子守りデート
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本日は忍術学園の休校日。
半助の部屋の前に、空となぜか女装をしたきり丸が立っていた。
「赤ん坊全員揃いましたから、今から子守りのバイト、よろしくお願いしますね」
「うん!きり丸君、じゃなかった……きり子ちゃんも行ってらっしゃい」
空は手を振ってきり丸と別れた。
きり丸はこれから上級生たちと一緒に花売りのバイトに行くという。
そのため、女装をして「きり子」に扮していた。
一方、空と半助は今日一日一緒に子守のバイトを受け持つことになっている。
半助の部屋に入れば、赤ん坊がズラリと並んである。
その数、何と五人。
ちょっとした託児所と化している。
結構な人数を前に、空は少し圧倒されていた。
「赤ん坊五人の面倒見るのって、大変そうですね……」
「ははは。普通そうだよな。私はもう慣れてしまったけど」
いつものことだと半助は全く動じない。
その姿に空は頼もしさを感じている。
「土井先生、今日はよろしくお願いします。子守のこと、改めて色々教えてくださいね。この前は私……抱っことおんぶくらいしかできなかったし」
「あはは。そんなに堅苦しく考えなくていいから」
何気なく返事する半助だったが、心の中では相当舞い上がっている。
先日、空は半助の子守りを初めて手伝った。
その際に、「今後は是非私も一緒に」と半助に懇願していたのだ。
従って、きり丸からバイトを引き受ける度に、半助は必ず空と一緒に居られるのである。
バイト様様だった。
空が隣にいるだけで、疲弊しきって終わる虚しい休日が薔薇色の一日にガラリと変わるのだ。
***
目の前にいる五人の赤ん坊は、それぞれだった。
天使の寝顔を見せている子もいれば、手足だけをジタバタと動かす子に寝返りしようとしている活発な子。
今のところ、全員機嫌がよい。
赤ん坊たちの無垢な可愛らしさに空の母性本能が刺激される。
ふくよかな頬をつついたり、壊れそうなくらいの小さな手を握ったり。
空はいとおしそうに呟いた。
「赤ちゃんって、本当に可愛いですね」
そう言って、赤子と戯れる空は無邪気で可愛らしい。
心温まる微笑ましい光景に、半助の頬が緩む。
今の空には、なぜこの世界にいるのかを憂う……そんな時折見せる儚さなど微塵もない。
飾らない、素の表情を見せる空に、半助は胸がときめきっぱなしで、見入っている。
だが、ここで赤ん坊たちがそれぞれの仕事を開始した。
オギャア、オギャア……と一人、また一人と泣き出したのだ。
空は急いで赤ん坊の一人を抱っこする。
半助も別の子を腕におさめた。
「よしよし」
「いい子だから、泣かないでおくれ」
半助の抱いた赤子は泣き止んで落ちついた。が、空は大苦戦中。
困り果てた空に、半助が救いの手を差し伸べた。
「貸してごらん」
そう言って、半助が赤ん坊をひょいと取り上げる。
高い高いをしたり、いないばあをしたり。
次第にその赤ん坊はキャッキャと笑顔になっていく。
「そ、そんな……」
空が呆然と呟く。
自分も全く同じあやし方を試したのに、こうも差が出るなんて、と。
クスッと笑った半助が言う。
「どうやら、この子は私の方が好きみたいだな」
「わ、私も同じことしたのに!」
「この前、子守を手伝ってくれたときは逆だったろ。君じゃないと泣き止まない赤ん坊もいた。相性もあるからな」
「そういうもんですかね……」
「そういうもんだ」
泣き止んだ赤ん坊を前に、空が未だ頬を膨らませている。
出鼻をくじかれて悔しいのだ。
その拗ねた表情までが可愛らしくて、半助の胸がドキリとする。
と、ここでまた別の赤ん坊が泣き始めた。
先の失態を挽回しようと、空が率先して抱え上げる。
が、次の瞬間、空は愕然とした表情で水滴のついた自分の手を見た。
「この子、おもらししてる……」
半助が笑いを堪えながら申し出た。
