あなただけに、捧ぐ【R-15】
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燭台の灯りしかない薄暗い部屋で、白い二つの肢体が動いている。
息を切らしながら男が激しい腰の動きを止める。
その直後、布団を握りしめて背を反らし快感に震える女から悲鳴のような喘ぎ声が漏れた。
「あぁぁぁぁぁっ……!」
二つの身体は離れ、女は脱力感に苛まれたまま、布団の上に沈み込んでいった。
肩を大きく上下させながら、その瞳は虚空をさまよっている。
恍惚の表情で、痙攣の残る身体を丸くする女はまるでか弱い子猫のようだった。
「そんなに良かったか…」
男は満足そうな顔で女の尽きた様子を俯瞰している。
「天鬼さま…」
夢見心地のまま、女は呟いた。
天鬼――
忍術学園の教科担当教師、土井半助のもうひとつの姿。
普段は穏やかで常に優しい笑みをたたえている半助だが、ひとたび天鬼に変わるとその性格は一変する――
「空……かわいいやつ」
どこかあどけなさを残す、清楚で麗しい女性――空に天鬼は妖しい微笑みを向ける。
天鬼は美しい。
でもその美しさは…魔的な美しさ。
顔の造形はよく、鼻、口ともに整っている。
背は高く、精悍な体つき。
だが、天鬼を特徴づけているものはその目であった。
身体の芯から凍りつくような冷たい目。
そこから凄まじい気を発している。
それゆえ、侵しがたい気品を纏い、逆らい難い雰囲気を醸し出していた。
彫刻を思わせるような秀麗な外見と常人では持ちえない高貴さと佇まい。
この三つが調和し存在したとき、人は畏怖の念を覚えると同時に魅了される。
完璧すぎる、悪魔の美に――
「空…お前といる時が一番心が満たされる…」
「ありがとうございます…天鬼さま…」
天鬼は空の傍に寄り、唇を吸う。
その口付けは少し前まで身勝手に行為に及んでいた天鬼からは想像できないほど、愛情溢れるものだった。
唇が離れた後、空は天鬼の目を見た。
そこには今、温かい光が宿っている。
この瞳は自分しか見ることができない、特別な眼――
身震いするほどの歓びを感じた空は、全幅の信頼を寄せた表情でぴったりと身体をくっつけていく。
今日二人は幾重にも身体を交えていた。
事後の倦怠感と伝わる温もりの心地よさに、いつの間にか眠りに落ちてしまった。
先に目を覚ましたのは天鬼だった。
真っ暗に近かった部屋に、明るい光が差し込み始めている。
(そろそろ行かねば…)
天鬼が身を起こしたと同時に、空の目がゆっくりと開く。
「て…んき…さま……」
空は目を擦っているが、天鬼との別れが迫っていることをすぐに悟る。
ふたりは恋人でありながら、その関係は主従同然だった。
空としては、身も心も繋がった余韻にもっと浸りたかったが、従者が主人より長く寝ているわけにはいかない。
「天鬼さま、お召し物を」
「ああ、頼む」
天鬼の身支度を手伝うため、空は素早く起き上がった。
少し離れていた場所に無造作に脱ぎ捨てられていた天鬼の装束を取りに行く。
拾い終えて戻ると、天鬼の背中の傷の痕が目に入った。
刃物で切り裂かれた傷痕が無数にある。
それは天鬼の壮絶な人生を物語っており、空は見る度に胸を痛めていた。
ふと、背中にできて間もない傷がある。
皮膚が赤みがかっている部分にできた引っかき傷だ。
(この傷…私の爪で…)
それは、天鬼と交えた際に強烈な痛みと快感に耐えながら空が残したものだった。
男と女の関係になっても、未だに初心 な部分を多く残す空は、その傷を見て一気に顔の温度が上昇していく。
いつまでたっても服を着せようとしない空を天鬼は怪訝な表情で見つめていた。
「どうした?」
「いえ…何でも…」
「何でもないわけなかろう。そんなに顔を赤くして」
身体を貫かれたことを思い出していたなんてとても口に出せず、空は恥ずかしさでとうとう黙り込んでしまう。
「…何を考えていたか言えないのか?」
自分の質問に答えないことを不服に思った天鬼は、空をキッと睨みつける。
たとえ恋人であろうと、無礼だと感じた態度には容赦がない。
