17.それぞれの冬休み
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東雲の空から光が差し込み、鳥の鳴き声が朝の訪れを告げる。
しかし、眠っている空の意識を呼び覚ましたのは、陽の光でもなければ動物の泣き声でもない、耳が割れそうなほどの大声量だった。
「おはようございまーす!」
空の瞳がバチッと開く。
その透き通った大きな瞳に映り込んだのは、もうお馴染みの三人組。
元気いっぱいの少年たち、乱太郎、きり丸、しんべえだ。
「お、おはよう……な、なんで皆、私の部屋にいるの?」
「違いますよ。ここはボクたちの部屋です」
「空さん、昨日ジュンコが怖いって言ってたの、忘れたんですか?」
「あ、そうだった!あはは……」
昨日の自分の失態を思い出して、照れ隠しから空が笑う。
やれやれ……と苦笑する三人の中、乱太郎が一番に口を開いた。
「それより、空さん。旅の支度はちゃんとできてるんですか?」
「うん。行くって決めた日から、もう荷物はまとめてる。あとは服を着替えるだけだよ」
「そうなんですね、それならよかった」
乱太郎の顔が綻ぶ。
が、ほんのわずかのこと。
すぐにキリッと顔を引き締めて、空を急かしていく。
「でも、早めに準備した方がいいですよ!山田先生、色々と遅れるとうるさいから!」
「そうそう。結構時間にうるさいんっすよ」
「え、ほんと?じゃあ、すぐ部屋に戻って着替えてくる!」
空が部屋を出ようとする。
しかしながら、きり丸に腕をつかみ取られて、その場に静止せざるを得なくなる。
「ん?どうしたの、きり丸君?」
「空さん……ひとつだけいいっすか?その変な寝間着は外に持ってかない方がいいっすよ」
そう言って、きり丸が空を指す。
きり丸が言う「変な寝間着」とは空が今着ているパジャマのことだ。
「わかってるってば!こういう未来の持ち物を外に持ち出しちゃいけないって……そのくらい、私でも注意してる!」
空が拗ねた顔で言う。
「ニヒヒヒヒッ!空さん、ちょっと抜けたところがありますからね」
「もう、きり丸君!」
「まあまあ、二人とも~。ほらほらボクたちも、それから空さんも、急いで準備しましょ!」
しんべえのとりなしで、空もきり丸も言い合っている場合ではないと今の状況を思い出す。
全員がそれぞれのやるべきことを開始した。
忍術学園の門付近の塀にもたれながら、伝蔵は貧乏ゆすりをしている。
所定の時間になっても姿を現さない乱太郎たちに対し、イライラしていた。
「遅い……遅いぞ!乱きりしんに空君は……一体何をやっとるんだ!」
「まあまあ、山田先生……落ち着いてください!」
「そうですよ、父上。これから長い冬休みなんです。そう焦ることもないでしょう」
半助と利吉がなだめるが、伝蔵の怒りは次第に大きくなっていく。
と、ここでドタバタと複数の足音が近づいてくる。
乱太郎、きり丸、しんべえ、そして空だ。
「先生方、お待たせしました!遅くなって、申し訳ありません!」
伝蔵たちに会うや否や、遅刻した四人はすぐに頭を下げた。
全速力で駆けてきて、皆息が上がっている。
が、伝蔵の機嫌は直らない。
何か一言でも言わなければ気が済まないほど、我慢の限界を超えていたのだ。
「遅いぞ!揃いもそろって寝坊とは……わっ!」
バン!
