うらはらな男心
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ここはとある町の茶店。
一人の少女が不機嫌そうに団子を口に運んでいる。
「もう……やんなっちゃう……」
空だった。
ちらっと向かいを見れば、締まりのない顔をして、女たちに色目を使う男の姿があった。
「久しぶりじゃのう、お蜜っちゃん。いつ会っても可愛いな」
「やだぁ、雅之助さんったら!」
「ねぇねぇ、雅之助さん。お蜜ばっかり褒めるけど、私は?」
「志乃ちゃんも変わらず別嬪さんじゃ!」
「ほんと?嬉しい!」
「……」
空は嘆息をついた。
そう。机を挟んで空の前に座っている男は、空が最も苦手とする大木なのである。
なぜこの二人が町の茶屋にいるのか――
先日、杭瀬村から忍術学園に文が届いた。
差出人は大木である。
それによれば、杭瀬村で採れた野菜を忍術学園と届けたいと同時に近場の町へ卸したいから、人手が要るという。
こういうとき、大木は決まって空を指名する。
それ故、空はその手伝いへと駆り出された、というわけだ。
(喉が乾いたってごねるから、いつもの茶店に寄ればこれだもの……)
団子屋の看板娘たちは大木を慕っているようで、大木が姿を現すやいなや、黄色い声を上げて出迎えた。
お蜜と志乃。
お蜜がおっとりと上品さを持つ温かさのある美女なら、志乃はきりっとした瞳が特徴の涼し気なクール系美女だ。
空よりずっと年嵩の美女二人にちやほやされて、大木はもう有頂天だった。
空はムスッとした表情で団子を食べ続けながらも、一方で冷静に状況を分析していた。
(大木先生って、結構女性に人気あるのよね……あんなガサツなのに……)
空は大木のモテっぷりを既に知っていた。
仕事の一環で、たまに大木と町へ行けば、町の娘たちが一斉に彼の方を振り向く。
顔はいい部類に属するし、くしゃっと笑った顔には愛嬌がある。
おおらかで気さくで、野性味あふれる大木は町の女たちに大人気だった。
が、大木がいくら女性たちの憧れの的とはいえ、空にはどうでもいいこと。
空は自分の職場である忍術学園の教師であり恋人である半助にベタ惚れなのだ。
(早く帰って、半助さんに会いたいな……)
空はふたたび大木を見る。
大木はいつの間にかお蜜と志乃を両隣に侍らせていた。
(ゲッ!何ゆっくりしてるのよ!?こっちは早く帰りたいというのに……!)
「大木先生、そろそろ忍術学園に……!」
空が慌てて急かす。
だが、これをお蜜と志乃が制止した。
「ええ!二人とも、もう帰っちゃうの!?」
「せっかく会えたのに、志乃寂しい……。ほら、空ちゃんもそんなところでぼーっとしてないで、私たちと一緒に楽しみましょうよ!」
「何で私もそこに混ざらないといけないんですか!」
もう勝手にしてくれ。
完全に蚊帳の外に置かれた空はテーブルに肘をつき、ふぅっと溜息をついた。
(あ~あ、どうせ町へ行くなら、半助さんと行きたかった!)
空はガックリと肩を落とした。
「……」
実はこの状況を最も不愉快に感じているのは店にいる男の客たちであった。
看板娘の美女二人を目当てに通う客は多い。
それなのに、その二人が大木に独占され、さらには連れの女をぞんざいに扱っている。
その連れの女の空ですら、皆が目を見張るほどの美少女なのだ。
何であいつだけ――
店内は大木に対する男たちの嫉妬と羨望で充満していた。
空が座っている方の隣のテーブルには男が三人座っている。
いずれも女好きそうな顔をしていて、空のことを品定めするように凝視していた。
男たちは空のことをこう考えていた。
お蜜たちにひけを取らないほどの上玉だ、と。
大木がお蜜と志乃を独り占めしているなら、その連れの女は自分たちが相手をしてあげよう。
そうすれば、連れの女は今のように憂い顔をせずにすむ――と何とも身勝手な親切心から、男たちは空に声をかけていく。
「随分ひどい男だねぇ。お嬢ちゃんみたいないい女をほっぽっておくなんて」
「え?」
「俺たちが相手してあげるよ。こっちに座りな」
「いえいえ、結構です……!」
空は苦笑いで対応する。
だが、男たちは空が遠慮しているものだと勘違いした。
男たちの内の一人が馴れ馴れしく空の肩を抱く。
「そんなに緊張しなくていいから。少し話するだけだしさ?ね、仲良くしようよ」
「え、あの、ちょっと?」
(やだ……!)
