本編③~カナズミシティの夜 クラブ・フェアリー潜入編
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夕陽は落ち辺りは段々と薄暗くなり始めていた。バルビートやアゲハントなどのむしポケモン達は眠りにつくためにトウカの森の方へふわふわと移動を始めていた。対照的に薄暗くなると森から街に現れたポチエナ達が何か獲物が落ちていないかと外路を歩き回っている様子がみられる。
ダイゴは再びカナズミシティ歓楽街であるネオラント町2番街の入口に来ていた。
(シアちゃんは果たして大丈夫なのだろうか。)
(あれから特に策のことはボクには話さなかったけれど)
考え事をしながらDフォンのシアとのメッセージ画面を眺める。メッセージの最後にはシアからの待ち合わせ場所と時間のみしか書かれていない。
フゥとため息を着くとダイゴは何気なく辺りを見渡した。街のネオンは、賑やかに輝き始め行き交う人やポケモンの波が大きくなってますます活気が出てきていた。夜の街に出勤するキャバ嬢達やホステス達、さらにキャッチの人達も目立つようになってきた。今日はウソッキーを連れている。
「ほんと、ここはたいそう賑やかなところだな」
ダイゴがぼーっと遠くから眺めていた時であった。
「ダイゴさん、お待たせしました~!」
聞き覚えのある声がしダイゴは振り向いたが信じられない光景が目に映ると自分の目を疑った。
「やあ、シアちゃん。」
「え、その格好は!?」
そこには確かにシアが居た。
しかし、全くシアではなかった。
藤紫カラーの大きなポニーテールが印象的なヘアスタイル、サファイアカラーのアイシャドウにルビーカラーのグロス。さらに煌びやかなスパンコールが入ったベアドレスが色っぽく見える。首元にはモンスターボールがモチーフのネックレスがキラリと輝いていた。シアはまるで夜の花であった。
「どうですか、驚いたでしょ?」
「あまりの美しさに見とれちゃいました?」
驚くダイゴの顔を見てシアはクスリと笑いかける。
「感心したよ。本当は心配していたけど無駄だったようだね。」
「それにしても、今日のシアちゃんはいつになく輝いているね。」
「石で例えるとやみのいしかな?夜の闇の中で怪しく艶やかに光るのが・・・。いや、または奥に眠っている力を引き出すようなめざめいしか?」
ダイゴは真剣な表情を浮かべると顎に手を当てながらシアの姿をじっと見渡す。
「あはは、それはどうも」
シアはどう返答したらいいか分からず苦笑いをしながら手を振る。ただ、ダイゴが喜んでいる様子は最近分かるようになっていた。
「ダイゴさんもボーイの格好似合ってますよ。」
にっこりと微笑みながらダイゴを見つめる。
ダイゴはマツヨからボーイの服を借りていたのだ。黒の蝶ネクタイと黒縁メガネが印象的であるが見慣れている格好ではなかった。
「普段からスーツだからあまり変わりはないんだけどね」
「いつもの姿でいるとボクだって気づかれるし厄介になるからこの格好の方が都合がいいのさ」
「ただ、少し地味だね」
こだわりのデザインスーツとお気に入りのシルバーアクセサリーが身につけられずダイゴは少し不満があるように自分の格好を見つめながら話す。
「おっと、もうこんな時間か」
「では、マツヨさんを待たせては行けないから行こうか」
「はい、いざ参りましょう!」
「今度こそヒンバス呼ばわりなんてさせないんだから!」
2人はクラブフェアリーを目指しネオラント町の街中を歩いていった。シアは歩きながら少し違和感を感じていた。なぜなら、すれ違う男性たちのほとんどがシアをじっと見つめてくるからだ。時々「かわいい!どこの店の子だろ~?」と声が聞こえる。男性からの多くの視線を浴び心が落ち着かなかった。
(すごい視線だな)
(こんなにたくさんの男性に目を向けられるの初めて)
(恥ずかしんだけどなんだかちょっと嬉しいかも)
思っていた以上にもてはやされているためシアは自分の変装を改めて誇りに思った。
するとある男性がシアに声をかけてきた。格好と容姿が明らかにスカウトのようだ。
「お姉さん可愛いね。可愛すぎてかわいさコンテスト優勝じゃない?」
「どこの店の子?良かったらうちで働いてみない?」
あからさまな勧誘にシアは腕を組みながらスカウトを睨みつけた。
「結構です!」
「私を誘うだなんて1万光年早いですよ!」
スカウトはシアにぶっきらぼうに言い放つ様子に怯まずニヤリと笑うとさらに近寄って来た。
