8.双想
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「いけいけどんど~ん!燃やせ、燃やせ~!!」
轟々と燃える炎の前で、七松小平太が高らかに叫んだ。
「全く、暑苦しいな……小平太は。たかだか紙を燃やす作業なのに、」
「……もそっ……もそっ……」
横で立花仙蔵と中在家長次がぼやく。
今、ここに集まっているのは忍術学園の最年長忍たまの六年生たちだ。
『各国の機密資料……こんなものを所有していて、忍術学園にあらぬ疑いがかけられてはならぬ。お主たちが集めた情報、一枚残らずすべて燃やし尽くすように』
と学園長の命令に従い、学園の庭の一角で処分作業にあたっていたのだった。
「それにしても、俺と伊作が戻って来たときには、土井先生が元に戻られているなんて……この資料集めるのに、相当苦労したのに」
「ははっ。いいじゃないか、留三郎。帰ってきたら、普段通りの生活に戻っていた……こんなに喜ばしいことはない。平和が一番だよ」
伊作がにっこり笑う。
それを見て、伊作の同室メイトである食満留三郎は「ほんと、お前らしいな」と目を細めた。
しかし、
「俺は不満だぁぁぁ!!」
と学園一忍者している男、潮江文次郎は怒りをあらわにしていた。
「せっかくなら、俺は土井先生と……天鬼と一戦交えたかったぜ!」
「無理だ。今のお前では到底かなう相手ではない」
「だがよ、初めてドクタケで相対した時の……あの頃よりは俺も成長している!あいつに一矢報いるくらいは」
「一矢報いるでは、ダメなんだ」
文次郎が言葉を止める。
仙蔵は静かな口調で、それでいて有無を言わせぬ迫力で言った。
「文次郎、俺たちは忍者だ。その目的は、諜報、斥候 、放火、攪乱……もちろん暗殺だってあるが、それは100%仕留めれる相手を狙う。強大な敵に立ち向かって、むざむざと生を放棄するような真似はしてはいけない……」
「……」
「ま、強さに憧れるお前の気持ちはわからなくもないがな。私だって、今持てる力のすべてを出し尽くしても、あの天鬼の前では児戯 に等しい。それがたまらなく悔しい」
六人の中で、最も冷静で分析力のある仙蔵だからこそ、その言葉に重みがあった。
「けっ。こんな悔しい思いをしたくないなら、もっともっと修行して強くなるしかないな!」
「「ああ」」
文次郎の決意に、残りの五人が一様に頷いた。
そんな静かな熱気を放つ六年生たちの背後から、新たなる声が飛び込んできた。
「こんにちは!」
「こんにちは~」
まだ声変わりのない、少年たち。
二つのうち、間延びした方の声を聞けば、彫りの深い美少年の貌 が無条件に引き攣った。
(せ、せっかくシリアスを決め込んでいるところに……!)
六人の中で、仙蔵だけが嫌々そうに振り向く。
そこには一年は組の乱太郎としんべえが突っ立っていた。
「お、乱太郎・しんべヱじゃないか」
「伊作先輩、こんにちは。六年生の皆さんで何やってるんですか?」
「学園長から頼まれた仕事だよ。ここにある書類を全て燃やさなきゃいけなくて」
「それなら、私たちにも手伝わせてください。今超暇しているんです」
「ボクもボクも!」
「いや、いい!もうすぐ終わるから、お前たちの手を借りるほどではない!」
まるで額から角が突き出したような、鬼の形相で仙蔵が阻止した。
乱太郎はキョトンとしているが、しんべヱはその表情の意味を全く意に介さない。
「やだなぁ!立花先輩、そんなに遠慮しなくてもいいんですよ~。ほらほら」
と強引に仙蔵の手から書類を奪い取ってしまった。
「それ、燃えろ燃えろ~!」
ここで、ピューと勢いのある風が吹いた。
次の瞬間、しんべヱの鼻先を襲ったのは、耐えがたいほどの掻痒感 。
「あぁ、鼻がムズムズする…………ふぇ、ふぇ、ふぇーっくしゅん!!」
ジュルルルル……
針先より細いしんべヱの鼻から出たとは思えないほどの、凄まじい量の鼻水が噴射された。
それによって焚火の火が消火される。
お約束通りの展開に、仙蔵のこめかみには無数の青筋が広がっていた。
(福富しんべヱ……やはり私とお前との相性は最っ悪だ!)