昨日のジュンコ騒動のときのように、伝蔵は半助と利吉に押しのけられてしまった。
「お前たち、それに空君。全然待ってないよ。私たちも今来たところだ」
「そうそう、時間は沢山あるんです。そんなに慌てなくてもよかったのに」
「そうなんですか。それならよかったです」
「……」
空だけは二人の言葉にほっとする傍ら、今日はやけに寛容で、しかも馬が合ってるな、この二人……と薄気味悪く思う乱きりしんなのだった。
ちなみに伝蔵は半助と利吉に押しのけられて、未だ地面に突っ伏したままである。
それに気づいた乱太郎が伝蔵の顔を覗き込んだ。
「山田先生、大丈夫ですか?」
「いててて……まぁったく、あの二人ときたら」
ともかく全員揃った。
気を取り直した伝蔵は素早く立ち上がって、門を抜ける。
残りの皆が慌てて伝蔵に続いた。
しかし、眠っている空の意識を呼び覚ましたのは、陽の光でもなければ動物の泣き声でもない、耳が割れそうなほどの大声量だった。
「おはようございまーす!」
空の瞳がバチッと開く。
その透き通った大きな瞳に映り込んだのは、もうお馴染みの三人組。
元気いっぱいの少年たち、乱太郎、きり丸、しんべえだ。
「お、おはよう……な、なんで皆、私の部屋にいるの?」
「違いますよ。ここはボクたちの部屋です」
「空さん、昨日ジュンコが怖いって言ってたの、忘れたんですか?」
「あ、そうだった!あはは……」
昨日の自分の失態を思い出して、照れ隠しから空が笑う。
やれやれ……と苦笑する三人の中、乱太郎が一番に口を開いた。
「それより、空さん。旅の支度はちゃんとできてるんですか?」
「うん。行くって決めた日から、もう荷物はまとめてる。あとは服を着替えるだけだよ」
「そうなんですね、それならよかった」
乱太郎の顔が綻ぶ。
が、ほんのわずかのこと。
すぐにキリッと顔を引き締めて、空を急かしていく。
「でも、早めに準備した方がいいですよ!山田先生、色々と遅れるとうるさいから!」
「そうそう。結構時間にうるさいんっすよ」
「え、ほんと?じゃあ、すぐ部屋に戻って着替えてくる!」
空が部屋を出ようとする。
しかしながら、きり丸に腕をつかみ取られて、その場に静止せざるを得なくなる。
「ん?どうしたの、きり丸君?」
「空さん……ひとつだけいいっすか?その変な寝間着は外に持ってかない方がいいっすよ」
そう言って、きり丸が空を指す。
きり丸が言う「変な寝間着」とは空が今着ているパジャマのことだ。
「わかってるってば!こういう未来の持ち物を外に持ち出しちゃいけないって……そのくらい、私でも注意してる!」
空が拗ねた顔で言う。
「ニヒヒヒヒッ!空さん、ちょっと抜けたところがありますからね」
「もう、きり丸君!」
「まあまあ、二人とも~。ほらほらボクたちも、それから空さんも、急いで準備しましょ!」
しんべえのとりなしで、空もきり丸も言い合っている場合ではないと今の状況を思い出す。
全員がそれぞれのやるべきことを開始した。
忍術学園の門付近の塀にもたれながら、伝蔵は貧乏ゆすりをしている。
所定の時間になっても姿を現さない乱太郎たちに対し、イライラしていた。
「遅い……遅いぞ!乱きりしんに空君は……一体何をやっとるんだ!」
「まあまあ、山田先生……落ち着いてください!」
「そうですよ、父上。これから長い冬休みなんです。そう焦ることもないでしょう」
半助と利吉がなだめるが、伝蔵の怒りは次第に大きくなっていく。
と、ここでドタバタと複数の足音が近づいてくる。
乱太郎、きり丸、しんべえ、そして空だ。
「先生方、お待たせしました!遅くなって、申し訳ありません!」
伝蔵たちに会うや否や、遅刻した四人はすぐに頭を下げた。
全速力で駆けてきて、皆息が上がっている。
が、伝蔵の機嫌は直らない。
何か一言でも言わなければ気が済まないほど、我慢の限界を超えていたのだ。
「遅いぞ!揃いもそろって寝坊とは……わっ!」
バン!
昨日のジュンコ騒動のときのように、伝蔵は半助と利吉に押しのけられてしまった。
「お前たち、それに空君。全然待ってないよ。私たちも今来たところだ」
「そうそう、時間は沢山あるんです。そんなに慌てなくてもよかったのに」
「そうなんですか。それならよかったです」
「……」
空だけは二人の言葉にほっとする傍ら、今日はやけに寛容で、しかも馬が合ってるな、この二人……と薄気味悪く思う乱きりしんなのだった。
ちなみに伝蔵は半助と利吉に押しのけられて、未だ地面に突っ伏したままである。
それに気づいた乱太郎が伝蔵の顔を覗き込んだ。
「山田先生、大丈夫ですか?」
「いててて……まぁったく、あの二人ときたら」
ともかく全員揃った。
気を取り直した伝蔵は素早く立ち上がって、門を抜ける。
残りの皆が慌てて伝蔵に続いた。