「そんな残念なこと言わないでよ~。怒っていても可愛いね」
「うちの店にはね珍しいポケモンがいるんだよ。どう、見たい?」
珍しいポケモンと聞くとシアの表情は素に戻った。
「え、珍しいポケモン?見てみたいかも。」
シアの目は興味津々できらきら輝いていた先程の無愛想な表情とは対象的であった。
「お、いいね。そう来なくっちゃ!」
スカウトは満面な笑みを見せるとシアの手を取ろうとした瞬間だった。ダイゴは咄嗟にシアの手を握ると引き寄せた。
「おっと、失礼」
「この子はボクの店と契約している子なんでね」
ダイゴがスカウトの目を真っ直ぐと見つめる。言いたいことは目で訴えているようであった。
「なんだ、もういるのかよ。残念」
スカウトはダイゴの目を見るとつまらなさそうに去っていった。
「ええ~、珍しいポケモンってなに~?」
「教えてよ~!」
シアは不満そうに頬を膨らませながら小さくなっていくスカウトの背中を見ていた。
「はぁ~、シアちゃん・・・。」
ダイゴはシアのポケモンに対して天真爛漫な様子に少々呆れていた。
気を取り直し2人はクラブ・フェアリーの店前にたどり着いた。カナズミシティで有名なクラブのためか玄関からでもきらびやかな装飾が施されており高級感が漂っていた。店の名前からかアブリボンやマホイップのオブジェが飾られている。店はまだ開店時間ではなく閉まっていた。
「ここがマツヨさんがいるお店かあ」
「随分豪華なお店だな」
「それにしてもフェアリータイプのポケモン推しとかなのかな?」
初めて見るキャバクラの店を興味津々に眺めていると背後の方からポケモンの鳴き声が聞こえた。
「ニャアーン」
シアは鳴き声に気づき振り返るとそこにはチョロネコとマツヨが立っていた。
「へえ、ヒンバスちゃんにしてはよくやったじゃない」
「マツヨさんに協力して頂けるためにここまで来ました。」
「精一杯努力して来たつもりです。判断をよろしくお願いします。」
シアは拳を握りしめ真っ直ぐとマツヨを見つめた。マツヨはシアの真剣な表情を見ると首を横に降った。
「わかったわ、ジャッジしてあげる」
「まず、そこに立って」
店の前にあるアブリボンのオブジェクトの方を指さす。シアは言われるがままに向かった。
「一体何をするんですか?」
ダイゴは腕を組みながらマツヨに問う。
「まあ、見ていてのお楽しみ」
マツヨはニヤリと笑みを浮かべると指を鳴らした。すると店の玄関の灯りがつきアブリボンとマホイップのオブジェクトが輝き始めまるでステージのように照らし始めた。
「では、ヒンバスちゃん」
「このステージで可愛くターンをしてごらん」
「上手くできたら合格よ」
「格好だけでの判断じゃないんですか?」
予想外なことを言われシアは慌てた表情を見せる。
「No.1キャバ嬢は容姿だけが良ければいいってことじゃないの」
「大事なのはいかに己を可愛く見せることができるかなのよ。そう、演技なのよ。」
「才能のある子なんてターンを見れば直ぐに分かるわ」
「さあ、ターンしてちょうだい。」
「演技か・・・。なるほどまるで駆け引きのあるポケモンバトルみたいだね」
ダイゴは笑いながら表情を浮かべたがら手を叩く。
「ダイゴさん、感心している場合じゃないですよ!」
「ええい!ここまで来たなら回ってやるう!」
「キラキラ~!くるくる~!!」
そう言うとシアは意を決し片足でバランスを取りターンんした。すると履きなれないヒールを履いていたせいかバランスが上手く保てず身体がよろけ始めた。
「うわっ!?」
身体が倒れそうになった瞬間何者かに押された感触を感じ咄嗟に体制を元に戻すことができた。
「ふぅ、危なかった。」
「でも、さっきの感覚は何?」
不思議そうに辺りを見渡したが何も見当たらなかった。
「大丈夫かい、シアちゃん!?」
ダイゴが心配そうに駆け寄って来た。
「ありがとうございます。この通り無事です!」
シアはダイゴに微笑むと拍手が聞こえた。
主はマツヨであった。
「あなたらしいダイナミックなターンだったわね」
「合格よ」
「やった、ありがとうございます!」
ついにマツヨに認められシアは一安心と達成感を味わっていた。
「ただし、協力してあげるのはまだ気が早いわ」
「あたしとポケモンバトルで勝たないとね」
「じゃあ、着いてらっしゃい!」
そう言うとマツヨはシアとダイゴを連れてクラブ・フェアリーを後にした。
