季節もの
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❤前編はこちら❤きみとだけの真夏の宝石(前編)2024 Summer
~数分後~
シアは着替えを終えるとダイゴから借りたシャツを返そうと再び元の場所に戻ってきた。
「ダイゴさんどこかな?」
見渡す限り海水浴に来ている人やポケモン達でいっぱいなため人を見つけるのが大変であった。辺りをキョロキョロと見渡していると「キャー!」とどこからか黄色い声が聞こえてきた。
「なんだろう?」
声のする方へ目を向けるとそこにはビキニのおねえさんやおとなのおねえさん達に囲まれているダイゴを見つけた。どうやらダイゴがムロタウンに来ていると情報が入ったからのようだ。ムロタウンは若者が集うためか流行語や情報が回るのが早くて有名なスポットである。
(チャンピオンさんはどこに行っても大変だな~)
シアは遠くでプライベートがないダイゴに呆れた表情で眺めていた。すると、どこか胸の奥がひんやりと冷たくなりシアはその場に居ずらくなり離れていった。急にダイゴが遠い存在に感じてしまい声をかけられなくなってしまったのだった。
「チャンピオンだもんな~。それに比べ私はただの探偵だし・・・。」
「ってあれ、ここはどこだっけ?」
周りを見渡すとそこには人影もなくヒトデマンやスターミー達が浜辺で日向ぼっこしている様子しか目には映らなかった。
キッチンカーに戻るつもりが考え事をしながら歩いていたため見知らぬところに行き着いてしまったのだ。
「アハハ、何やってるんだ私。頼りのヘルガーもいないのに」
「さて、どう戻ろうかな?」
自分の不甲斐なさに呆れ途方に暮れていた時だった。何者かがシアの肩を叩いた。振り向くとそこにはダイゴが立っていた。
「見つけたよ」
「こんな所にいたんだね」
「あれ、女の子達は?」
「ちょうどアイスコーヒーが完売したところにトウキっていうムロタウンのジムリーダーがやってきてね。興味がそちらに行った所を見計らって抜けてきたよ。」
ダイゴは慣れたような言い回しで話す。
「そう・・・。」
シアはどこかホッとした感覚になりうつむきながら返事をした。ダイゴはシアのどこか含んでいるような表情が気になり覗き込んだ。
「どうしたんだい?」
「なんでもないです。」
シアは作り笑顔を浮かべる。ダイゴは表情を見ると大したことでないのかと思い安心した。そして、山の方を見つめた。
「そうだ、せっかくムロタウンに来たんだからシアちゃんに特別な場所へ案内してあげるよ。」
「特別な場所?」
「きっと気に入ると思うよ」
「こっちさ!」
ダイゴはウィンクするとビーチから山の方へ向かって行った。シアは一体どこに行くのだろうと半信半疑にダイゴの後をついて行ってた。
2人はしばらく山道を歩いて行くと大きな洞窟の入口に行き着いた。
「洞窟だ!」
「こんなところにあるんですね。」
シアは辺りを見渡す。洞窟からは僅かに風が流れており奥の方から時々ごおーっと音が聞こえていた。洞窟はなんとも神秘的な雰囲気が現れていた。
「ここはいしのどうくつと言ってね、ボクが小さい頃からよく石を探しに行っている洞窟なんだ」
「特別な場所かこの中にあるんだ。では、行こうか」
「へぇ、洞窟ってなんだか探検しているみたいでわくわくしますね!」
シアは興味津々でダイゴと洞窟の中へと入って行った。洞窟の中は薄暗くひんやりとしておりビーチとは対象的な空間であった。洞窟の中では2人の足音や風の音、水滴が落ちる音が反響していた。
「サンダルでは少し歩きにくいから足元に気をつけてね」
ダイゴは時々後ろを振り返りながらシアが着いてきているか様子を確認しながら進む。
「ん、なんだろう?」
