31.二人だけのワルツ
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さて、何故は組がハチャメチャなレースを展開していたかというと、誰が一番に空に会うか。
ただそれだけのためであった。
先日の騒動で足を挫いた空は、治療に専念するため学園長室に滞在していた。
本来なら医務室を使えばいいのだが、騒ぎを聞きつけた忍たまたちからお見舞いが殺到し、医務室がパンクした。
そのため、学園長室が空の治療部屋として設けられることになったのである。
学園長室に部屋を替えられた途端、予想通りというか。
あのめんどくさい老人の相手を敬遠し、見舞いの訪問者は格段に減った。
例外的に、一年は組の生徒だけは懲りずに毎日来ているが。
さらに、もう一つの謎。
どうして、しんべえがこの部屋に一番に着いたかというと、
「しんべえ、土井先生におぶってもらってここまで来たな、ずりぃ!」
というきり丸の発言の通り。
実習中に足を負傷し、背負われたままのしんべえは授業を終わるやいなや半助にこっそり耳打ちする。
「土井先生、ボク空さんのお見舞いに行きたいんです。このまま部屋まで連れてってくれませんか?」
「ああ、わかった」
半助は了承し、しんべヱの言う通り学園長室まで送った。
だが、着いた途端、
「空さーん!」
「あ、しんべヱ君!今日も来てくれたんだ!?」
「はーい!ボク、空さんみたいに足を怪我しちゃって。土井先生にここまで連れてきてもらいました~!」
「……しんべえ。さっき降りてから空君のもとへ行くまで普通に走ってたよな?」
「ギクゥ!」
と、怪我が大したことなかったのがバレて、半助からお仕置きされたのであった。
「実習中からずっとお前をおんぶして、私は大変だったんだぞ!」
「あいつの体重、見かけの三倍は重いからなぁ……」
半助の横で、きり丸がボソッと呟いた。
ちなみに今この部屋にいるのは、一年は組の全員と半助、食堂のおばちゃん、それから学園長とヘムヘムである。
は組のみんなをかわりばんこに抱きしめながら、空が言った。
「みんな……いつも遊びに来てくれてありがとう」
「これくらい全然!空さん怪我治るまで退屈ですよね……。今日何していたんですか?」
「えーっとねぇ、読書……」
空はぐったりとした顔で応える。
対して、その質問を待っていたのだと学園長は目をキラッと輝かせた。
「フォッフォッフォ。怪我をしてやることもないときは読書が最適じゃ。ワシが空ちゃんのために厳選したんじゃ」
少しキザに決めて差し出した学園長の本が、まぁひどいものだった。
以下がそのラインナップである。
『大忍者・大川平治渦正のスーパー忍具大解剖』
『忍者におけるガッツの神秘性』
『現代の色男~大川平治渦正と彼を取り巻く女たち~』
『忍犬ヘムヘムの食べある記』
「……」
一同、こりゃないわ~と絶句する中、口の減らないきり丸が小声で言った。
「これなんて拷問?」
もちろん、聞き逃さなかった学園長は大激怒する。
「なんじゃと、きり丸~!!馬鹿にしよって!こうなったら……一年は組全員にランニングを命ずる!校庭30周じゃ!」
「ええー!!」
は組から揃いもそろって悲鳴が上がる。
「どうして僕たちが巻き込まれないといけないのさ?」
「それが、連帯責任というものだよ」
伊助の不満に冷静に返す庄左エ門。
「庄ちゃんってば、相変わらず冷静……」
思わず乱太郎がつっこんだ。
「ヘェム、ヘムヘムヘム!」
そんな彼らをあざ笑うかのごとく、いつもの調子でヘムヘムが鳴いた。
ただそれだけのためであった。
先日の騒動で足を挫いた空は、治療に専念するため学園長室に滞在していた。
本来なら医務室を使えばいいのだが、騒ぎを聞きつけた忍たまたちからお見舞いが殺到し、医務室がパンクした。
そのため、学園長室が空の治療部屋として設けられることになったのである。
学園長室に部屋を替えられた途端、予想通りというか。
あのめんどくさい老人の相手を敬遠し、見舞いの訪問者は格段に減った。
例外的に、一年は組の生徒だけは懲りずに毎日来ているが。
さらに、もう一つの謎。
どうして、しんべえがこの部屋に一番に着いたかというと、
「しんべえ、土井先生におぶってもらってここまで来たな、ずりぃ!」
というきり丸の発言の通り。
実習中に足を負傷し、背負われたままのしんべえは授業を終わるやいなや半助にこっそり耳打ちする。
「土井先生、ボク空さんのお見舞いに行きたいんです。このまま部屋まで連れてってくれませんか?」
「ああ、わかった」
半助は了承し、しんべヱの言う通り学園長室まで送った。
だが、着いた途端、
「空さーん!」
「あ、しんべヱ君!今日も来てくれたんだ!?」
「はーい!ボク、空さんみたいに足を怪我しちゃって。土井先生にここまで連れてきてもらいました~!」
「……しんべえ。さっき降りてから空君のもとへ行くまで普通に走ってたよな?」
「ギクゥ!」
と、怪我が大したことなかったのがバレて、半助からお仕置きされたのであった。
「実習中からずっとお前をおんぶして、私は大変だったんだぞ!」
「あいつの体重、見かけの三倍は重いからなぁ……」
半助の横で、きり丸がボソッと呟いた。
ちなみに今この部屋にいるのは、一年は組の全員と半助、食堂のおばちゃん、それから学園長とヘムヘムである。
は組のみんなをかわりばんこに抱きしめながら、空が言った。
「みんな……いつも遊びに来てくれてありがとう」
「これくらい全然!空さん怪我治るまで退屈ですよね……。今日何していたんですか?」
「えーっとねぇ、読書……」
空はぐったりとした顔で応える。
対して、その質問を待っていたのだと学園長は目をキラッと輝かせた。
「フォッフォッフォ。怪我をしてやることもないときは読書が最適じゃ。ワシが空ちゃんのために厳選したんじゃ」
少しキザに決めて差し出した学園長の本が、まぁひどいものだった。
以下がそのラインナップである。
『大忍者・大川平治渦正のスーパー忍具大解剖』
『忍者におけるガッツの神秘性』
『現代の色男~大川平治渦正と彼を取り巻く女たち~』
『忍犬ヘムヘムの食べある記』
「……」
一同、こりゃないわ~と絶句する中、口の減らないきり丸が小声で言った。
「これなんて拷問?」
もちろん、聞き逃さなかった学園長は大激怒する。
「なんじゃと、きり丸~!!馬鹿にしよって!こうなったら……一年は組全員にランニングを命ずる!校庭30周じゃ!」
「ええー!!」
は組から揃いもそろって悲鳴が上がる。
「どうして僕たちが巻き込まれないといけないのさ?」
「それが、連帯責任というものだよ」
伊助の不満に冷静に返す庄左エ門。
「庄ちゃんってば、相変わらず冷静……」
思わず乱太郎がつっこんだ。
「ヘェム、ヘムヘムヘム!」
そんな彼らをあざ笑うかのごとく、いつもの調子でヘムヘムが鳴いた。
