7.哀涙
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「空君……私としたことが、本当に申し訳ないっ!!」
五年い組の実技担当教師である木下鉄丸の一声が医務室いっぱいに響き渡る。
空がぎょっとした。
「き、木下先生、頭を上げてください!私の怪我なんて全然大したことないですし、」
「いいや、責任はすべて私にある!私が追っていたドクタケ忍者たちが囮だとは気づかずに……これはドクタケを侮ってしまった私の慢心が招いた結果だ……うおぉぉぉぉ!!!」
自分自身への自己嫌悪と怒りが爆発し、最早感情のぶつけ先をなくした木下であった。
校医の新野が横から声をかける。
「木下先生、自分を責めるのはそれくらいにしてください。それに、まだ治療中なんですから、お静かに!」
「うっ……!」
そう言われて、木下は飼い主に怒られた犬のように小さくなった。
「それにしても、驚いた……天鬼があのドクタケたちを裏切るとは……」
「はい。私はしかとこの目で見ました」
この部屋で最も若い男が伝蔵に相槌を打つ。
端整な顔立ちに年齢以上の落ち着きぶりを有する男は、この学園ではまだ生徒扱いだが、実力はプロの忍者と遜色ない。
六年い組の立花仙蔵であった。
仙蔵は事の一部始終を見ていた。
彼が忍術学園に帰還したとき、天鬼はドクタケ忍者たちについて行こうとしていた。
このタイミングで出現しようと思ったが、その仙蔵の行動にブレーキをかけた人物がいた。
空だ。
怯えていた彼女がドクタケたちのもとに飛び込んでいくのが、仙蔵にとって想定外の出来事だった。
その後も仙蔵の予想を裏切る展開は続いた。
しばらく事の成り行きを見守っていると、いつしか天鬼が憤怒の形相でドクタケに牙を向けたのだった。
「天鬼は、風鬼・雨鬼の二人と戦いました。倒れている空さんを守りながら……ドクタケ忍者たちが立ち去ると空さんに声をかけていて……ただ、私が近づいたときにはもう、いつもの冷酷無情な天鬼に戻っていましたが」
その場にいた伝蔵、木下、新野が一様に神妙な顔つきになる。
仙蔵の話に静かに耳を傾けていた空だったが、心の中で一つ仙蔵の言葉の間違いを正していた。
(天鬼様は冷酷無情なんかじゃない……!表情や態度には決して出さないけど、内に秘めているのは土井先生と同じやさしさ……)
空の天鬼に対する想いはどんどん膨らんでいく。
(あんなにやさしい人が、どうして戦を求めるの……?)
(それは戦を終わらせたいから。だけど、戦を終わらせたいと思ったのはどうして?)
(それにはきっと、戦を終わらせたいと思うような切欠があったはず……)
(それは何?それは……)
ふと空は思い出す。
以前、伝蔵が野村との会話のあとに漏らした、ある言葉を。
『まったく……抜け忍時代といい、今回といい、あいつには手を焼かされるな』
(抜け忍って何……?山田先生は昔の土井先生を知っている……?)
そう思った瞬間、空は伝蔵を問い詰めていた。
「山田先生、抜け忍って何ですか!?」
「へ?」
空の一声に、一同はポカンとする。
だが、伝蔵だけは空の曖昧な質問の意を汲みとることができた。
「……空君が知りたいのは、土井先生のことだな」
空が大きく首肯する。
真摯な瞳が伝蔵を貫いている。
それを受けて、伝蔵もまた何かを感じ取ったようだ。
「わかった。ただ、これは個人的なことだから、二人きりで話そう。新野先生の処置が終わったら、あとで私の部屋に来なさい」
そう言って、伝蔵は先に部屋を出て行った。
五年い組の実技担当教師である木下鉄丸の一声が医務室いっぱいに響き渡る。
空がぎょっとした。
「き、木下先生、頭を上げてください!私の怪我なんて全然大したことないですし、」
「いいや、責任はすべて私にある!私が追っていたドクタケ忍者たちが囮だとは気づかずに……これはドクタケを侮ってしまった私の慢心が招いた結果だ……うおぉぉぉぉ!!!」
自分自身への自己嫌悪と怒りが爆発し、最早感情のぶつけ先をなくした木下であった。
校医の新野が横から声をかける。
「木下先生、自分を責めるのはそれくらいにしてください。それに、まだ治療中なんですから、お静かに!」
「うっ……!」
そう言われて、木下は飼い主に怒られた犬のように小さくなった。
「それにしても、驚いた……天鬼があのドクタケたちを裏切るとは……」
「はい。私はしかとこの目で見ました」
この部屋で最も若い男が伝蔵に相槌を打つ。
端整な顔立ちに年齢以上の落ち着きぶりを有する男は、この学園ではまだ生徒扱いだが、実力はプロの忍者と遜色ない。
六年い組の立花仙蔵であった。
仙蔵は事の一部始終を見ていた。
彼が忍術学園に帰還したとき、天鬼はドクタケ忍者たちについて行こうとしていた。
このタイミングで出現しようと思ったが、その仙蔵の行動にブレーキをかけた人物がいた。
空だ。
怯えていた彼女がドクタケたちのもとに飛び込んでいくのが、仙蔵にとって想定外の出来事だった。
その後も仙蔵の予想を裏切る展開は続いた。
しばらく事の成り行きを見守っていると、いつしか天鬼が憤怒の形相でドクタケに牙を向けたのだった。
「天鬼は、風鬼・雨鬼の二人と戦いました。倒れている空さんを守りながら……ドクタケ忍者たちが立ち去ると空さんに声をかけていて……ただ、私が近づいたときにはもう、いつもの冷酷無情な天鬼に戻っていましたが」
その場にいた伝蔵、木下、新野が一様に神妙な顔つきになる。
仙蔵の話に静かに耳を傾けていた空だったが、心の中で一つ仙蔵の言葉の間違いを正していた。
(天鬼様は冷酷無情なんかじゃない……!表情や態度には決して出さないけど、内に秘めているのは土井先生と同じやさしさ……)
空の天鬼に対する想いはどんどん膨らんでいく。
(あんなにやさしい人が、どうして戦を求めるの……?)
(それは戦を終わらせたいから。だけど、戦を終わらせたいと思ったのはどうして?)
(それにはきっと、戦を終わらせたいと思うような切欠があったはず……)
(それは何?それは……)
ふと空は思い出す。
以前、伝蔵が野村との会話のあとに漏らした、ある言葉を。
『まったく……抜け忍時代といい、今回といい、あいつには手を焼かされるな』
(抜け忍って何……?山田先生は昔の土井先生を知っている……?)
そう思った瞬間、空は伝蔵を問い詰めていた。
「山田先生、抜け忍って何ですか!?」
「へ?」
空の一声に、一同はポカンとする。
だが、伝蔵だけは空の曖昧な質問の意を汲みとることができた。
「……空君が知りたいのは、土井先生のことだな」
空が大きく首肯する。
真摯な瞳が伝蔵を貫いている。
それを受けて、伝蔵もまた何かを感じ取ったようだ。
「わかった。ただ、これは個人的なことだから、二人きりで話そう。新野先生の処置が終わったら、あとで私の部屋に来なさい」
そう言って、伝蔵は先に部屋を出て行った。
