27.Crazy Rendezvous (Part 2)
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事件は半助たちがいる橋のたもとから少し離れた大通りで起こっていた。
「うわぁぁぁぁぁぁん!怖いよ、父ちゃん、母ちゃん!」
三歳くらいの子どもがガラの悪い男に首根っこを掴まれ、泣きわめいている。
「その子を放してください!」
子どもの父と母は悲痛な表情で男に向かって懇願していた。
運の悪いことに、その男は一人ではなかった。
人相の悪い、いかにも悪人面をした男が全部で8人いる。
最近、近隣の村や町で悪事を働いている不良たちである。
あのうどん屋の女将が話していた人物だった。
半助たちは事件を聞きつけて、その現場のもとへときていた。
一応、牧之介も二人についてきている。
既に騒ぎの周囲にはチラホラと野次馬が集まっていた。
半助が空に耳打ちする。
「ここにいて。決して前に出ないように」
「えっ?ど、土井先生!」
半助は人々に紛れながら、騒ぎの中心部へさらに近づいていった。
「このガキがアニキにぶつかってきたんだぞ!どう落とし前つけるんだ!」
子分の一人が完全に言いがかりをつけている。
仲間の男たちは卑しい笑みを浮かべていた。
「その子の粗相は親の私たちがお詫びします。お金なら差し上げますから……どうか命だけは!」
「けっ!随分ものわかりがいいじゃねえか!あるならさっさと渡しやがれ!」
子の親は慌てて懐から有り金全部を取り出し、その連中たちに差し出した。
「ほぉ~結構持ってんじゃねえかよ。得したぜぇ。それならガキを放してやるよ!」
「ありがとうございます……!」
解放されるとわかり、子の父と母に笑顔が戻る。
しかし、子どもを掴んでいた男は一段と邪悪な笑みをつくる。
連れの連中も呼応するかのように、同じようにこぞって笑った。
「ただし、世の中の厳しさを教えておかないとな!」
男が子を解放する前に、その子の腹に一発殴りを入れようとする。
遠巻きに見ていた空も、思わず目を背ける。
あんな小さな子がかわいそうに……と周りのみんなが憐れんだ、そのときだった。
「いてっ!」
子を掴んでいた男の手に石が数粒当たる。
鋭い痛みが手に走り、男は思わず子どもを離してしまう。
子どもは地面に向かって真っ逆さま――
だが、子どもが地面にぶつかることはなかった。
半助がしっかりキャッチしていたのだ。
(土井先生……!)
子どもが殴られずに済んで、空はほっと胸をなでおろしていた。
「もう、大丈夫だ」
半助は怯えている子どもに微笑むと、すぐに両親のもとへと返した。
「ありがとうございます……!ありがとうございます……!」
子を抱きしめ、泣いてその場にひざまづく父母に半助は笑顔で対応する。
しかし、喜んでばかりはいられない。
ギャラリーと化した周囲の人々からは歓声が湧いており、不良たちは鼻っ柱をへし折られた状態。
皆怒りの形相に変わっていた。
全員半助に殺気を向けている。
石を当てられた下っ端の男が半助に絡んできた。
「なんだぁ?お前は……俺たちに殺されたいのか?」
「子どもをいたぶって楽しいか?大の大人が連れをなさないと大きい態度に出れないようだけど」
半助は男をじっと見る。
それはにらむといった行為にすら及ばないものであったが、ただそれだけで男に負けていない凄みがあった。
「お、俺たちを愚弄する気か?なら一思いに殺ってやるよ!」
半助はどこか小馬鹿にしたようにため息をついた。
「こっちは忙しいんだ。時間がないから、一番強いやつを出してくれ」
そう言って、不敵な笑みを作ってみせた。
(土井先生、流石に挑発しすぎじゃないの!?)
いきなり敵のリーダー格を指名して、遠巻きに見ている空はやきもきする。
隣にいた牧之介の身体をゆすり、半助に加勢するように促した。
「牧之介さんも剣豪なんでしょ!?土井先生の手伝いに行かないんですか?名を馳せるチャンスですよ!」
「いや……お、俺の剣はそういう事に振るうためにあるもんじゃないんだ!あくまで、戸部新左エ門を倒すためにある!」
「……」
目が泳ぎ、明らかにびびっている牧之介に、だめだこりゃ……と思う空なのだった。
そんな時、後ろからふと声をかけられた。
「空さん!無事でよかった!」
「北石さん!」
息を切らした北石が空に抱き着いた。
「本当にごめんなさい。私、二人のお邪魔しちゃって!」
北石の態度から、自分が彼女を追い詰めてしまったのだと申し訳なく思った。
「私も……勝手に抜け出してごめんなさい!」
キュンと心臓が熱くなって、空も北石を抱き締め返す。
が、悠長に謝り合う場合じゃないと空が北石に向かって叫んだ。
「それより今、土井先生が悪い人たちに絡まれちゃって!」
「あ、ほんとだ!こっちの方で騒ぎになってるって町の人に聞いたから来てみれば……」
「子どもを助けた代わりに、今度は土井先生が標的になって……」
狼狽える空だが、北石はどっしりと構えている。
空を安心させるように、北石は大きくウインクした。
「大丈夫よ、あの土井先生が負けると思う?」
「土井先生が強いのは知ってますけど……。でも、あんな大人数ですよ!」
「空さん、土井先生って他の城からうちの忍者にならないかってわざわざオファーが来るくらいの凄腕の忍者なんだから!大丈夫!ここから、じっくり見物しましょ!」
「……」
「よーし。土井先生の戦い方、今後の参考にしようっと!」
「はぁ……」