ダイゴは振り向いたマツヨの右耳が煌めいた気がして再び妙な気配を感じていた。
「あの輝きはまさか・・・。ね・・・。」
【次回、ついにシアVSマツヨのバトルが始まる!】
◀◀ To Be Continued
ダイゴは再びカナズミシティ歓楽街であるネオラント町2番街の入口に来ていた。
(シアちゃんは果たして大丈夫なのだろうか。)
(あれから特に策のことはボクには話さなかったけれど)
考え事をしながらDフォンのシアとのメッセージ画面を眺める。メッセージの最後にはシアからの待ち合わせ場所と時間のみしか書かれていない。
フゥとため息を着くとダイゴは何気なく辺りを見渡した。街のネオンは、賑やかに輝き始め行き交う人やポケモンの波が大きくなってますます活気が出てきていた。夜の街に出勤するキャバ嬢達やホステス達、さらにキャッチの人達も目立つようになってきた。今日はウソッキーを連れている。
「ほんと、ここはたいそう賑やかなところだな」
ダイゴがぼーっと遠くから眺めていた時であった。
「ダイゴさん、お待たせしました~!」
聞き覚えのある声がしダイゴは振り向いたが信じられない光景が目に映ると自分の目を疑った。
「やあ、シアちゃん。」
「え、その格好は!?」
そこには確かにシアが居た。
しかし、全くシアではなかった。
藤紫カラーの大きなポニーテールが印象的なヘアスタイル、サファイアカラーのアイシャドウにルビーカラーのグロス。さらに煌びやかなスパンコールが入ったベアドレスが色っぽく見える。首元にはモンスターボールがモチーフのネックレスがキラリと輝いていた。シアはまるで夜の花であった。
「どうですか、驚いたでしょ?」
「あまりの美しさに見とれちゃいました?」
驚くダイゴの顔を見てシアはクスリと笑いかける。
「感心したよ。本当は心配していたけど無駄だったようだね。」
「それにしても、今日のシアちゃんはいつになく輝いているね。」
「石で例えるとやみのいしかな?夜の闇の中で怪しく艶やかに光るのが・・・。いや、または奥に眠っている力を引き出すようなめざめいしか?」
ダイゴは真剣な表情を浮かべると顎に手を当てながらシアの姿をじっと見渡す。
「あはは、それはどうも」
シアはどう返答したらいいか分からず苦笑いをしながら手を振る。ただ、ダイゴが喜んでいる様子は最近分かるようになっていた。
「ダイゴさんもボーイの格好似合ってますよ。」
にっこりと微笑みながらダイゴを見つめる。
ダイゴはマツヨからボーイの服を借りていたのだ。黒の蝶ネクタイと黒縁メガネが印象的であるが見慣れている格好ではなかった。
「普段からスーツだからあまり変わりはないんだけどね」
「いつもの姿でいるとボクだって気づかれるし厄介になるからこの格好の方が都合がいいのさ」
「ただ、少し地味だね」
こだわりのデザインスーツとお気に入りのシルバーアクセサリーが身につけられずダイゴは少し不満があるように自分の格好を見つめながら話す。
「おっと、もうこんな時間か」
「では、マツヨさんを待たせては行けないから行こうか」
「はい、いざ参りましょう!」
「今度こそヒンバス呼ばわりなんてさせないんだから!」
2人はクラブフェアリーを目指しネオラント町の街中を歩いていった。シアは歩きながら少し違和感を感じていた。なぜなら、すれ違う男性たちのほとんどがシアをじっと見つめてくるからだ。時々「かわいい!どこの店の子だろ~?」と声が聞こえる。男性からの多くの視線を浴び心が落ち着かなかった。
(すごい視線だな)
(こんなにたくさんの男性に目を向けられるの初めて)
(恥ずかしんだけどなんだかちょっと嬉しいかも)
思っていた以上にもてはやされているためシアは自分の変装を改めて誇りに思った。
するとある男性がシアに声をかけてきた。格好と容姿が明らかにスカウトのようだ。
「お姉さん可愛いね。可愛すぎてかわいさコンテスト優勝じゃない?」
「どこの店の子?良かったらうちで働いてみない?」
あからさまな勧誘にシアは腕を組みながらスカウトを睨みつけた。
「結構です!」
「私を誘うだなんて1万光年早いですよ!」
スカウトはシアにぶっきらぼうに言い放つ様子に怯まずニヤリと笑うとさらに近寄って来た。
「そんな残念なこと言わないでよ~。怒っていても可愛いね」
「うちの店にはね珍しいポケモンがいるんだよ。どう、見たい?」
珍しいポケモンと聞くとシアの表情は素に戻った。
「え、珍しいポケモン?見てみたいかも。」