嫌悪感で肌が粟立つ。
そのときだった。
「いてぇえ!」
空の肩を掴んだ男の手が宙に浮いている。
大木が手の甲を抓っていたのだ。
男が痛みに呻く隙に、空は大木の背後へと逃げることができた。
「勝手に人の連れに手を出されては困るのう」
大木は相当な力を指に込めたようで、真っ赤に腫れた男の手には爪の跡が深く刻みこまれている。
「なにしやがる!?大体、お前が俺たちのお蜜ちゃんと志乃ちゃんを独占するから悪いんだろ?連れの女ぐらい、いいじゃねぇか?」
「なんだ、なんだ?お前らお蜜ちゃんたちと話せなくて悔しかったのか?ひがんでんのか?」
「うっ……!」
図星なのか、男たちの顔が真っ赤に染まる。
「その方たち、よくこちらのお店にお越しになるのはいいんですけど、少し女癖が悪くて」
「そうそう。だから、来てもあんまり相手しなかったんだけどね。かえってこじらせちゃったのかしら?」
お蜜と志乃が悪気もなくズバズバ言う。
この発言がますます男たちの羞恥に拍車をかけてしまう。
「……」
店内にいた人々は無言でこのやりとりを見つめていた。
内心、空にちょっかいを出さなくてよかったと安堵する男もいたという。
そうしていれば、今この場で恥をかいている人間は自分だったのだ、と。
この騒ぎの当事者である三人は、今や見せしめ状態。
大勢の前で恥をかかされ、赤面した三人の怒りは頂点に達していた。
「ゆ、許さねぇ!おい、お前……表に出ろ!ぶっ潰してやる!」
空をナンパした男が激高し、親指を突き出して「表に出ろ」のジェスチャーをした。
ほかの二人も同様で、殺気立っている。
反対に、大木は顔色一つ変えず飄々とした態度で応えた。
「なんだぁ?おまえら、わしと勝負する気か……?ふむ、よかろう。土いじりだけでは体がなまるからな」
三人に向かってそう告げた大木の顔には、大胆不敵な笑みが浮かんでいた。
***
「あいつら、全然大したことなかったな」
積み荷のない荷車を引きながら、大木がぼやく。
空が呆れたように叫んだ。
「当たり前です……相手は素人ですよ!忍者の大木先生に敵うはずないじゃないですか!?ちゃんと手加減したんですか!?」
「もちろん」
結局、あの三人は大木に向かって特攻していくも、逆に返り討ちに遭うのであった。
(ほんと……もう、無茶苦茶なんだから……)
そもそも、大木があの店に居座り続けさえいなければ、こんな騒ぎにならずに済んだのだというのに。
もっと強気で急かせばよかったと空は後悔していた。
だが、その一方でこのとき空は珍しく大木に感動していた。
(お蜜さんたちに構っていたのに、私のこと……ちゃんと見ていてくれたんだ……)
男たちにちょっかいを出されたとき、すぐに大木が気づいて止めに入ってくれたことが空にとっては嬉しかった。
「あの、大木先生」
「ん?」
「さっきは……助けてくれてありがとうございました」
「おや、素直だな」
「もう……素直で悪いですか!?」
「全然。素直が一番だ!」
大木はそう言って「がっはっは」と豪快に笑う。
一見、いつもと変わらないように見える大木の姿だが、空に不意にお礼を言われて、実は照れていた。
あのとき――
空の肩に男の手が触れた瞬間、大木は全身から血が噴出しそうなほどの激しい怒りを感じていた。
普段、空に対して憎まれ口を叩いている大木だが、本心では空が妹のようにかわいくてしょうがないのである。
どうやら友人以上の特別な思いを抱いているようだ。
「ワシの大切な所有物 を汚すわけにはいかないからな」
「はっ?」
「……なんでもない。それより、お前もお蜜ちゃんたちのようにもう少し肉をつけて、色気を磨いた方がいいぞ!」
「よ、余計なお世話です!」
「ハハ……そんなに顔真っ赤にして。照れるな、照れるな。何だったら土井先生を喜ばすための夜の手ほどきをしてやろうか?」
大木がそう言って空のお尻をいやらしく撫でまわす。
サワサワ……
「やっ……もう、何するんですか!?」
バチィィィィン!!
