22.約束
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大木は止まることなく走り続け、今は山道を駆け上がっている。
(もう、何でこんなことに!?)
納得いかないと、空は必死で抗い続けていた。
「大木先生、忍術学園に帰してください!それにこの体勢……ラグビーボールじゃないんですよ!お願いだから、もう放して!」
「五月蠅い女だな。裏々山で用が終わればすぐ帰る!」
(そんなぁ……今日はこの人絡みでついてないこと事ばっかり。それにしても、うぷっ)
ガタガタ道を猛スピードで駆け飛ばしていく激しい振動に酔いを感じた空は、いつしか吐き気を催していた。
***
半助はただひたすら空たちの後を追い、山道を駆けあがっていく。
ここ最近、彼女の様子がおかしい――
尊奈門との決闘以降、半助は空の異変に気付いていた。
ふと見れば、空はいつも難しい顔で何かを思いつめている。
声をかけても適当にはぐらかされ、すぐに自分の前から姿を消してしまう。
半助はもう一つ気になっていることがあった。
それは、尊奈門との決闘後に伝蔵と交わした会話の内容だった。
後先考えずに危ない行動をした空に説教を終えた後も、半助はまだ言い足りない様子だった。
「全く、ちゃんと反省しているといいけど……」
「半助。あの子は利発な子だ。もう無茶はしないと思う」
「そうでしょうか。元々危機感が足りないところがありますからね。何回も口を酸っぱくして言ってるのに、いまいち理解していなくて」
「半助」
伝蔵は急に語気を強め、半助の話を遮る。
その迫力に、半助は身体を強張らせた。
「確かに空君の行動は我々からすると理解に苦しむ。だが、それはそういうものを必要としない平和な世界にいたからなんだろう」
遠い目をして語る伝蔵の口調には、真に羨ましいというニュアンスが含まれている。
半助は黙ったままだったが、伝蔵の言葉で何かに気づき、ハッと目を見開いた。
「騒ぎを嗅ぎつけて来たときのあの子はもう必死の形相だったぞ。乱太郎に聞いてみぃ。お前さんのことが心配で心配で堪らないといった表情をしておった」
「……」
「ここと向こうは違う。今回はタソガレドキ忍者の尊奈門だったからまだいいが、いつ敵の忍者が襲ってくるかわからぬ。戦だって当たり前にある世の中だしのう」
「……」
「いつかあの子はここと向こうの絶対的な差に気づく。そのとき、ひどく怯えないといいが……」
(以前、空君が教えてくれた。未来にはもう、我々忍者なんか必要としない平和な世界だと。手裏剣一つで大はしゃぎするのはその表れなんだよな…)
(それに、私を心配して駆けつけてくれたのに、あの日は感謝するどころか怒り散らしてしまって……)
半助はぎゅっと唇を噛み締める。
走る速度を一段と上げ、二人がいる裏裏山を目指した。
(もう、何でこんなことに!?)
納得いかないと、空は必死で抗い続けていた。
「大木先生、忍術学園に帰してください!それにこの体勢……ラグビーボールじゃないんですよ!お願いだから、もう放して!」
「五月蠅い女だな。裏々山で用が終わればすぐ帰る!」
(そんなぁ……今日はこの人絡みでついてないこと事ばっかり。それにしても、うぷっ)
ガタガタ道を猛スピードで駆け飛ばしていく激しい振動に酔いを感じた空は、いつしか吐き気を催していた。
***
半助はただひたすら空たちの後を追い、山道を駆けあがっていく。
ここ最近、彼女の様子がおかしい――
尊奈門との決闘以降、半助は空の異変に気付いていた。
ふと見れば、空はいつも難しい顔で何かを思いつめている。
声をかけても適当にはぐらかされ、すぐに自分の前から姿を消してしまう。
半助はもう一つ気になっていることがあった。
それは、尊奈門との決闘後に伝蔵と交わした会話の内容だった。
後先考えずに危ない行動をした空に説教を終えた後も、半助はまだ言い足りない様子だった。
「全く、ちゃんと反省しているといいけど……」
「半助。あの子は利発な子だ。もう無茶はしないと思う」
「そうでしょうか。元々危機感が足りないところがありますからね。何回も口を酸っぱくして言ってるのに、いまいち理解していなくて」
「半助」
伝蔵は急に語気を強め、半助の話を遮る。
その迫力に、半助は身体を強張らせた。
「確かに空君の行動は我々からすると理解に苦しむ。だが、それはそういうものを必要としない平和な世界にいたからなんだろう」
遠い目をして語る伝蔵の口調には、真に羨ましいというニュアンスが含まれている。
半助は黙ったままだったが、伝蔵の言葉で何かに気づき、ハッと目を見開いた。
「騒ぎを嗅ぎつけて来たときのあの子はもう必死の形相だったぞ。乱太郎に聞いてみぃ。お前さんのことが心配で心配で堪らないといった表情をしておった」
「……」
「ここと向こうは違う。今回はタソガレドキ忍者の尊奈門だったからまだいいが、いつ敵の忍者が襲ってくるかわからぬ。戦だって当たり前にある世の中だしのう」
「……」
「いつかあの子はここと向こうの絶対的な差に気づく。そのとき、ひどく怯えないといいが……」
(以前、空君が教えてくれた。未来にはもう、我々忍者なんか必要としない平和な世界だと。手裏剣一つで大はしゃぎするのはその表れなんだよな…)
(それに、私を心配して駆けつけてくれたのに、あの日は感謝するどころか怒り散らしてしまって……)
半助はぎゅっと唇を噛み締める。
走る速度を一段と上げ、二人がいる裏裏山を目指した。