オトナの証明【R-15】
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それは、とある放課後のことだった。
半助は職員室で執務中。
一心不乱に筆を動かす姿は、猫の手も借りたいほど忙しいといった様子だ。
ドタドタドタ……
不意に、部屋に近づいてくる足音が耳に入る。
(しんべえほどじゃないけど、このどんくさい足音はもしかして……)
その特徴的な足音で、半助はその人物が誰だかわかった。
間髪入れず、部屋の戸がいきなり開く。
「土井先生!」
声の主は半助の推測通り、空だった。
一年は組の職員室に入るやいなや、空は半助にすがるように抱き着いていく。
「空……!?」
突然のことに、半助は驚きを隠せない。
顔を覗けば、涙で頬が濡れている。
「何かあったのか!?」
「聞いてください!実は……」
空は自分の身に起こったことをゆっくりと話し始めた。
***
事情を聞いた半助は少々呆れていた。
「う~ん、話はわかった。けどな、泣くほどのことじゃないだろう……」
「わかってます!わかってますよ、私だって。でも、今日だけはどうしても許せなかったんです。大木先生の発言が!」
興奮気味に話しながら、空は涙を拭う。
普段、温和で滅多に人と争わない空だが、一人だけ例外がいる。
大木雅之助。
忍術学園の元教師である。
どうやら彼が空を悲しませた元凶のようだ。
空の話した内容はこうだった。
杭瀬村で作った野菜を届けに、大木は時々忍術学園を訪れる。
今日がたまたまその日で、空は食堂で大木とばったり出くわしてしまった。
「あ、大木先生」
大木は空を見るなり、素早くその背後を取っては、勢いよくお尻を叩いた。
「いたっ!何するんですか!?」
「よっ!誰かと思ったら空じゃないか」
「もう、やめてください!会ってすぐにおしり叩くの!」
「これはな、どこんじょーの気合いを入れているんだ、気合を。それに毎回言っているが、わしは色気のあるお・と・なのオンナが好みなんだ!だから、お前のなんか触っても、異性として全く興味はないから安心しろ」
「わ、私だって大木先生みたいな野蛮な方はまっぴらごめんです!サイテー!」
大木はどこか楽しそうな笑みすら浮かべている。
対して、空はゴジラもかくやという表情だ。
このやりとりは顔を合わせれば発生する、恒例行事のようなもの。
空は全く知らないが、大木は実は空を妹のように可愛がっている。
自分がおちょくる度に怒ったり、拗ねらせたりと感情を素直に出す。
そんなわかりやすい反応をする空が面白くて、つい意地悪をしてしまうのだ。
杭瀬村から忍術学園に来る大木の楽しみの一つがこれであった。
しかし、空は大木が大の苦手だった。
ガサツで豪快。
良くも悪くも、今までに見たこともない種類の男である。
男性との交友関係が持てなかった空は、先ほどのように揶揄されることに慣れていない。
他のくノ一や女性たちに構うことのない大木が空だけにとる行動が、自分への好意の裏返しということに全然気が付かないのだ。
「なあ、空。食堂のおばちゃんは?」
大木は親しげに空に聞く。
しかし、空からすれば、極めて偉そうな態度。
カチンときた空は、もう無視することにした。
「おい、空。聞いてるのか?」
「……」
「空、何でワシを無視するんだ!?」
「……」
その後、大木がいくら話しかけても、空はうんともすんとも言わない。
これに大木は不満をあらわにし、心ない言葉を浴びせてしまう。
「やれやれ。ああ、こんな愛想のないお子様な恋人を持つ土井先生が、気の毒でしょうがない!」
大木は肩を竦めながら、わざと仰々しく言った。
が、次の瞬間、大木の表情が驚愕と困惑の感情で支配される。
空の目には大粒の涙が溜まっていた。
「お、おい!」