その天鬼の睨みには、彼のことを知らないものが見たら、一瞬で腰を抜かすくらいの凄みがあった。
しかし、空は天鬼の視線をしっかりと受け止めていた。
その絶対零度の目に耐えうることができるのは、心から天鬼を愛している者だけ。
ただ美しいだけではない。
凛とした強さを空は内に秘めていた。
「この傷…私がつけてしまって。天鬼さまの美しい身体に…」
傷のある個所に手を添え、空はとても申し訳なさそうに呟いた。
このとき、ようやく天鬼は空が何故口をつぐんでいたかを理解する。
直後、天鬼の高笑いが部屋に響いた。
「フハハハハハ!成程。随分、良からぬことを想像していたんだな」
「天鬼さまっ!」
「気にしておらぬ、こんな猫につけられたような傷など」
「ね、猫……!」
「とても可愛らしく喚いていた、なぁ、空」
天鬼は空から自分に着せようとした着物を奪い取ると、まるでゴミでも扱うかのようにそれを投げ捨てた。
「天鬼さま……?」
天鬼は完全に好色をあらわにした表情で、空を見ている。
「気が変わった。これと同じ傷…今からつけてもらおうか」
「そ、そんな…!」
「思い出して頬を赤く染めよって。待っていろ。すぐに良くしてやる」
その言葉の終わりには、天鬼はもう空を押し倒していた。
「で、でも天鬼さま、もうお帰りにならないと…!」
「煽ったお前が何を言うか。それに…」
天鬼は空の足の付け根に手を置き、数回撫で回した。
「ひゃ…ぁ…ん」
自分の敏感な部分を這う男らしい指の感覚に、思わず身体がビクッと震える。
「身体は歓んでいる…」
天鬼は指にほんの少し絡みついた蜜を舐めた。
伏し目がちな顔とその振る舞いのなんと妖美なこと。
その魔的な魅力を前に、空はもうどうすることもできない。
ただただ身体が疼いてしょうがなかった。
何かを欲しているような、蕩けた目で天鬼を見つめている。
「天鬼さまぁ…」
甘く切ない声が響く。
ひどく官能的な表情と声に本能を刺激された天鬼は、遠慮なく空の唇を貪り始めた。
「ん……」
しばらく濃厚な口付けを二人は楽しむ。
だが、それが終わると他の前戯は一切なく、天鬼は身体を繋げ、下半身を動かし始めた。
充分に愛撫を受けていない状態で一方的に責められ、空は激しい痛みに我慢できずに叫ぶ。
「あぁ!てんき…さまぁっ…いやぁっ!痛いっ…!」
天鬼の身体にしがみつき、陵辱にひたすら耐える。
爪が天鬼の皮膚に食い込み、天鬼の腰が前後する度にその切り傷がついた。
「いいぞ、その苦痛に歪んだ顔…!」
天鬼は自分につく傷なんかまるで他人事で、それよりも空の悶え苦しむ姿に悦に入っている。
だが、苦しみと痛みの感覚はいつまでも続かない。
空の悲鳴のような声がいつしか嬌声に変わる。
「やぁ…ん、あぁ、いいっ…、もっとしてっ」
その瞬間が天鬼は最も好きだった。
空は自分の所有物 だと実感できる瞬間が。
そのみだらな快感で、天鬼の昂りは最高潮に達するのだ。
天鬼は上体を起こすと、艶やかな声を聞きながら心底愉しそうに空の身体を深く突き上げる。
「んんっっ、ふぁっ、んぁっ、はぁぁんっ」
自分の身体がバラバラに離れてしまいそう―津波のような快感の波に空は必死に耐え抜く。
その様子が愉快でたまらないといった表情で天鬼は甚振り続ける。
やがて、天鬼が口を開いた。
冷たい笑みとともに。
「空、お前は幸せなやつだ…」
「はぁっ、あぁっ、んぁっ…」
空が天鬼に応える余裕は微塵もなかった。
身体の奥に感じる断続的な刺激に夢中で喘ぐしかないのだ。
それでも、空は天鬼に応えようと必死で目を合わせると、天鬼はいつものあの目で空を見下ろしていた。
「この私に選ばれたことを感謝しろ」
背筋が凍るほどの狂気を孕んだ冷たい眼。
その眼が作り出す微笑―絶対的な妖艶さに、空は肌が粟立つ。
やがて、もうひとつの快感で容易に達してしまった。
脳天に強い衝撃が奔り抜けたあと、視界の中のぼやけた輪郭像に向かって空はフッと笑う。
(愛しています、天鬼様…。その氷のような冷たささえも…)