仙蔵とは対照的に、同じ委員会に属している留三郎にとって、これは日常茶飯事。
可愛い後輩のミスを笑顔で許していた。
「やれやれ……やり直しだな」
「食満先輩、ごめんなさ~い」
「気にするな。それにしても、乱太郎としんべえ、随分機嫌がよさげだな」
「だって、やっと土井先生が帰って来たんですもん」
「一年は組の皆は、にっこにこだよね」
「でも、一番嬉しいのは空さんだよね。あんなにうれし涙流してたし」
「え?それ知らない。何があったんだ?」
六年生たちが一斉に身を乗り出す。
彼らは、半助と空の間に流れる甘い空気を知っている。
年頃の男子ということもあって、この手の話題には興味深々なのだ。
「実はですね、」
そう言って、乱太郎としんべヱが得意げに語り出した。
轟々と燃える炎の前で、七松小平太が高らかに叫んだ。
「全く、暑苦しいな……小平太は。たかだか紙を燃やす作業なのに、」
「……もそっ……もそっ……」
横で立花仙蔵と中在家長次がぼやく。
今、ここに集まっているのは忍術学園の最年長忍たまの六年生たちだ。
『各国の機密資料……こんなものを所有していて、忍術学園にあらぬ疑いがかけられてはならぬ。お主たちが集めた情報、一枚残らずすべて燃やし尽くすように』
と学園長の命令に従い、学園の庭の一角で処分作業にあたっていたのだった。
「それにしても、俺と伊作が戻って来たときには、土井先生が元に戻られているなんて……この資料集めるのに、相当苦労したのに」
「ははっ。いいじゃないか、留三郎。帰ってきたら、普段通りの生活に戻っていた……こんなに喜ばしいことはない。平和が一番だよ」
伊作がにっこり笑う。
それを見て、伊作の同室メイトである食満留三郎は「ほんと、お前らしいな」と目を細めた。
しかし、
「俺は不満だぁぁぁ!!」
と学園一忍者している男、潮江文次郎は怒りをあらわにしていた。
「せっかくなら、俺は土井先生と……天鬼と一戦交えたかったぜ!」
「無理だ。今のお前では到底かなう相手ではない」
「だがよ、初めてドクタケで相対した時の……あの頃よりは俺も成長している!あいつに一矢報いるくらいは」
「一矢報いるでは、ダメなんだ」
文次郎が言葉を止める。
仙蔵は静かな口調で、それでいて有無を言わせぬ迫力で言った。
「文次郎、俺たちは忍者だ。その目的は、諜報、
「……」
「ま、強さに憧れるお前の気持ちはわからなくもないがな。私だって、今持てる力のすべてを出し尽くしても、あの天鬼の前では
六人の中で、最も冷静で分析力のある仙蔵だからこそ、その言葉に重みがあった。
「けっ。こんな悔しい思いをしたくないなら、もっともっと修行して強くなるしかないな!」
「「ああ」」
文次郎の決意に、残りの五人が一様に頷いた。
そんな静かな熱気を放つ六年生たちの背後から、新たなる声が飛び込んできた。
「こんにちは!」
「こんにちは~」
まだ声変わりのない、少年たち。
二つのうち、間延びした方の声を聞けば、彫りの深い美少年の
(せ、せっかくシリアスを決め込んでいるところに……!)
六人の中で、仙蔵だけが嫌々そうに振り向く。
そこには一年は組の乱太郎としんべえが突っ立っていた。
「お、乱太郎・しんべヱじゃないか」
「伊作先輩、こんにちは。六年生の皆さんで何やってるんですか?」
「学園長から頼まれた仕事だよ。ここにある書類を全て燃やさなきゃいけなくて」
「それなら、私たちにも手伝わせてください。今超暇しているんです」
「ボクもボクも!」
「いや、いい!もうすぐ終わるから、お前たちの手を借りるほどではない!」
まるで額から角が突き出したような、鬼の形相で仙蔵が阻止した。
乱太郎はキョトンとしているが、しんべヱはその表情の意味を全く意に介さない。
「やだなぁ!立花先輩、そんなに遠慮しなくてもいいんですよ~。ほらほら」
と強引に仙蔵の手から書類を奪い取ってしまった。
「それ、燃えろ燃えろ~!」
ここで、ピューと勢いのある風が吹いた。
次の瞬間、しんべヱの鼻先を襲ったのは、耐えがたいほどの
「あぁ、鼻がムズムズする…………ふぇ、ふぇ、ふぇーっくしゅん!!」
ジュルルルル……
針先より細いしんべヱの鼻から出たとは思えないほどの、凄まじい量の鼻水が噴射された。
それによって焚火の火が消火される。
お約束通りの展開に、仙蔵のこめかみには無数の青筋が広がっていた。
(福富しんべヱ……やはり私とお前との相性は最っ悪だ!)
仙蔵とは対照的に、同じ委員会に属している留三郎にとって、これは日常茶飯事。
可愛い後輩のミスを笑顔で許していた。
「やれやれ……やり直しだな」
「食満先輩、ごめんなさ~い」
「気にするな。それにしても、乱太郎としんべえ、随分機嫌がよさげだな」
「だって、やっと土井先生が帰って来たんですもん」
「一年は組の皆は、にっこにこだよね」
「でも、一番嬉しいのは空さんだよね。あんなにうれし涙流してたし」
「え?それ知らない。何があったんだ?」
六年生たちが一斉に身を乗り出す。
彼らは、半助と空の間に流れる甘い空気を知っている。
年頃の男子ということもあって、この手の話題には興味深々なのだ。
「実はですね、」
そう言って、乱太郎としんべヱが得意げに語り出した。