「私がおしめ変えようか?」
「だ、大丈夫です!この前何回も練習しましたから……」
こみ上げてくる恥ずかしさに耐えつつ、空は気を取り直して、赤ん坊の濡れたおしめを外した。
そのときだった。
チビビッ
「えっ!?」
この赤ちゃんは男の子。
まだおしっこを全部出し切れていなかったようで、股についたものから、その残りが噴射する。
そして、それは運の悪いことに、空の手に命中してしまった。
半助はとうとう大笑いした。
「土井先生!」
「ごめんごめん……やっぱり私がやろう。空君は手を洗っておいで。外に水を張った桶を用意してあるから」
結局、空は半助の指示通りに動くことしかできなかった。
***
空の目の前には、新しいおしめに取り替えられて機嫌を良くしたさっきの赤ちゃんがいた。
その傍らで、半助がもう別の子のおむつ替えをしている。
「すごい……」
鮮やかな手つきに、空も思わず拍手を送る。
が、すぐにその表情が暗くなる。
以前、友人の兄弟を世話した時のようにうまくいかないのがもどかしかった。
せっかく半助の役に立ちたかったのに、空回りしている自分に失望していた。
「私、今日は完全にお荷物ですね……」
「そんなことないよ、抱っこしたりあやしたり、赤ん坊に付き添ったりしてくれるだけでも有難いよ。ほら、見てごらん」
半助に指さされた方を空が見る。
赤ん坊が空の服を引っ張りながら微笑んでいた。
「こんなに甘えられて……きちんと必要とされているよ」
赤ん坊の笑みは、どんなに嫌なことがあっても、それを吹き飛ばすくらいの癒しの力がある。
あは……と空もつられて笑顔になった。
またもや、別の赤ん坊が泣きだした。
少し様子を窺ってから空が赤ん坊のおしめを触れば、そこは濡れていた。
「土井先生、今度こそ私がやってもいいですか?あとその……」
「うん。わからなくなったら、手伝うよ」
半助が快く了承すると、空は安心したように頷いてから、いそいそとおしめを替える準備を始めた。
半助の部屋の前に、空となぜか女装をしたきり丸が立っていた。
「赤ん坊全員揃いましたから、今から子守りのバイト、よろしくお願いしますね」
「うん!きり丸君、じゃなかった……きり子ちゃんも行ってらっしゃい」
空は手を振ってきり丸と別れた。
きり丸はこれから上級生たちと一緒に花売りのバイトに行くという。
そのため、女装をして「きり子」に扮していた。
一方、空と半助は今日一日一緒に子守のバイトを受け持つことになっている。
半助の部屋に入れば、赤ん坊がズラリと並んである。
その数、何と五人。
ちょっとした託児所と化している。
結構な人数を前に、空は少し圧倒されていた。
「赤ん坊五人の面倒見るのって、大変そうですね……」
「ははは。普通そうだよな。私はもう慣れてしまったけど」
いつものことだと半助は全く動じない。
その姿に空は頼もしさを感じている。
「土井先生、今日はよろしくお願いします。子守のこと、改めて色々教えてくださいね。この前は私……抱っことおんぶくらいしかできなかったし」
「あはは。そんなに堅苦しく考えなくていいから」
何気なく返事する半助だったが、心の中では相当舞い上がっている。
先日、空は半助の子守りを初めて手伝った。
その際に、「今後は是非私も一緒に」と半助に懇願していたのだ。
従って、きり丸からバイトを引き受ける度に、半助は必ず空と一緒に居られるのである。
バイト様様だった。
空が隣にいるだけで、疲弊しきって終わる虚しい休日が薔薇色の一日にガラリと変わるのだ。
***
目の前にいる五人の赤ん坊は、それぞれだった。
天使の寝顔を見せている子もいれば、手足だけをジタバタと動かす子に寝返りしようとしている活発な子。
今のところ、全員機嫌がよい。
赤ん坊たちの無垢な可愛らしさに空の母性本能が刺激される。
ふくよかな頬をつついたり、壊れそうなくらいの小さな手を握ったり。
空はいとおしそうに呟いた。