(私はもう、身も心もあなただけのもの…)
薄れゆく意識の中、空は天鬼への愛と忠誠を誓う。
彼女が最後に聞いたのは、自分の中に熱を注ぎ込んだ天鬼の低い呻き声だった。
息を切らしながら男が激しい腰の動きを止める。
その直後、布団を握りしめて背を反らし快感に震える女から悲鳴のような喘ぎ声が漏れた。
「あぁぁぁぁぁっ……!」
二つの身体は離れ、女は脱力感に苛まれたまま、布団の上に沈み込んでいった。
肩を大きく上下させながら、その瞳は虚空をさまよっている。
恍惚の表情で、痙攣の残る身体を丸くする女はまるでか弱い子猫のようだった。
「そんなに良かったか…」
男は満足そうな顔で女の尽きた様子を俯瞰している。
「天鬼さま…」
夢見心地のまま、女は呟いた。
天鬼――
忍術学園の教科担当教師、土井半助のもうひとつの姿。
普段は穏やかで常に優しい笑みをたたえている半助だが、ひとたび天鬼に変わるとその性格は一変する――
「空……かわいいやつ」
どこかあどけなさを残す、清楚で麗しい女性――空に天鬼は妖しい微笑みを向ける。
天鬼は美しい。
でもその美しさは…魔的な美しさ。
顔の造形はよく、鼻、口ともに整っている。
背は高く、精悍な体つき。
だが、天鬼を特徴づけているものはその目であった。
身体の芯から凍りつくような冷たい目。
そこから凄まじい気を発している。
それゆえ、侵しがたい気品を纏い、逆らい難い雰囲気を醸し出していた。
彫刻を思わせるような秀麗な外見と常人では持ちえない高貴さと佇まい。
この三つが調和し存在したとき、人は畏怖の念を覚えると同時に魅了される。
完璧すぎる、悪魔の美に――
「空…お前といる時が一番心が満たされる…」
「ありがとうございます…天鬼さま…」
天鬼は空の傍に寄り、唇を吸う。
その口付けは少し前まで身勝手に行為に及んでいた天鬼からは想像できないほど、愛情溢れるものだった。
唇が離れた後、空は天鬼の目を見た。
そこには今、温かい光が宿っている。
この瞳は自分しか見ることができない、特別な眼――
身震いするほどの歓びを感じた空は、全幅の信頼を寄せた表情でぴったりと身体をくっつけていく。
今日二人は幾重にも身体を交えていた。
事後の倦怠感と伝わる温もりの心地よさに、いつの間にか眠りに落ちてしまった。
先に目を覚ましたのは天鬼だった。
真っ暗に近かった部屋に、明るい光が差し込み始めている。
(そろそろ行かねば…)
天鬼が身を起こしたと同時に、空の目がゆっくりと開く。
「て…んき…さま……」
空は目を擦っているが、天鬼との別れが迫っていることをすぐに悟る。
ふたりは恋人でありながら、その関係は主従同然だった。
空としては、身も心も繋がった余韻にもっと浸りたかったが、従者が主人より長く寝ているわけにはいかない。
「天鬼さま、お召し物を」
「ああ、頼む」
天鬼の身支度を手伝うため、空は素早く起き上がった。
少し離れていた場所に無造作に脱ぎ捨てられていた天鬼の装束を取りに行く。
拾い終えて戻ると、天鬼の背中の傷の痕が目に入った。
刃物で切り裂かれた傷痕が無数にある。
それは天鬼の壮絶な人生を物語っており、空は見る度に胸を痛めていた。
ふと、背中にできて間もない傷がある。
皮膚が赤みがかっている部分にできた引っかき傷だ。
(この傷…私の爪で…)
それは、天鬼と交えた際に強烈な痛みと快感に耐えながら空が残したものだった。
男と女の関係になっても、未だに
いつまでたっても服を着せようとしない空を天鬼は怪訝な表情で見つめていた。
「どうした?」
「いえ…何でも…」
「何でもないわけなかろう。そんなに顔を赤くして」
身体を貫かれたことを思い出していたなんてとても口に出せず、空は恥ずかしさでとうとう黙り込んでしまう。
「…何を考えていたか言えないのか?」
自分の質問に答えないことを不服に思った天鬼は、空をキッと睨みつける。
たとえ恋人であろうと、無礼だと感じた態度には容赦がない。
その天鬼の睨みには、彼のことを知らないものが見たら、一瞬で腰を抜かすくらいの凄みがあった。
