白雪に抱く幻想
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今にも冬が降りそうな気配のする冬の頃。
空は寒さに身を振るわせ、部屋の火鉢の前から一歩も動こうとしない。
「さ、寒い…。どうして今日はこんな寒いの……?」
「別に寒くないだろう。日頃から鍛錬が足りない証拠だ」
隣にいる天鬼が平然とそう言う。
彼は空を一瞥した後、読んでいた兵法書へ視線を戻し、静かにページをめくった。
「天鬼さまにそう言われると身も蓋もありません…。ですが、今日の冷え込みはすごくて…。雪が降るんじゃないかっていうくらい寒いですよ!」
「雪か……」
「私は寒いの苦手で。こんなに寒いと、もしかして…」
何かに気づいた空が部屋の戸を開けると、羽毛のような雪が空からはらりはらりと降りている。
「やっぱり!どうりで寒いと思った…!」
それを聞いて、天鬼は一目確認しようと空のもとへ寄った。
「……」
舞い散る雪をもの哀しげな顔で天鬼は見つめていた。
その天鬼の隣で空は凍てつくような寒さに、自分自身を抱き締めるようにして身体をさすっていた。
「もう、最悪…!ほんっと寒いの苦手なのに…」
「空、お前は雪が嫌いか?」
「へっ!?雪……?」
天鬼にこんな質問をぶつけられると思っていなかった空は面食らってしまう。
雪の積もらない温暖な地域で育った空にとって、そこまで思い入れのあるものじゃない。
寧ろ、雪が降った日は公共機関や物流に支障をきたす。
風流だと思うが、どちらかといえば悪い影響の方が目についた。
結局、
「雪は…嫌いじゃないです……」
とどっちつかずな答えに落ち着くのだった。
「そうか……」
それを聞いても、天鬼は特に表情一つ変えない。
(何でそんなこと聞くんだろう…。こういうことを聞く天鬼さまって不思議…)
天鬼の意図がわからない空は、次第に怪訝さと困惑が入り混じった表情を天鬼に向ける。
そんな空の様子を見て、天鬼は悪戯っぽく笑った。
「空……私は雪が好きだ」
「えっ?」
「お前と同じくらいにな……」
天鬼は顔を近づけて、空の唇を吸った。
「あ……」
突然のことに、顔を真っ赤にして立ち尽くす空を残し、天鬼は部屋を出て行った。
空は寒さに身を振るわせ、部屋の火鉢の前から一歩も動こうとしない。
「さ、寒い…。どうして今日はこんな寒いの……?」
「別に寒くないだろう。日頃から鍛錬が足りない証拠だ」
隣にいる天鬼が平然とそう言う。
彼は空を一瞥した後、読んでいた兵法書へ視線を戻し、静かにページをめくった。
「天鬼さまにそう言われると身も蓋もありません…。ですが、今日の冷え込みはすごくて…。雪が降るんじゃないかっていうくらい寒いですよ!」
「雪か……」
「私は寒いの苦手で。こんなに寒いと、もしかして…」
何かに気づいた空が部屋の戸を開けると、羽毛のような雪が空からはらりはらりと降りている。
「やっぱり!どうりで寒いと思った…!」
それを聞いて、天鬼は一目確認しようと空のもとへ寄った。
「……」
舞い散る雪をもの哀しげな顔で天鬼は見つめていた。
その天鬼の隣で空は凍てつくような寒さに、自分自身を抱き締めるようにして身体をさすっていた。
「もう、最悪…!ほんっと寒いの苦手なのに…」
「空、お前は雪が嫌いか?」
「へっ!?雪……?」
天鬼にこんな質問をぶつけられると思っていなかった空は面食らってしまう。
雪の積もらない温暖な地域で育った空にとって、そこまで思い入れのあるものじゃない。
寧ろ、雪が降った日は公共機関や物流に支障をきたす。
風流だと思うが、どちらかといえば悪い影響の方が目についた。
結局、
「雪は…嫌いじゃないです……」
とどっちつかずな答えに落ち着くのだった。
「そうか……」
それを聞いても、天鬼は特に表情一つ変えない。
(何でそんなこと聞くんだろう…。こういうことを聞く天鬼さまって不思議…)
天鬼の意図がわからない空は、次第に怪訝さと困惑が入り混じった表情を天鬼に向ける。
そんな空の様子を見て、天鬼は悪戯っぽく笑った。
「空……私は雪が好きだ」
「えっ?」
「お前と同じくらいにな……」
天鬼は顔を近づけて、空の唇を吸った。
「あ……」
突然のことに、顔を真っ赤にして立ち尽くす空を残し、天鬼は部屋を出て行った。