お子様。
最も聞きたくない言葉を耳にして、空はその場から逃げるように駆け出していた。
半助は職員室で執務中。
一心不乱に筆を動かす姿は、猫の手も借りたいほど忙しいといった様子だ。
ドタドタドタ……
不意に、部屋に近づいてくる足音が耳に入る。
(しんべえほどじゃないけど、このどんくさい足音はもしかして……)
その特徴的な足音で、半助はその人物が誰だかわかった。
間髪入れず、部屋の戸がいきなり開く。
「土井先生!」
声の主は半助の推測通り、空だった。
一年は組の職員室に入るやいなや、空は半助にすがるように抱き着いていく。
「空……!?」
突然のことに、半助は驚きを隠せない。
顔を覗けば、涙で頬が濡れている。
「何かあったのか!?」
「聞いてください!実は……」
空は自分の身に起こったことをゆっくりと話し始めた。
***
事情を聞いた半助は少々呆れていた。
「う~ん、話はわかった。けどな、泣くほどのことじゃないだろう……」
「わかってます!わかってますよ、私だって。でも、今日だけはどうしても許せなかったんです。大木先生の発言が!」
興奮気味に話しながら、空は涙を拭う。
普段、温和で滅多に人と争わない空だが、一人だけ例外がいる。
大木雅之助。
忍術学園の元教師である。
どうやら彼が空を悲しませた元凶のようだ。
空の話した内容はこうだった。
杭瀬村で作った野菜を届けに、大木は時々忍術学園を訪れる。
今日がたまたまその日で、空は食堂で大木とばったり出くわしてしまった。
「あ、大木先生」
大木は空を見るなり、素早くその背後を取っては、勢いよくお尻を叩いた。
「いたっ!何するんですか!?」
「よっ!誰かと思ったら空じゃないか」
「もう、やめてください!会ってすぐにおしり叩くの!」
「これはな、どこんじょーの気合いを入れているんだ、気合を。それに毎回言っているが、わしは色気のあるお・と・なのオンナが好みなんだ!だから、お前のなんか触っても、異性として全く興味はないから安心しろ」
「わ、私だって大木先生みたいな野蛮な方はまっぴらごめんです!サイテー!」
大木はどこか楽しそうな笑みすら浮かべている。
対して、空はゴジラもかくやという表情だ。
このやりとりは顔を合わせれば発生する、恒例行事のようなもの。
空は全く知らないが、大木は実は空を妹のように可愛がっている。
自分がおちょくる度に怒ったり、拗ねらせたりと感情を素直に出す。
そんなわかりやすい反応をする空が面白くて、つい意地悪をしてしまうのだ。
杭瀬村から忍術学園に来る大木の楽しみの一つがこれであった。
しかし、空は大木が大の苦手だった。
ガサツで豪快。
良くも悪くも、今までに見たこともない種類の男である。
男性との交友関係が持てなかった空は、先ほどのように揶揄されることに慣れていない。
他のくノ一や女性たちに構うことのない大木が空だけにとる行動が、自分への好意の裏返しということに全然気が付かないのだ。
「なあ、空。食堂のおばちゃんは?」
大木は親しげに空に聞く。
しかし、空からすれば、極めて偉そうな態度。
カチンときた空は、もう無視することにした。
「おい、空。聞いてるのか?」
「……」
「空、何でワシを無視するんだ!?」
「……」
その後、大木がいくら話しかけても、空はうんともすんとも言わない。
これに大木は不満をあらわにし、心ない言葉を浴びせてしまう。
「やれやれ。ああ、こんな愛想のないお子様な恋人を持つ土井先生が、気の毒でしょうがない!」
大木は肩を竦めながら、わざと仰々しく言った。
が、次の瞬間、大木の表情が驚愕と困惑の感情で支配される。
空の目には大粒の涙が溜まっていた。
「お、おい!」
お子様。
最も聞きたくない言葉を耳にして、空はその場から逃げるように駆け出していた。