「ぎゃああああああ!」
顔を真っ赤にした空の張り手が飛び、大木が地面に沈んだ。
「いい加減にしてください!それに……私に触れていいのは、土井先生だけなんだから!」
空は完全に愛想をつかしたようで、荷車から離れすたすたと一人歩いていった。
大木は引っ叩かれた方の頬を手で押さえている。
「おお、痛っ……!あの男たちの拳より強烈だな」
だが、大木は微笑んでいた。
愛情に満ちた微笑みだったが、次第にその瞳には切なさが際立つ。
ふぅと息をつき、複雑な胸の内を呟いた。
「『私に触れていいのは土井先生だけ』か。う~ん、妬けるのう……!」
その言葉が空の耳に届くことはなかった。
一人の少女が不機嫌そうに団子を口に運んでいる。
「もう……やんなっちゃう……」
空だった。
ちらっと向かいを見れば、締まりのない顔をして、女たちに色目を使う男の姿があった。
「久しぶりじゃのう、お蜜っちゃん。いつ会っても可愛いな」
「やだぁ、雅之助さんったら!」
「ねぇねぇ、雅之助さん。お蜜ばっかり褒めるけど、私は?」
「志乃ちゃんも変わらず別嬪さんじゃ!」
「ほんと?嬉しい!」
「……」
空は嘆息をついた。
そう。机を挟んで空の前に座っている男は、空が最も苦手とする大木なのである。
なぜこの二人が町の茶屋にいるのか――
先日、杭瀬村から忍術学園に文が届いた。
差出人は大木である。
それによれば、杭瀬村で採れた野菜を忍術学園と届けたいと同時に近場の町へ卸したいから、人手が要るという。
こういうとき、大木は決まって空を指名する。
それ故、空はその手伝いへと駆り出された、というわけだ。
(喉が乾いたってごねるから、いつもの茶店に寄ればこれだもの……)
団子屋の看板娘たちは大木を慕っているようで、大木が姿を現すやいなや、黄色い声を上げて出迎えた。
お蜜と志乃。
お蜜がおっとりと上品さを持つ温かさのある美女なら、志乃はきりっとした瞳が特徴の涼し気なクール系美女だ。
空よりずっと年嵩の美女二人にちやほやされて、大木はもう有頂天だった。
空はムスッとした表情で団子を食べ続けながらも、一方で冷静に状況を分析していた。
(大木先生って、結構女性に人気あるのよね……あんなガサツなのに……)
空は大木のモテっぷりを既に知っていた。
仕事の一環で、たまに大木と町へ行けば、町の娘たちが一斉に彼の方を振り向く。
顔はいい部類に属するし、くしゃっと笑った顔には愛嬌がある。
おおらかで気さくで、野性味あふれる大木は町の女たちに大人気だった。
が、大木がいくら女性たちの憧れの的とはいえ、空にはどうでもいいこと。
空は自分の職場である忍術学園の教師であり恋人である半助にベタ惚れなのだ。
(早く帰って、半助さんに会いたいな……)
空はふたたび大木を見る。
大木はいつの間にかお蜜と志乃を両隣に侍らせていた。
(ゲッ!何ゆっくりしてるのよ!?こっちは早く帰りたいというのに……!)
「大木先生、そろそろ忍術学園に……!」
空が慌てて急かす。
だが、これをお蜜と志乃が制止した。
「ええ!二人とも、もう帰っちゃうの!?」
「せっかく会えたのに、志乃寂しい……。ほら、空ちゃんもそんなところでぼーっとしてないで、私たちと一緒に楽しみましょうよ!」
「何で私もそこに混ざらないといけないんですか!」
もう勝手にしてくれ。
完全に蚊帳の外に置かれた空はテーブルに肘をつき、ふぅっと溜息をついた。
(あ~あ、どうせ町へ行くなら、半助さんと行きたかった!)
空はガックリと肩を落とした。
「……」
実はこの状況を最も不愉快に感じているのは店にいる男の客たちであった。
看板娘の美女二人を目当てに通う客は多い。
それなのに、その二人が大木に独占され、さらには連れの女をぞんざいに扱っている。
その連れの女の空ですら、皆が目を見張るほどの美少女なのだ。
何であいつだけ――
店内は大木に対する男たちの嫉妬と羨望で充満していた。
空が座っている方の隣のテーブルには男が三人座っている。
いずれも女好きそうな顔をしていて、空のことを品定めするように凝視していた。
男たちは空のことをこう考えていた。
お蜜たちにひけを取らないほどの上玉だ、と。
大木がお蜜と志乃を独り占めしているなら、その連れの女は自分たちが相手をしてあげよう。
そうすれば、連れの女は今のように憂い顔をせずにすむ――と何とも身勝手な親切心から、男たちは空に声をかけていく。
「随分ひどい男だねぇ。お嬢ちゃんみたいないい女をほっぽっておくなんて」
「え?」
「俺たちが相手してあげるよ。こっちに座りな」
「いえいえ、結構です……!」
空は苦笑いで対応する。
だが、男たちは空が遠慮しているものだと勘違いした。
男たちの内の一人が馴れ馴れしく空の肩を抱く。
「そんなに緊張しなくていいから。少し話するだけだしさ?ね、仲良くしようよ」
「え、あの、ちょっと?」
(やだ……!)