(北石さんがそう言うなら、大丈夫なのかな……?でも……)
多数の敵に対峙する半助を、空は心配そうに見つめていた。
「うわぁぁぁぁぁぁん!怖いよ、父ちゃん、母ちゃん!」
三歳くらいの子どもがガラの悪い男に首根っこを掴まれ、泣きわめいている。
「その子を放してください!」
子どもの父と母は悲痛な表情で男に向かって懇願していた。
運の悪いことに、その男は一人ではなかった。
人相の悪い、いかにも悪人面をした男が全部で8人いる。
最近、近隣の村や町で悪事を働いている不良たちである。
あのうどん屋の女将が話していた人物だった。
半助たちは事件を聞きつけて、その現場のもとへときていた。
一応、牧之介も二人についてきている。
既に騒ぎの周囲にはチラホラと野次馬が集まっていた。
半助が空に耳打ちする。
「ここにいて。決して前に出ないように」
「えっ?ど、土井先生!」
半助は人々に紛れながら、騒ぎの中心部へさらに近づいていった。
「このガキがアニキにぶつかってきたんだぞ!どう落とし前つけるんだ!」
子分の一人が完全に言いがかりをつけている。
仲間の男たちは卑しい笑みを浮かべていた。
「その子の粗相は親の私たちがお詫びします。お金なら差し上げますから……どうか命だけは!」
「けっ!随分ものわかりがいいじゃねえか!あるならさっさと渡しやがれ!」
子の親は慌てて懐から有り金全部を取り出し、その連中たちに差し出した。
「ほぉ~結構持ってんじゃねえかよ。得したぜぇ。それならガキを放してやるよ!」
「ありがとうございます……!」
解放されるとわかり、子の父と母に笑顔が戻る。
しかし、子どもを掴んでいた男は一段と邪悪な笑みをつくる。
連れの連中も呼応するかのように、同じようにこぞって笑った。
「ただし、世の中の厳しさを教えておかないとな!」
男が子を解放する前に、その子の腹に一発殴りを入れようとする。
遠巻きに見ていた空も、思わず目を背ける。
あんな小さな子がかわいそうに……と周りのみんなが憐れんだ、そのときだった。
「いてっ!」
子を掴んでいた男の手に石が数粒当たる。
鋭い痛みが手に走り、男は思わず子どもを離してしまう。
子どもは地面に向かって真っ逆さま――
だが、子どもが地面にぶつかることはなかった。
半助がしっかりキャッチしていたのだ。
(土井先生……!)
子どもが殴られずに済んで、空はほっと胸をなでおろしていた。
「もう、大丈夫だ」
半助は怯えている子どもに微笑むと、すぐに両親のもとへと返した。
「ありがとうございます……!ありがとうございます……!」
子を抱きしめ、泣いてその場にひざまづく父母に半助は笑顔で対応する。
しかし、喜んでばかりはいられない。
ギャラリーと化した周囲の人々からは歓声が湧いており、不良たちは鼻っ柱をへし折られた状態。
皆怒りの形相に変わっていた。
全員半助に殺気を向けている。
石を当てられた下っ端の男が半助に絡んできた。
「なんだぁ?お前は……俺たちに殺されたいのか?」
「子どもをいたぶって楽しいか?大の大人が連れをなさないと大きい態度に出れないようだけど」
半助は男をじっと見る。
それはにらむといった行為にすら及ばないものであったが、ただそれだけで男に負けていない凄みがあった。
「お、俺たちを愚弄する気か?なら一思いに殺ってやるよ!」
半助はどこか小馬鹿にしたようにため息をついた。
「こっちは忙しいんだ。時間がないから、一番強いやつを出してくれ」
そう言って、不敵な笑みを作ってみせた。
(土井先生、流石に挑発しすぎじゃないの!?)
いきなり敵のリーダー格を指名して、遠巻きに見ている空はやきもきする。
隣にいた牧之介の身体をゆすり、半助に加勢するように促した。
「牧之介さんも剣豪なんでしょ!?土井先生の手伝いに行かないんですか?名を馳せるチャンスですよ!」
「いや……お、俺の剣はそういう事に振るうためにあるもんじゃないんだ!あくまで、戸部新左エ門を倒すためにある!」
「……」
目が泳ぎ、明らかにびびっている牧之介に、だめだこりゃ……と思う空なのだった。
そんな時、後ろからふと声をかけられた。
「空さん!無事でよかった!」
「北石さん!」
息を切らした北石が空に抱き着いた。
「本当にごめんなさい。私、二人のお邪魔しちゃって!」
北石の態度から、自分が彼女を追い詰めてしまったのだと申し訳なく思った。
「私も……勝手に抜け出してごめんなさい!」
キュンと心臓が熱くなって、空も北石を抱き締め返す。
が、悠長に謝り合う場合じゃないと空が北石に向かって叫んだ。
「それより今、土井先生が悪い人たちに絡まれちゃって!」
「あ、ほんとだ!こっちの方で騒ぎになってるって町の人に聞いたから来てみれば……」
「子どもを助けた代わりに、今度は土井先生が標的になって……」
狼狽える空だが、北石はどっしりと構えている。
空を安心させるように、北石は大きくウインクした。
「大丈夫よ、あの土井先生が負けると思う?」
「土井先生が強いのは知ってますけど……。でも、あんな大人数ですよ!」
「空さん、土井先生って他の城からうちの忍者にならないかってわざわざオファーが来るくらいの凄腕の忍者なんだから!大丈夫!ここから、じっくり見物しましょ!」
「……」
「よーし。土井先生の戦い方、今後の参考にしようっと!」
「はぁ……」
(北石さんがそう言うなら、大丈夫なのかな……?でも……)
多数の敵に対峙する半助を、空は心配そうに見つめていた。