Lesson 0
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某地方都市にある閑静な住宅街。
最寄りの駅から、県庁所在地も兼ねた都市の中心部まで電車で20分。
周りはあまり特徴のない古い住宅が多い中、広い庭のついた築浅の白亜の家がその一角で際立っていた。
家の住人の趣味なのか、庭の一部に家庭菜園を楽しんでいるスペースがある。
そして、表札にはモダンな書体で字が刻まれている。
大木、という姓が――
家族の憩いの場である一階のだだっ広いリビング一帯に、大木家の長女であり真ん中っ子である空の怒号が飛んだ。
「いい加減にしてよ、お兄ちゃん!家の中、裸でウロウロしないでっていってるでしょ!」
「ぬわぁはっはっは!なんだ空?昨日から高校生になって色気づいたか?」
妹の注意にものともせず、風呂上がりで腰にタオルを巻いただけの青年はこの家の長男である雅之助、22才。
雅之助と空がいがみ合う中、横でがさごそとスーパーの袋から買い出し品を取り出していく少年がいる。
空はその品を見て、ゲッとうんざりした顔で言った。
「きり丸!また今日の夕飯鶏肉なの!?」
「だって、肉の中で一番安いし。それに、この鶏もも肉、タイムセールで100g68円だったんだぜぃ!」
ホクホク顔で頭上に戦利品を掲げるのは、雅之助と空の弟である末っ子、きり丸。
きり丸に買い物を任せると、決まって安いものしか買ってこない。
空が口を尖らせている。
「別にうち貧乏じゃないからさぁ……。たまには他のお肉も食べたい……」
「そんなこと言わずにさぁ!おれ、姉ちゃんの作るチキン南蛮大好きだし!」
「そうだぞ、空。買い物に行ってくれるなんて殊勝な弟じゃないか!さすが、血を分けた我が弟だ。それに空、鶏肉は胸の成長に良いって言うぞ。食べ続けたら、ちったぁお前の見込みのない胸もおっきくなるんじゃないか?」
大木はきり丸の頭をポンポンと叩きながら、わっはっはと大爆笑する。
その大木の隣で、きり丸があちゃー…と手で頭を押さえていた。
きり丸にはこの後の展開が容易に想像できるのだ。
案の定、
「なんですって!!」
とコンプレックスである胸をバカにされ、大激怒した空が雅之助を縦横無尽、右往左往と家中追いかけ回す。
このドタバタは、一軒家だからできる芸当。
マンションだったら、確実に下の住人から苦情がくる迷惑案件である。
「姉ちゃん…兄貴に構うのやめて、早いとこ夕飯作ってくれよ……。おれ、腹ペッコペコなのに……」
大人げないふたりによる恒例の追いかけっこを見ながら、きり丸が呆れた顔でポツリと呟いた。
最寄りの駅から、県庁所在地も兼ねた都市の中心部まで電車で20分。
周りはあまり特徴のない古い住宅が多い中、広い庭のついた築浅の白亜の家がその一角で際立っていた。
家の住人の趣味なのか、庭の一部に家庭菜園を楽しんでいるスペースがある。
そして、表札にはモダンな書体で字が刻まれている。
大木、という姓が――
家族の憩いの場である一階のだだっ広いリビング一帯に、大木家の長女であり真ん中っ子である空の怒号が飛んだ。
「いい加減にしてよ、お兄ちゃん!家の中、裸でウロウロしないでっていってるでしょ!」
「ぬわぁはっはっは!なんだ空?昨日から高校生になって色気づいたか?」
妹の注意にものともせず、風呂上がりで腰にタオルを巻いただけの青年はこの家の長男である雅之助、22才。
雅之助と空がいがみ合う中、横でがさごそとスーパーの袋から買い出し品を取り出していく少年がいる。
空はその品を見て、ゲッとうんざりした顔で言った。
「きり丸!また今日の夕飯鶏肉なの!?」
「だって、肉の中で一番安いし。それに、この鶏もも肉、タイムセールで100g68円だったんだぜぃ!」
ホクホク顔で頭上に戦利品を掲げるのは、雅之助と空の弟である末っ子、きり丸。
きり丸に買い物を任せると、決まって安いものしか買ってこない。
空が口を尖らせている。
「別にうち貧乏じゃないからさぁ……。たまには他のお肉も食べたい……」
「そんなこと言わずにさぁ!おれ、姉ちゃんの作るチキン南蛮大好きだし!」
「そうだぞ、空。買い物に行ってくれるなんて殊勝な弟じゃないか!さすが、血を分けた我が弟だ。それに空、鶏肉は胸の成長に良いって言うぞ。食べ続けたら、ちったぁお前の見込みのない胸もおっきくなるんじゃないか?」
大木はきり丸の頭をポンポンと叩きながら、わっはっはと大爆笑する。
その大木の隣で、きり丸があちゃー…と手で頭を押さえていた。
きり丸にはこの後の展開が容易に想像できるのだ。
案の定、
「なんですって!!」
とコンプレックスである胸をバカにされ、大激怒した空が雅之助を縦横無尽、右往左往と家中追いかけ回す。
このドタバタは、一軒家だからできる芸当。
マンションだったら、確実に下の住人から苦情がくる迷惑案件である。
「姉ちゃん…兄貴に構うのやめて、早いとこ夕飯作ってくれよ……。おれ、腹ペッコペコなのに……」
大人げないふたりによる恒例の追いかけっこを見ながら、きり丸が呆れた顔でポツリと呟いた。