノ一の子や上級生の忍たまたちが見たら大騒ぎするだろうから」
この一言で空ははたと気づく。
ここで食堂のおばちゃんが無言でスカーフを肌蹴させ、自前の手鏡をあらわになった首元にかざした。
その手鏡の中に映りこんだのは……半助につけられた鬱血痕だ。
(き、気づかなかった……!!)
「半助ぇ……昨夜は随分とお楽しみだったみたいねぇ」
おばちゃんの目が妖しく光る。
「空さん、今度私の部屋でじっくりと聞かせてもらうから。とりあえずおめでとう」
半助と寝たことを知られた。
現在、空は失神しそうなほどの羞恥に襲われている。
首筋まで真っ赤にした空を見て、おばちゃんとシナはくすくすと笑い合っていた。
午後の授業が終わった後に帰還し、丸一日無断欠勤となってしまったことを謝罪し、処罰を受けるためだ。
「おお。土井先生に空ちゃん、やっと帰ってきたか!」
「ヘムゥ」
学園長は半助たちを見やり喜んだのも束の間、すぐ将棋盤に視線を戻した。
半助は重々しい様子で平伏する。
「学園長先生、この度は……私事で欠勤してしまったこと誠に申し訳ありませんでした」
「私も……申し訳ありませんでした」
空も半助に続き、頭を下げた。
だが、学園長は全く意に介さずヘムヘムと将棋を続けている。
「それよりも、変な噂の方は無事解決したんじゃな?」
「はい。無事に犯人をつきとめることができました」
「ふぉふぉふぉ。それなら良い。それより……」
「ん?」
学園長は空を一瞥する。
あることに気づくと、学園長はニヤリと笑った。
「その感じだと、ワシらの有り金全部巻き上げられずに済みそうじゃの」
「ヘムゥ!」
「はぁ?」
不思議そうに見つめる半助と空に、学園長が慌てて両手を振って誤魔化した。
「なんでもない、こっちのこと。こっちのこと。それよりなんじゃ?そんな重苦しい雰囲気を漂わせて」
学園長がめんどくさそうに問う。
半助は気を引き締め、もう一度頭を下げた。
「学園長……今回の処罰の件ですが、空君だけはお咎めなしにして頂きたく……すべて私のせいです」
「処罰?何でじゃ?」
「いや、だって、その……欠勤して皆に迷惑をかけましたし……」
「バッカもん、何を言うか!身に降りかかった火の粉を振り払うのは当然じゃ。ワシからの処罰なんて、一切ないぞ!強いて言うならば、半助も、空ちゃんも迷惑をかけた関係者にそれぞれ謝罪しておくように」
「学園長……」
「以上じゃ。ワシはヘムヘムと真剣勝負中で忙しいんじゃ」
「ヘムゥ」
「ああ!ヘムヘム、その手は待ってくれんかのう!この通りじゃ……!」
学園長とヘムヘムは半助たちの存在を無視して将棋に没頭する。
半助と空は顔を見合わせて微笑むと、静かに庵を後にした。
***
というわけで二人は早速各関係者のところへ謝罪しに行くことにした。
半助と別れた空は、小袖から制服へ着替えると真っ先に食堂へと向かった。
「食堂のおばちゃん!シナ先生!」
「空ちゃん(さん)!」
おばちゃんとシナの声が重なる。
空は小走りで二人の元に寄った。
「おばちゃん、今日はご迷惑おかけして申し訳ありません……。シナ先生も私の代わりに手伝ってくれたと聞いて……」
「空ちゃん、全然気にしないで。それより、噂の方は解決したのね」
「はい。町に着いたら、すぐ犯人を捕まえることができました」
空は食堂のおばちゃんに意気揚々に報告する。
そんな空に対し、悪戯っぽい笑みをつくってシナが口を挟んだ。
「あらぁ。早く解決したのに、こんな時間までゆっくりしていたんだ。町で土井先生と一体、何をしてたのかしら?」
「そ、それは……」
空は汗ダラダラのタジタジ状態になる。
動揺しているのが一目瞭然だった。
その反応を見て、おばちゃんとシナはしてやったりの表情で目を合わせた。
「シナ先生、どうやら私たちは賭けに完全勝利したようね」
「ええ」
「ん?賭け?どういうことですか?」
「うふふふふ……何でもないの!それより、空さんにはこれが必要ね。しばらく貸しておくから」
シナはそう言って、自分のスカーフを取ると空の首元に巻き付けた。
「えっ……?」
「流石にそれは人目に晒さないほうがいいわよ。くノ一の子や上級生の忍たまたちが見たら大騒ぎするだろうから」
この一言で空ははたと気づく。
ここで食堂のおばちゃんが無言でスカーフを肌蹴させ、自前の手鏡をあらわになった首元にかざした。
その手鏡の中に映りこんだのは……半助につけられた鬱血痕だ。
(き、気づかなかった……!!)
「半助ぇ……昨夜は随分とお楽しみだったみたいねぇ」
おばちゃんの目が妖しく光る。
「空さん、今度私の部屋でじっくりと聞かせてもらうから。とりあえずおめでとう」
半助と寝たことを知られた。
現在、空は失神しそうなほどの羞恥に襲われている。
首筋まで真っ赤にした空を見て、おばちゃんとシナはくすくすと笑い合っていた。