シアの目は興味津々できらきら輝いていた先程の無愛想な表情とは対象的であった。
「お、いいね。そう来なくっちゃ!」
スカウトは満面な笑みを見せるとシアの手を取ろうとした瞬間だった。ダイゴは咄嗟にシアの手を握ると引き寄せた。
「おっと、失礼」
「この子はボクの店と契約している子なんでね」
ダイゴがスカウトの目を真っ直ぐと見つめる。言いたいことは目で訴えているようであった。
「なんだ、もういるのかよ。残念」
スカウトはダイゴの目を見るとつまらなさそうに去っていった。
「ええ~、珍しいポケモンってなに~?」
「教えてよ~!」
シアは不満そうに頬を膨らませながら小さくなっていくスカウトの背中を見ていた。
「はぁ~、シアちゃん・・・。」
ダイゴはシアのポケモンに対して天真爛漫な様子に少々呆れていた。
気を取り直し2人はクラブ・フェアリーの店前にたどり着いた。カナズミシティで有名なクラブのためか玄関からでもきらびやかな装飾が施されており高級感が漂っていた。店の名前からかアブリボンやマホイップのオブジェが飾られている。店はまだ開店時間ではなく閉まっていた。
「ここがマツヨさんがいるお店かあ」
「随分豪華なお店だな」
「それにしてもフェアリータイプのポケモン推しとかなのかな?」
初めて見るキャバクラの店を興味津々に眺めていると背後の方からポケモンの鳴き声が聞こえた。
「ニャアーン」
シアは鳴き声に気づき振り返るとそこにはチョロネコとマツヨが立っていた。
「へえ、ヒンバスちゃんにしてはよくやったじゃない」
「マツヨさんに協力して頂けるためにここまで来ました。」
「精一杯努力して来たつもりです。判断をよろしくお願いします。」
シアは拳を握りしめ真っ直ぐとマツヨを見つめた。マツヨはシアの真剣な表情を見ると首を横に降った。
「わかったわ、ジャッジしてあげる」
「まず、そこに立って」
店の前にあるアブリボンのオブジェクトの方を指さす。シアは言われるがままに向かった。
「一体何をするんですか?」
ダイゴは腕を組みながらマツヨに問う。
「まあ、見ていてのお楽しみ」
マツヨはニヤリと笑みを浮かべると指を鳴らした。すると店の玄関の灯りがつきアブリボンとマホイップのオブジェクトが輝き始めまるでステージのように照らし始めた。
「では、ヒンバスちゃん」
「このステージで可愛くターンをしてごらん」
「上手くできたら合格よ」
「格好だけでの判断じゃないんですか?」
予想外なことを言われシアは慌てた表情を見せる。
「No.1キャバ嬢は容姿だけが良ければいいってことじゃないの」
「大事なのはいかに己を可愛く見せることができるかなのよ。そう、演技なのよ。」
「才能のある子なんてターンを見れば直ぐに分かるわ」
「さあ、ターンしてちょうだい。」
「演技か・・・。なるほどまるで駆け引きのあるポケモンバトルみたいだね」
ダイゴは笑いながら表情を浮かべたがら手を叩く。
「ダイゴさん、感心している場合じゃないですよ!」
「ええい!ここまで来たなら回ってやるう!」
「キラキラ~!くるくる~!!」
そう言うとシアは意を決し片足でバランスを取りターンんした。すると履きなれないヒールを履いていたせいかバランスが上手く保てず身体がよろけ始めた。
「うわっ!?」
身体が倒れそうになった瞬間何者かに押された感触を感じ咄嗟に体制を元に戻すことができた。
「ふぅ、危なかった。」
「でも、さっきの感覚は何?」
不思議そうに辺りを見渡したが何も見当たらなかった。
「大丈夫かい、シアちゃん!?」
ダイゴが心配そうに駆け寄って来た。
「ありがとうございます。この通り無事です!」
シアはダイゴに微笑むと拍手が聞こえた。
主はマツヨであった。
「あなたらしいダイナミックなターンだったわね」
「合格よ」
「やった、ありがとうございます!」
ついにマツヨに認められシアは一安心と達成感を味わっていた。
「ただし、協力してあげるのはまだ気が早いわ」
「あたしとポケモンバトルで勝たないとね」
「じゃあ、着いてらっしゃい!」
そう言うとマツヨはシアとダイゴを連れてクラブ・フェアリーを後にした。
ダイゴは振り向いたマツヨの右耳が煌めいた気がして再び妙な気配を感じていた。
「あの輝きはまさか・・・。ね・・・。」
【次回、ついにシアVSマツヨのバトルが始まる!】
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