1.自由落下した少女
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
少女が飛ばされた世界――
そこではこんな光景を目にすることができた。
「しほう、ろっぽう、はっぽう、しゅ~りけんっ!」
空には雲一つない青空がどこまでも広がっている。
山頂まで続く一本道の森の中、三人の子供たちが陽気に歌いながら一列に並んで歩いていく。
先頭を行く少年はふわふわ頭に大きなメガネをかけている。
見るからにやさしそうだ。
真ん中を歩く子は、やや釣り目気味の大きな目が特徴的だ。
その顔たちからどことなく利発……というよりはずる賢そうな印象がある。
最後尾にいる少年は前二人に比べて、背は低い。
だが、三人の中で一番体重が重そうだと楽に想像できるほど脂肪がついていた。
おっとりとしていて、育ちがよさそうである。
それぞれ名を乱太郎、きり丸、しんべえといった。
彼らはこの世界の主要舞台となる忍術学園に通う忍者のたまご、忍たまの一年生だ。
忍術学園というのは、読んで字のごとく忍術を勉強する、つまり忍者を育成するための教育機関だ。
そう、ここはまだ忍者と呼ばれる人たちが活躍する、古い古い日本の時代――
さて、乱太郎、きり丸、しんべえの三人の少年たちは一体何をしているのか。
彼らは今、忍者の任務の真っ最中であった。
忍術学園から遥かに遠い場所にある、金楽寺という寺。
そこに密書を届けに行くのだ。
目的地である金楽寺は、今登っている山の頂上に位置している。
急勾配の山道を上りながら、徐に乱太郎が口を開いた。
「もうすぐ金楽寺だね」
「ボク、おなかすいちゃったよ~!」
「あともう少しだから……ほら、頑張れしんべえ!」
単なる忍者の任務というよりは、ハイキングをこなしているといった方が適当なのかもしれない。
そのくらい、この三人には緊張感というものがなかった。
「しかし、新学期始まる直前に補習授業とはね……」
「ちぇっ。まだやり残したアルバイト、あったのに!」
「とか言って、きり丸はそのアルバイト、しっかり土井先生に押し付けてるんでしょ、とにかく、ボク……もう限界!」
しんべえはそう言って、その場に座りこんでしまった。
その後、全く動こうとしない。
乱太郎ときり丸が困惑した顔でしんべえに向かって叫ぶ。
「しんべえ!」
「ねぇ、ちょっとだけ休もうよ~!」
「さっきも休んだだろ!」
「ほんとにちょっとだけ~!」
こうなってしまったしんべえを説得するのは無理だ。
しょうがない、と諦めた乱太郎ときり丸は少しだけ休憩をとることにした。
「まあ、急ぐ必要もないし」
「そうだな」
「ありがとう、ふたりとも!」
しんべえはあっという間に道脇にある大木の一つにもたれるように腰掛ける。
普段、どんくさいのにこういう時の敏捷性だけはピカ一なしんべえだった。
小さく笑った乱太郎ときり丸もしんべえに続いた。
三人は頭をからっぽにして、疲れた身体を休める。
山の中。
生茂った木々が太陽を遮って日陰を作り、空気は平地に比べて冷たく心地よい。
「気持ちいいね」
「うん」
気持ちよさそうにくつろぐ三人は、しばらくの間、果てしなく続く空を眺めていた。
そこではこんな光景を目にすることができた。
「しほう、ろっぽう、はっぽう、しゅ~りけんっ!」
空には雲一つない青空がどこまでも広がっている。
山頂まで続く一本道の森の中、三人の子供たちが陽気に歌いながら一列に並んで歩いていく。
先頭を行く少年はふわふわ頭に大きなメガネをかけている。
見るからにやさしそうだ。
真ん中を歩く子は、やや釣り目気味の大きな目が特徴的だ。
その顔たちからどことなく利発……というよりはずる賢そうな印象がある。
最後尾にいる少年は前二人に比べて、背は低い。
だが、三人の中で一番体重が重そうだと楽に想像できるほど脂肪がついていた。
おっとりとしていて、育ちがよさそうである。
それぞれ名を乱太郎、きり丸、しんべえといった。
彼らはこの世界の主要舞台となる忍術学園に通う忍者のたまご、忍たまの一年生だ。
忍術学園というのは、読んで字のごとく忍術を勉強する、つまり忍者を育成するための教育機関だ。
そう、ここはまだ忍者と呼ばれる人たちが活躍する、古い古い日本の時代――
さて、乱太郎、きり丸、しんべえの三人の少年たちは一体何をしているのか。
彼らは今、忍者の任務の真っ最中であった。
忍術学園から遥かに遠い場所にある、金楽寺という寺。
そこに密書を届けに行くのだ。
目的地である金楽寺は、今登っている山の頂上に位置している。
急勾配の山道を上りながら、徐に乱太郎が口を開いた。
「もうすぐ金楽寺だね」
「ボク、おなかすいちゃったよ~!」
「あともう少しだから……ほら、頑張れしんべえ!」
単なる忍者の任務というよりは、ハイキングをこなしているといった方が適当なのかもしれない。
そのくらい、この三人には緊張感というものがなかった。
「しかし、新学期始まる直前に補習授業とはね……」
「ちぇっ。まだやり残したアルバイト、あったのに!」
「とか言って、きり丸はそのアルバイト、しっかり土井先生に押し付けてるんでしょ、とにかく、ボク……もう限界!」
しんべえはそう言って、その場に座りこんでしまった。
その後、全く動こうとしない。
乱太郎ときり丸が困惑した顔でしんべえに向かって叫ぶ。
「しんべえ!」
「ねぇ、ちょっとだけ休もうよ~!」
「さっきも休んだだろ!」
「ほんとにちょっとだけ~!」
こうなってしまったしんべえを説得するのは無理だ。
しょうがない、と諦めた乱太郎ときり丸は少しだけ休憩をとることにした。
「まあ、急ぐ必要もないし」
「そうだな」
「ありがとう、ふたりとも!」
しんべえはあっという間に道脇にある大木の一つにもたれるように腰掛ける。
普段、どんくさいのにこういう時の敏捷性だけはピカ一なしんべえだった。
小さく笑った乱太郎ときり丸もしんべえに続いた。
三人は頭をからっぽにして、疲れた身体を休める。
山の中。
生茂った木々が太陽を遮って日陰を作り、空気は平地に比べて冷たく心地よい。
「気持ちいいね」
「うん」
気持ちよさそうにくつろぐ三人は、しばらくの間、果てしなく続く空を眺めていた。