シアはどこか視線を感じ後ろを振り返る。するとそこには鋼鉄の鎧を身にまとったポケモンであるココドラの群れがじっと2人を眺めていた。
「うわあ!いつの間にこんなにたくさん。」
シアはココドラの数に驚くと思わず後ずさりした。
「ああ、大丈夫。何もしなければ襲って来ないよ」
「ここのココドラは穏やかな性格が多いのさ」
「へぇ、ココドラってこんな所にいるんだ。知らなかった。」
シアはダイゴに案内されさらに奥へと進んで行くと大きな岩が人の高さぐらいまで積み重なっている場所へ行き着いた。上からは光が差し込んでいる。
「行き止まり?」
これ以上先に進むことができないとわかるとシアはぽつりと呟いた。
「いや、ここが目的地さ」
「それ!」
ダイゴはそう言うと岩の方へ向かって行くと慣れた足取りで岩を登り始めた。シアはダイゴの行動に驚きながら見つめていた。ダイゴはある程度登ると振り返った。
「シアちゃん、こっちだ!」
岩に捕まりながらシアの方へ手を伸ばす。まるで少年の様な純粋そうな瞳を見るとシアは左手をダイゴへ伸ばした。ダイゴはシアの手を握るとゆっくりと引き上げ始めた。 シアはダイゴの手を握りながら岩を登って行く最中突然一瞬視界が白くなりどこからか「どこにだって迎えに行くよ」と何者かの声が聞こえた。直ぐにはっと我に返ると不安そうに見つめるダイゴが目に映った。
「大丈夫かい?」
「ごめんなさい。急に声が聞こえてびっくりしてしまいました。」
「声?ボクには何も聞こえなかったけど」
「え!?」
「ま、気のせいかな?」
シアは気を取り直しダイゴと共に岩を登り頂上へ辿り着いた。
「よし、無事に登れたことだし先に進もう」
前方から光が差し込み辺りが段々と明るくなってくる。2人は洞窟の出口へ行き着いた。するとそこには美しい景色が広がっていた
「うわあ!綺麗!!」
洞窟の天井から光が差し込み照らされエメラルドグリーンの海面がキラキラと輝いている。光が差し込む天井からの穴からは真夏の濃い青空が覗かせている。波は静かに揺れており風は穏やかであった。
「まるで宝石みたいですね!」
「真夏にしか見れない宝石みたい」
嬉しそうに景色を眺めているシアを見てダイゴは微笑んだ。
「ここはいしのどうくつでボクの一番のお気に入りの場所さ」
「戦いで疲れた時によく来ているんだ。ホウエンの自然が長い年月をかけて作り上げた芸術さ」
「二人だけの秘密にしてね」
「はい、秘密は絶対に守ります!」
「でも、なんで私に?」
「フフ、シアちゃんに喜んで貰えて嬉しいよ。」
「シアちゃんにはホウエンのことをもっと知ってもらいたくてね。ついつい教えたくなっちゃうんだ。」
「嬉しいです。」
「私もダイゴさんと一瞬だったらホウエン地方を楽しめそうですね。」
シアはそう言うとにこりとダイゴに微笑んだ。
ダイゴはシアの笑顔を見るとクスリと照れくさそうに笑うとシアと一緒に海を眺めていた。
【ボクの真夏の宝石はキミの中で見つけた】
~一方その頃キッチンカーでは~
「も~っ!パチリスちゃんったら戻って来るのおそぉ~い!」
「一体どこまでアイスコーヒー売りに行っちゃったのかしら?」
ロタラはキッチンカーの中で頬ずえをつきながらシアが戻るのを待っていた。
「時間で私と交代するはずになっていたのにまだ帰ってこないじゃないの~。」
「これじゃああたしが店を離れてイケメン海パン野郎に声かけに行けないじゃないのぉ~。」
「ねぇ、ヘルガー?」
不貞腐れた顔をしたロタラがパラソルの下で休んでいたヘルガーに声をかけるとヘルガーは大きな欠伸をし昼寝を始めた。
「全く、私の夏はどうなっちゃうのよぉ~!!!」
眩しいぐらいの真夏の青空にロタラの大声が響き渡ったが当然とシアダイゴには届いていなかった。
End
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