くびっ茸(たけ)騒動記
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忍術学園の裏山のさらに奥に位置する裏裏山。
空と乱太郎・きり丸・しんべえは、そこでキノコ狩りの真っ最中だ。
食堂のおばちゃんに頼まれて、夕食のメニューに必要なキノコの調達にきていた。
椎茸をむしり取りながら、しんべえが言う。
「ねえ、この山に来てこうやってキノコ採りしていると、あのときのこと思い出さない?」
「ああ、あれな!あのときは大変だったよな。まぁ、おれたちは最後にアイスクリーム食べれて美味しい思いしたけど。ニヒヒッ」
「ん?アイスクリーム食べれたなんて、きりちゃんずるい!それどういうこと!?」
無自覚な食欲少女である空が血相を変えて、きり丸の胸ぐらをつかむ。
「お、お、お、落ち着いてください、空さん!実はですね……」
そう言って、きり丸が事の顛末を語り出した。
「へぇ、そんなことがあったんだ」
空は話を一通り聞き終わった。
以前、乱太郎たちはこの山でキノコ泥棒を捕まえたという。
そのとき、裏裏山キノコ協同組合の副会長さんという方からお礼にある品を頂いたのだ。
そのお礼の品というのが、今しんべえが手にしているキノコ『ありっ茸』だ。
「このありっ茸って、本当においしいんですよ!」
「でも、これ見てください。こっちのキノコもありっ茸と思いきや、『これっ茸』ていうんっすよ」
きり丸がそう言って、もう別のキノコをかざす。
ありっ茸とこれっ茸。
どちらも、キノコの嵩部分がソフトクリームのような渦巻き状で、不揃いの丸い斑点がいくつもある。
この二つ、一見同じように見えて、実は全然違う。
ありっ茸は渦巻き部分が左巻きであり、これっ茸はその逆の右巻き。
そして、ありっ茸が町で売れば金五枚にもなる高級キノコに対して、これっ茸はなんと毒キノコ。
食べてしまうと、無性に洗濯がしたくなってしまい、近くにいる者の着物を無理やり剥ぎ取るという、死には至らないが、ちょっと困った中毒症状を引き起こしてしまうのだ。
乱太郎が話を続ける。
「副組合長さんからもらったありっ茸を、本当はお仕置き免除のため、学園長に献上しなければいけなかったんです。でも、きり丸は金五枚ほしさに……」
「……最後まで言わなくてもわかるよ、乱太郎君。きりちゃんは、お仕置免除と金五枚、両方を手に入れたいがために、ありっ茸を町で売り捌き、学園長にはこれっ茸を差し出した、てわけね」
「そうなんです。おかげで、土井先生と山田先生は学園長に追い掛け回されて大変そうでした」
乱太郎の語った通り、ありっ茸と思い込んでこれっ茸を食した学園長は、中毒症状を起こした。
洗濯がしたくなった学園長は、すぐさま半助と伝蔵を呼びつけて、彼らの着物をひっぺがしたのである。
皆の発言が非難がましく聞こえたのか、きり丸が不服そうに言う。
「でも、その金五枚のおかげで、アイスクリームたらふく食えたじゃねぇか」
「もう。本当に土井先生と山田先生が気の毒……」
苦笑いする空だったが、半助と伝蔵、二人の褌姿を想像して、ほんのり顔を赤らめた。
「でも、このありっ茸ってほっぺたが落ちるくらいの絶品キノコなんでしょ。食べるの楽しみ!」
空はありっ茸を手にしている。
だが、よく見ると、嵩は確かに左巻きだが、丸い斑点ではなくて、ハート型の斑点がついている。
果たして、本当にありっ茸なのだろうか……。
この空が持っているキノコが、大変な騒動に発展するとは、このとき一体誰が想像できたであろうか。
空と乱太郎・きり丸・しんべえは、そこでキノコ狩りの真っ最中だ。
食堂のおばちゃんに頼まれて、夕食のメニューに必要なキノコの調達にきていた。
椎茸をむしり取りながら、しんべえが言う。
「ねえ、この山に来てこうやってキノコ採りしていると、あのときのこと思い出さない?」
「ああ、あれな!あのときは大変だったよな。まぁ、おれたちは最後にアイスクリーム食べれて美味しい思いしたけど。ニヒヒッ」
「ん?アイスクリーム食べれたなんて、きりちゃんずるい!それどういうこと!?」
無自覚な食欲少女である空が血相を変えて、きり丸の胸ぐらをつかむ。
「お、お、お、落ち着いてください、空さん!実はですね……」
そう言って、きり丸が事の顛末を語り出した。
「へぇ、そんなことがあったんだ」
空は話を一通り聞き終わった。
以前、乱太郎たちはこの山でキノコ泥棒を捕まえたという。
そのとき、裏裏山キノコ協同組合の副会長さんという方からお礼にある品を頂いたのだ。
そのお礼の品というのが、今しんべえが手にしているキノコ『ありっ茸』だ。
「このありっ茸って、本当においしいんですよ!」
「でも、これ見てください。こっちのキノコもありっ茸と思いきや、『これっ茸』ていうんっすよ」
きり丸がそう言って、もう別のキノコをかざす。
ありっ茸とこれっ茸。
どちらも、キノコの嵩部分がソフトクリームのような渦巻き状で、不揃いの丸い斑点がいくつもある。
この二つ、一見同じように見えて、実は全然違う。
ありっ茸は渦巻き部分が左巻きであり、これっ茸はその逆の右巻き。
そして、ありっ茸が町で売れば金五枚にもなる高級キノコに対して、これっ茸はなんと毒キノコ。
食べてしまうと、無性に洗濯がしたくなってしまい、近くにいる者の着物を無理やり剥ぎ取るという、死には至らないが、ちょっと困った中毒症状を引き起こしてしまうのだ。
乱太郎が話を続ける。
「副組合長さんからもらったありっ茸を、本当はお仕置き免除のため、学園長に献上しなければいけなかったんです。でも、きり丸は金五枚ほしさに……」
「……最後まで言わなくてもわかるよ、乱太郎君。きりちゃんは、お仕置免除と金五枚、両方を手に入れたいがために、ありっ茸を町で売り捌き、学園長にはこれっ茸を差し出した、てわけね」
「そうなんです。おかげで、土井先生と山田先生は学園長に追い掛け回されて大変そうでした」
乱太郎の語った通り、ありっ茸と思い込んでこれっ茸を食した学園長は、中毒症状を起こした。
洗濯がしたくなった学園長は、すぐさま半助と伝蔵を呼びつけて、彼らの着物をひっぺがしたのである。
皆の発言が非難がましく聞こえたのか、きり丸が不服そうに言う。
「でも、その金五枚のおかげで、アイスクリームたらふく食えたじゃねぇか」
「もう。本当に土井先生と山田先生が気の毒……」
苦笑いする空だったが、半助と伝蔵、二人の褌姿を想像して、ほんのり顔を赤らめた。
「でも、このありっ茸ってほっぺたが落ちるくらいの絶品キノコなんでしょ。食べるの楽しみ!」
空はありっ茸を手にしている。
だが、よく見ると、嵩は確かに左巻きだが、丸い斑点ではなくて、ハート型の斑点がついている。
果たして、本当にありっ茸なのだろうか……。
この空が持っているキノコが、大変な騒動に発展するとは、このとき一体誰が想像できたであろうか。