土井先生の最悪な一日
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これは本当にまずいかもしれない。
頭の芯がズキズキと痛む上に、じわりじわりとした鈍痛まで胃に広がってきた。
「うぅ……」
それでも、半助は仕事の手を止めるなんてできなかった。
放課後の現在 、積み重ねられた書類に目を通していく。
(今日はいつにも増して痛みがひどいぞ。ああ、身体が重い。苦しい……)
激しい頭痛と真綿で首を締めるような胃痛。
この不調の原因を作った張本人たちを想像すると、溜息を漏らさずにはいられない。
張本人たち――まずは乱太郎、きり丸、しんべヱ。
彼らは宿題を忘れたものの、全く反省していなかった。
「乱太郎、きり丸、しんべえ!お前たちだけだぞ!!宿題を忘れたのはっ!!!」
「昨日はえーと、その、いろいろありまして……」
「そうそう、おれたちだって暇じゃないんすから。バイトとかバイトとかバイトとか、予定がありまくりなんです!」
「と、とにかく、次は頑張りますから~。今回はゆるしてくださ~い!」
「……!」
次は一年い組の担任である安藤夏之丞。
授業後に出くわした安藤からは、半助が作成した学期末の国語のテストの内容について、ネチネチとつつかれてしまった――
「土井先生、この文言ですけどね……ほら、ここ、ここ。ちょっと曖昧なんじゃ?」
「でも、この内容からすると、断定するよりもぼかした表現のほうがいいのではないかと、」
「はぁ、呆れた!土井先生がそんないい加減だから、は組の子たちもいい加減なんですよ」
「……!」
最後は学園長。
多忙な半助のスケジュールを無視し、短期間で新型火薬を開発しろ、なんていう無理難題を提示してきた――
「おっほん。土井先生、今しがたバフン岳の多田堂禅先生から文を受け取った。内容じゃが……今先生は新型砲弾を開発しているらしくてのう。それの材料となる火薬を調合してほしいと要望を承った」
「承知しました。納期はいつでしょうか?」
「〇月×日じゃ」
「え!ってことは……わずか一週間で完成させなければならないんですか!?」
「うむ。お前の腕ならその日数でも余裕じゃろうて。その日に多田先生は忍術学園に立ち寄られることになっておるぞ。では、よろしく頼む」
「……」
思い出したら、どっと疲れが湧いてきた。
同僚の伝蔵がいないのをいいことに、半助はガクンと机に突っ伏す。
(うう……なんで私だけがこんな目に!)
本来なら今の時間は火薬委員会の会議に参加しているはずだったが、あまりの忙しさと体調不良で委員長代理である久々知兵助に全てを託してしまった。
猫の手も借りたいほど忙しいとき、こうして久々知を頼ることは、よくあった。
委員長代理とはいえ、久々知が大人顔負けにしっかりしているものだから、ついつい彼頼みになる癖がついてしまっている。
顧問の務めを果たせていない自分自身に自己嫌悪が募る。
(ああ、とにかく体調だけでも戻ってくれないかな……)
願いに反して、状況は刻一刻と悪くなっていった。
額から脂汗が滲み出てくる。
ズキッ
「うっ!」
痛恨の一撃だった。
槍で一突きされたような鋭い頭痛と胃痛。
思わず顔が歪んだ。
もう、このまま、死んでしまうのかもしれない……。
何もかもを諦めかけた、そのときだった。
ガラッ……
「失礼します」
そう言って部屋へ入って来た人物には、まるでスポットライトが当たったかのような眩しさがあった。
忍術学園の事務員で、自分にとって最も大切な女性 ――空だった。
頭の芯がズキズキと痛む上に、じわりじわりとした鈍痛まで胃に広がってきた。
「うぅ……」
それでも、半助は仕事の手を止めるなんてできなかった。
放課後の
(今日はいつにも増して痛みがひどいぞ。ああ、身体が重い。苦しい……)
激しい頭痛と真綿で首を締めるような胃痛。
この不調の原因を作った張本人たちを想像すると、溜息を漏らさずにはいられない。
張本人たち――まずは乱太郎、きり丸、しんべヱ。
彼らは宿題を忘れたものの、全く反省していなかった。
「乱太郎、きり丸、しんべえ!お前たちだけだぞ!!宿題を忘れたのはっ!!!」
「昨日はえーと、その、いろいろありまして……」
「そうそう、おれたちだって暇じゃないんすから。バイトとかバイトとかバイトとか、予定がありまくりなんです!」
「と、とにかく、次は頑張りますから~。今回はゆるしてくださ~い!」
「……!」
次は一年い組の担任である安藤夏之丞。
授業後に出くわした安藤からは、半助が作成した学期末の国語のテストの内容について、ネチネチとつつかれてしまった――
「土井先生、この文言ですけどね……ほら、ここ、ここ。ちょっと曖昧なんじゃ?」
「でも、この内容からすると、断定するよりもぼかした表現のほうがいいのではないかと、」
「はぁ、呆れた!土井先生がそんないい加減だから、は組の子たちもいい加減なんですよ」
「……!」
最後は学園長。
多忙な半助のスケジュールを無視し、短期間で新型火薬を開発しろ、なんていう無理難題を提示してきた――
「おっほん。土井先生、今しがたバフン岳の多田堂禅先生から文を受け取った。内容じゃが……今先生は新型砲弾を開発しているらしくてのう。それの材料となる火薬を調合してほしいと要望を承った」
「承知しました。納期はいつでしょうか?」
「〇月×日じゃ」
「え!ってことは……わずか一週間で完成させなければならないんですか!?」
「うむ。お前の腕ならその日数でも余裕じゃろうて。その日に多田先生は忍術学園に立ち寄られることになっておるぞ。では、よろしく頼む」
「……」
思い出したら、どっと疲れが湧いてきた。
同僚の伝蔵がいないのをいいことに、半助はガクンと机に突っ伏す。
(うう……なんで私だけがこんな目に!)
本来なら今の時間は火薬委員会の会議に参加しているはずだったが、あまりの忙しさと体調不良で委員長代理である久々知兵助に全てを託してしまった。
猫の手も借りたいほど忙しいとき、こうして久々知を頼ることは、よくあった。
委員長代理とはいえ、久々知が大人顔負けにしっかりしているものだから、ついつい彼頼みになる癖がついてしまっている。
顧問の務めを果たせていない自分自身に自己嫌悪が募る。
(ああ、とにかく体調だけでも戻ってくれないかな……)
願いに反して、状況は刻一刻と悪くなっていった。
額から脂汗が滲み出てくる。
ズキッ
「うっ!」
痛恨の一撃だった。
槍で一突きされたような鋭い頭痛と胃痛。
思わず顔が歪んだ。
もう、このまま、死んでしまうのかもしれない……。
何もかもを諦めかけた、そのときだった。
ガラッ……
「失礼します」
そう言って部屋へ入って来た人物には、まるでスポットライトが当たったかのような眩しさがあった。
忍術学園の事務員で、自分にとって最も大切な