心休まる特等席
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忍術学園が休日のこと。
半助は空の部屋でくつろいでいた。
空は正座をし、半助の頭は空の太ももの上にある。
所謂、膝枕という体勢をとっていた。
「どうして安藤先生は、ああも飽きもせず嫌味を言えるんだ!?一年は組のよい子たちをバカにして……あの子たちは実戦には強いんだから、ちょっと勉強を頑張れば安藤先生の鼻をあかせるというのに……」
「うんうん」
「あ、この話で思い出した。丁度同じ日に、学園長が新作の火薬を急ぎで作れと仰られて……言うのは簡単なんだけど試作にはものすごい時間がかかるわけで……」
「はいはい」
「そういや、今週食堂のメニュー……練り物多くなかったか?練り物の甘辛煮に竹輪の磯辺揚げ……うどんにはカマボコ入ってるし……食堂のおばちゃん、明らかに私に嫌がらせしているようにしか見えないんだが……」
「そうですねぇ」
半助が愚痴り、空が相槌を打ちながら聞いていく…を繰り返していた。
が、生返事に聞こえる空の相槌に半助は不満そうな顔をしている。
「空……話聞いてたか?」
「ちゃんと聞いてます、聞いてますってば」
苦笑する空は半助の頬を指先でツンツン突いた。
だが、半助の疑いは晴れない。
「ほんっとうに聞いてたか?」
「聞いてましたよ。最初は安藤先生には組をバカにされた話で、次は学園長に無理難題をふっかけられて……最後は食堂のメニュー、練り物が多かったっていう文句です」
完璧に内容を把握していた空。
にもかかわらず、半助は意外にもがっかりした様子でため息をついた。
「ちゃんと聞いてたんだな。はぁ。残念」
「だって、話聞いてないと大変なことになるじゃないですか……!」
「ほう?大変なことって?」
落胆の表情から一転して半助が意地悪く問う。
白々しい半助に、空はなぜかしどろもどろになりながら答えていく。
「もう、わかってるじゃないですか、その……この前うっかり聞き逃したら半助さん、私に……」
そこまで言うと、空はこれ以上のことを話すのが恥ずかしいと口をつぐんでしまった。
「私の話をちゃんと聞いてたから、空にイタズラできないな。あ~あ……」
「何残念がってるんですか……もう!」
心底残念がる半助に、空は呆れてものが言えなかった。
ふと、二人の視線が合う。
半助の優しい瞳が、空を離さない。
空の心臓がトクンと大きく脈打った。
半助が空の袖を引っ張りながら言った。
「お願いがあるんだけど」
「な、なんでしょう……?」
「口付け。空からしてほしい」
そう言い終えた直後、半助はスッと目を閉じた。
普段の彼からは想像つかない無防備な姿。
だが、それは空だけが見れる恋人の特権なのだ。
半助を独占できる嬉しさに、思わず空は目を細めた。
「忍者がこんな簡単に隙を作っていいんですか?」
「いいんだ。今はただのひとりの男だ」
さも当然のように半助が言う。
そんな半助に、空は再び小さく笑った。
「甘えん坊」
「……悪いか?」
「ううん、うれしい」
半助の端正な顔に空は顔を近づけていく。
唇同士が静かに触れた。
しばらくの間、温かく薄い皮膚の感触だけを味わう。
それだけでもとろけるような甘さがあり、ふたりは多幸感に包まれる。
空は次第に半助の唇を優しく啄んでいく。
触れ合うたびに、好き―そう伝えられているような愛情あふれる口付けに、半助は安らぎを感じていた。
顔と顔が離れても小さい唇の感触が恋しいのか、半助はまた袖をひっぱり、せがんだ。
「気持ち良かった。もう一回して」
「え?でも……」
「ダメなの?」
「そうじゃなくて……その……あんまりこうしていると、なんか……変な気分に……」
「そうなったら、私が得するだけだ」
フフっと口元を緩ませた半助は幸せの絶頂に浸っていた。
今日は本当にツイている――
休日はいつも三人組の補習に付き合わされるが、珍しいことに今日はなかった。
従って、誰にも邪魔されず、愛しい恋人と念願の二人きり。
さらに、甘い雰囲気は濃くなるばかりだ。
このまま行けば、半助のお望み通りのムフフな展開が待っているのだ。
「もう……」
半助の喜びぶりを見て、空はわずかに困惑する。
でも、甘えてくる恋人が愛おしくて、つい気を許してしまう。
この後は流れに身を任せようと、空が二回目のキスを落とそうとした、そのときだった。
ガラガラッ
下心を持った半助をあざ笑うかのように、戸が勢いよく開く。
その音で無情にもお楽しみタイムは終了となった。
複数の元気な声が二人に向かって放たれる。