嫌悪感で肌が粟立つ。
そのときだった。
「いてぇえ!」
空の肩を掴んだ男の手が宙に浮いている。
大木が手の甲を抓っていたのだ。
男が痛みに呻く隙に、空は大木の背後へと逃げることができた。
「勝手に人の連れに手を出されては困るのう」
大木は相当な力を指に込めたようで、真っ赤に腫れた男の手には爪の跡が深く刻みこまれている。
「なにしやがる!?大体、お前が俺たちのお蜜ちゃんと志乃ちゃんを独占するから悪いんだろ?連れの女ぐらい、いいじゃねぇか?」
「なんだ、なんだ?お前らお蜜ちゃんたちと話せなくて悔しかったのか?ひがんでんのか?」
「うっ……!」
図星なのか、男たちの顔が真っ赤に染まる。
「その方たち、よくこちらのお店にお越しになるのはいいんですけど、少し女癖が悪くて」
「そうそう。だから、来てもあんまり相手しなかったんだけどね。かえってこじらせちゃったのかしら?」
お蜜と志乃が悪気もなくズバズバ言う。
この発言がますます男たちの羞恥に拍車をかけてしまう。
「……」
店内にいた人々は無言でこのやりとりを見つめていた。
内心、空にちょっかいを出さなくてよかったと安堵する男もいたという。
そうしていれば、今この場で恥をかいている人間は自分だったのだ、と。
この騒ぎの当事者である三人は、今や見せしめ状態。
大勢の前で恥をかかされ、赤面した三人の怒りは頂点に達していた。
「ゆ、許さねぇ!おい、お前……表に出ろ!ぶっ潰してやる!」
空をナンパした男が激高し、親指を突き出して「表に出ろ」のジェスチャーをした。
ほかの二人も同様で、殺気立っている。
反対に、大木は顔色一つ変えず飄々とした態度で応えた。
「なんだぁ?おまえら、わしと勝負する気か……?ふむ、よかろう。土いじりだけでは体がなまるからな」
三人に向かってそう告げた大木の顔には、大胆不敵な笑みが浮かんでいた。
***
「あいつら、全然大したことなかったな」
積み荷のない荷車を引きながら、大木がぼやく。
空が呆れたように叫んだ。
「当たり前です……相手は素人ですよ!忍者の大木先生に敵うはずないじゃないですか!?ちゃんと手加減したんですか!?」
「もちろん」
結局、あの三人は大木に向かって特攻していくも、逆に返り討ちに遭うのであった。
(ほんと……もう、無茶苦茶なんだから……)
そもそも、大木があの店に居座り続けさえいなければ、こんな騒ぎにならずに済んだのだというのに。
もっと強気で急かせばよかったと空は後悔していた。
だが、その一方でこのとき空は珍しく大木に感動していた。
(お蜜さんたちに構っていたのに、私のこと……ちゃんと見ていてくれたんだ……)
男たちにちょっかいを出されたとき、すぐに大木が気づいて止めに入ってくれたことが空にとっては嬉しかった。
「あの、大木先生」
「ん?」
「さっきは……助けてくれてありがとうございました」
「おや、素直だな」
「もう……素直で悪いですか!?」
「全然。素直が一番だ!」
大木はそう言って「がっはっは」と豪快に笑う。
一見、いつもと変わらないように見える大木の姿だが、空に不意にお礼を言われて、実は照れていた。
あのとき――
空の肩に男の手が触れた瞬間、大木は全身から血が噴出しそうなほどの激しい怒りを感じていた。
普段、空に対して憎まれ口を叩いている大木だが、本心では空が妹のようにかわいくてしょうがないのである。
どうやら友人以上の特別な思いを抱いているようだ。
「ワシの大切な
「はっ?」
「……なんでもない。それより、お前もお蜜ちゃんたちのようにもう少し肉をつけて、色気を磨いた方がいいぞ!」
「よ、余計なお世話です!」
「ハハ……そんなに顔真っ赤にして。照れるな、照れるな。何だったら土井先生を喜ばすための夜の手ほどきをしてやろうか?」
大木がそう言って空のお尻をいやらしく撫でまわす。
サワサワ……
「やっ……もう、何するんですか!?」
バチィィィィン!!
「ぎゃああああああ!」
顔を真っ赤にした空の張り手が飛び、大木が地面に沈んだ。
「いい加減にしてください!それに……私に触れていいのは、土井先生だけなんだから!」
空は完全に愛想をつかしたようで、荷車から離れすたすたと一人歩いていった。
大木は引っ叩かれた方の頬を手で押さえている。
「おお、痛っ……!あの男たちの拳より強烈だな」
だが、大木は微笑んでいた。
愛情に満ちた微笑みだったが、次第にその瞳には切なさが際立つ。
ふぅと息をつき、複雑な胸の内を呟いた。
「『私に触れていいのは土井先生だけ』か。う~ん、妬けるのう……!」
その言葉が空の耳に届くことはなかった。