しかし、空は天鬼の視線をしっかりと受け止めていた。
その絶対零度の目に耐えうることができるのは、心から天鬼を愛している者だけ。
ただ美しいだけではない。
凛とした強さを空は内に秘めていた。
「この傷…私がつけてしまって。天鬼さまの美しい身体に…」
傷のある個所に手を添え、空はとても申し訳なさそうに呟いた。
このとき、ようやく天鬼は空が何故口をつぐんでいたかを理解する。
直後、天鬼の高笑いが部屋に響いた。
「フハハハハハ!成程。随分、良からぬことを想像していたんだな」
「天鬼さまっ!」
「気にしておらぬ、こんな猫につけられたような傷など」
「ね、猫……!」
「とても可愛らしく喚いていた、なぁ、空」
天鬼は空から自分に着せようとした着物を奪い取ると、まるでゴミでも扱うかのようにそれを投げ捨てた。
「天鬼さま……?」
天鬼は完全に好色をあらわにした表情で、空を見ている。
「気が変わった。これと同じ傷…今からつけてもらおうか」
「そ、そんな…!」
「思い出して頬を赤く染めよって。待っていろ。すぐに良くしてやる」
その言葉の終わりには、天鬼はもう空を押し倒していた。
「で、でも天鬼さま、もうお帰りにならないと…!」
「煽ったお前が何を言うか。それに…」
天鬼は空の足の付け根に手を置き、数回撫で回した。
「ひゃ…ぁ…ん」
自分の敏感な部分を這う男らしい指の感覚に、思わず身体がビクッと震える。
「身体は歓んでいる…」
天鬼は指にほんの少し絡みついた蜜を舐めた。
伏し目がちな顔とその振る舞いのなんと妖美なこと。
その魔的な魅力を前に、空はもうどうすることもできない。
ただただ身体が疼いてしょうがなかった。
何かを欲しているような、蕩けた目で天鬼を見つめている。
「天鬼さまぁ…」
甘く切ない声が響く。
ひどく官能的な表情と声に本能を刺激された天鬼は、遠慮なく空の唇を貪り始めた。
「ん……」
しばらく濃厚な口付けを二人は楽しむ。
だが、それが終わると他の前戯は一切なく、天鬼は身体を繋げ、下半身を動かし始めた。
充分に愛撫を受けていない状態で一方的に責められ、空は激しい痛みに我慢できずに叫ぶ。
「あぁ!てんき…さまぁっ…いやぁっ!痛いっ…!」
天鬼の身体にしがみつき、陵辱にひたすら耐える。
爪が天鬼の皮膚に食い込み、天鬼の腰が前後する度にその切り傷がついた。
「いいぞ、その苦痛に歪んだ顔…!」
天鬼は自分につく傷なんかまるで他人事で、それよりも空の悶え苦しむ姿に悦に入っている。
だが、苦しみと痛みの感覚はいつまでも続かない。
空の悲鳴のような声がいつしか嬌声に変わる。
「やぁ…ん、あぁ、いいっ…、もっとしてっ」
その瞬間が天鬼は最も好きだった。
空は自分の
そのみだらな快感で、天鬼の昂りは最高潮に達するのだ。
天鬼は上体を起こすと、艶やかな声を聞きながら心底愉しそうに空の身体を深く突き上げる。
「んんっっ、ふぁっ、んぁっ、はぁぁんっ」
自分の身体がバラバラに離れてしまいそう―津波のような快感の波に空は必死に耐え抜く。
その様子が愉快でたまらないといった表情で天鬼は甚振り続ける。
やがて、天鬼が口を開いた。
冷たい笑みとともに。
「空、お前は幸せなやつだ…」
「はぁっ、あぁっ、んぁっ…」
空が天鬼に応える余裕は微塵もなかった。
身体の奥に感じる断続的な刺激に夢中で喘ぐしかないのだ。
それでも、空は天鬼に応えようと必死で目を合わせると、天鬼はいつものあの目で空を見下ろしていた。
「この私に選ばれたことを感謝しろ」
背筋が凍るほどの狂気を孕んだ冷たい眼。
その眼が作り出す微笑―絶対的な妖艶さに、空は肌が粟立つ。
やがて、もうひとつの快感で容易に達してしまった。
脳天に強い衝撃が奔り抜けたあと、視界の中のぼやけた輪郭像に向かって空はフッと笑う。
(愛しています、天鬼様…。その氷のような冷たささえも…)
(私はもう、身も心もあなただけのもの…)
薄れゆく意識の中、空は天鬼への愛と忠誠を誓う。
彼女が最後に聞いたのは、自分の中に熱を注ぎ込んだ天鬼の低い呻き声だった。