「赤ちゃんって、本当に可愛いですね」
そう言って、赤子と戯れる空は無邪気で可愛らしい。
心温まる微笑ましい光景に、半助の頬が緩む。
今の空には、なぜこの世界にいるのかを憂う……そんな時折見せる儚さなど微塵もない。
飾らない、素の表情を見せる空に、半助は胸がときめきっぱなしで、見入っている。
だが、ここで赤ん坊たちがそれぞれの仕事を開始した。
オギャア、オギャア……と一人、また一人と泣き出したのだ。
空は急いで赤ん坊の一人を抱っこする。
半助も別の子を腕におさめた。
「よしよし」
「いい子だから、泣かないでおくれ」
半助の抱いた赤子は泣き止んで落ちついた。が、空は大苦戦中。
困り果てた空に、半助が救いの手を差し伸べた。
「貸してごらん」
そう言って、半助が赤ん坊をひょいと取り上げる。
高い高いをしたり、いないばあをしたり。
次第にその赤ん坊はキャッキャと笑顔になっていく。
「そ、そんな……」
空が呆然と呟く。
自分も全く同じあやし方を試したのに、こうも差が出るなんて、と。
クスッと笑った半助が言う。
「どうやら、この子は私の方が好きみたいだな」
「わ、私も同じことしたのに!」
「この前、子守を手伝ってくれたときは逆だったろ。君じゃないと泣き止まない赤ん坊もいた。相性もあるからな」
「そういうもんですかね……」
「そういうもんだ」
泣き止んだ赤ん坊を前に、空が未だ頬を膨らませている。
出鼻をくじかれて悔しいのだ。
その拗ねた表情までが可愛らしくて、半助の胸がドキリとする。
と、ここでまた別の赤ん坊が泣き始めた。
先の失態を挽回しようと、空が率先して抱え上げる。
が、次の瞬間、空は愕然とした表情で水滴のついた自分の手を見た。
「この子、おもらししてる……」
半助が笑いを堪えながら申し出た。
「私がおしめ変えようか?」
「だ、大丈夫です!この前何回も練習しましたから……」
こみ上げてくる恥ずかしさに耐えつつ、空は気を取り直して、赤ん坊の濡れたおしめを外した。
そのときだった。
チビビッ
「えっ!?」
この赤ちゃんは男の子。
まだおしっこを全部出し切れていなかったようで、股についたものから、その残りが噴射する。
そして、それは運の悪いことに、空の手に命中してしまった。
半助はとうとう大笑いした。
「土井先生!」
「ごめんごめん……やっぱり私がやろう。空君は手を洗っておいで。外に水を張った桶を用意してあるから」
結局、空は半助の指示通りに動くことしかできなかった。
***
空の目の前には、新しいおしめに取り替えられて機嫌を良くしたさっきの赤ちゃんがいた。
その傍らで、半助がもう別の子のおむつ替えをしている。
「すごい……」
鮮やかな手つきに、空も思わず拍手を送る。
が、すぐにその表情が暗くなる。
以前、友人の兄弟を世話した時のようにうまくいかないのがもどかしかった。
せっかく半助の役に立ちたかったのに、空回りしている自分に失望していた。
「私、今日は完全にお荷物ですね……」
「そんなことないよ、抱っこしたりあやしたり、赤ん坊に付き添ったりしてくれるだけでも有難いよ。ほら、見てごらん」
半助に指さされた方を空が見る。
赤ん坊が空の服を引っ張りながら微笑んでいた。
「こんなに甘えられて……きちんと必要とされているよ」
赤ん坊の笑みは、どんなに嫌なことがあっても、それを吹き飛ばすくらいの癒しの力がある。
あは……と空もつられて笑顔になった。
またもや、別の赤ん坊が泣きだした。
少し様子を窺ってから空が赤ん坊のおしめを触れば、そこは濡れていた。
「土井先生、今度こそ私がやってもいいですか?あとその……」
「うん。わからなくなったら、手伝うよ」
半助が快く了承すると、空は安心したように頷いてから、いそいそとおしめを替える準備を始めた。
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