「空さん!町でお団子買ってきましたぁぁ!」
乱太郎、きり丸、しんべえだった。
半助は空の部屋でくつろいでいた。
空は正座をし、半助の頭は空の太ももの上にある。
所謂、膝枕という体勢をとっていた。
「どうして安藤先生は、ああも飽きもせず嫌味を言えるんだ!?一年は組のよい子たちをバカにして……あの子たちは実戦には強いんだから、ちょっと勉強を頑張れば安藤先生の鼻をあかせるというのに……」
「うんうん」
「あ、この話で思い出した。丁度同じ日に、学園長が新作の火薬を急ぎで作れと仰られて……言うのは簡単なんだけど試作にはものすごい時間がかかるわけで……」
「はいはい」
「そういや、今週食堂のメニュー……練り物多くなかったか?練り物の甘辛煮に竹輪の磯辺揚げ……うどんにはカマボコ入ってるし……食堂のおばちゃん、明らかに私に嫌がらせしているようにしか見えないんだが……」
「そうですねぇ」
半助が愚痴り、空が相槌を打ちながら聞いていく…を繰り返していた。
が、生返事に聞こえる空の相槌に半助は不満そうな顔をしている。
「空……話聞いてたか?」
「ちゃんと聞いてます、聞いてますってば」
苦笑する空は半助の頬を指先でツンツン突いた。
だが、半助の疑いは晴れない。
「ほんっとうに聞いてたか?」
「聞いてましたよ。最初は安藤先生には組をバカにされた話で、次は学園長に無理難題をふっかけられて……最後は食堂のメニュー、練り物が多かったっていう文句です」
完璧に内容を把握していた空。
にもかかわらず、半助は意外にもがっかりした様子でため息をついた。
「ちゃんと聞いてたんだな。はぁ。残念」
「だって、話聞いてないと大変なことになるじゃないですか……!」
「ほう?大変なことって?」
落胆の表情から一転して半助が意地悪く問う。
白々しい半助に、空はなぜかしどろもどろになりながら答えていく。
「もう、わかってるじゃないですか、その……この前うっかり聞き逃したら半助さん、私に……」
そこまで言うと、空はこれ以上のことを話すのが恥ずかしいと口をつぐんでしまった。
「私の話をちゃんと聞いてたから、空にイタズラできないな。あ~あ……」
「何残念がってるんですか……もう!」
心底残念がる半助に、空は呆れてものが言えなかった。
ふと、二人の視線が合う。
半助の優しい瞳が、空を離さない。
空の心臓がトクンと大きく脈打った。
半助が空の袖を引っ張りながら言った。
「お願いがあるんだけど」
「な、なんでしょう……?」
「口付け。空からしてほしい」
そう言い終えた直後、半助はスッと目を閉じた。
普段の彼からは想像つかない無防備な姿。
だが、それは空だけが見れる恋人の特権なのだ。
半助を独占できる嬉しさに、思わず空は目を細めた。
「忍者がこんな簡単に隙を作っていいんですか?」
「いいんだ。今はただのひとりの男だ」
さも当然のように半助が言う。
そんな半助に、空は再び小さく笑った。
「甘えん坊」
「……悪いか?」
「ううん、うれしい」
半助の端正な顔に空は顔を近づけていく。
唇同士が静かに触れた。
しばらくの間、温かく薄い皮膚の感触だけを味わう。
それだけでもとろけるような甘さがあり、ふたりは多幸感に包まれる。
空は次第に半助の唇を優しく啄んでいく。
触れ合うたびに、好き―そう伝えられているような愛情あふれる口付けに、半助は安らぎを感じていた。
顔と顔が離れても小さい唇の感触が恋しいのか、半助はまた袖をひっぱり、せがんだ。
「気持ち良かった。もう一回して」
「え?でも……」
「ダメなの?」
「そうじゃなくて……その……あんまりこうしていると、なんか……変な気分に……」
「そうなったら、私が得するだけだ」
フフっと口元を緩ませた半助は幸せの絶頂に浸っていた。
今日は本当にツイている――
休日はいつも三人組の補習に付き合わされるが、珍しいことに今日はなかった。
従って、誰にも邪魔されず、愛しい恋人と念願の二人きり。
さらに、甘い雰囲気は濃くなるばかりだ。
このまま行けば、半助のお望み通りのムフフな展開が待っているのだ。
「もう……」
半助の喜びぶりを見て、空はわずかに困惑する。
でも、甘えてくる恋人が愛おしくて、つい気を許してしまう。
この後は流れに身を任せようと、空が二回目のキスを落とそうとした、そのときだった。
ガラガラッ
下心を持った半助をあざ笑うかのように、戸が勢いよく開く。
その音で無情にもお楽しみタイムは終了となった。
複数の元気な声が二人に向かって放たれる。
「空さん!町でお団子買ってきましたぁぁ!」
乱太郎、きり丸、しんべえだった。