季節もの

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無記名だとシアになります。

 ターコイズブルーに輝く明るい海。快晴の青空にはキャモメの群れがのびのびと飛んでおり辺り一面には白い砂浜が広がっている。

 ここはムロタウンのビーチ。季節は夏ということもあり多くの海水浴を楽しむトレーナーやとポケモン達で賑わっていた。そんな華やかなビーチの中一際大きな声が響いていた。
 

「喫茶ペルレイの冷たぁ~いアイスコーヒーはいかがですかぁ!!」声の主はロタラであった。ロタラ達はムロタウンで喫茶店ペルレイの出張店としてキッチンカーを開いていたのだ。


「あつぅ~い!」
シアは元気よく大声を張り上げているロタラの横で額の汗を拭きながら車内でお湯を沸かしていた。

「もぉ~!パチリスちゃんったら、そんな暑さでへこたれていたらホウエンの夏は楽しめないわよ?」
「ホウエンが一番輝いている季節は夏なんだから」

「ロタラさんはよくテンション高くいられますね」
呆れた表情を浮かべながらシアはせっせとコーヒーを抽出し始めた。

「あったり前よ~!綺麗な海にたくさんのイケメン海パンやろう達。心が踊らないわけないじゃない」
「今年こそひと夏の思い出をゲットするんだから!」
ロタラはそう言うと拳を握りしめガッツポーズを取る。

(まったく、ロタラさんらしいな)
シアは腕を組み眉をひそめながら相槌を打つ。


「って言うことでパチリスちゃ~ん」
「ハイこれ!」
 ロタラは横にあった紙袋からあるものを取り出すとシアの目の前に差し出した。それは、真っ赤な紐三角ビキニであった。パンツの横には小さいアローラナッシーのシルエットがプリントされている。

「な、なんですか。この水着?」
シアはロタラの思惑が分からず不思議そうにビキニを見つめながら首を傾げる。

「着て売り子をするのよ!」

「誰がですか?」

「パチリスちゃんが!」
ロタラは真面目な顔で水着をさらに顔の前に差し出す。

「え、えええ!!」
 予想外の事を言われシアは思わずビーチ中に響き渡るぐらいの大声を出してしまった。ビーチでうきわガールと遊んでいたマリルも大声に思わず飛び跳ねてしまっていた。

「嫌ですよ!私はそんなの着れる体型じゃないし恥ずかしいです!!」
 両手と首を勢いよく振りながら後ずさりする。探偵の仕事柄よく変装はするが流石に水着姿は経験がなく何せ自分の体型に自信が無い。

全力で拒否しているシアを見てロタらは頬を膨らませた。
「え~、せっかく可愛いいの選んだのにぃ~。」
「じゃあ、私とジャンケンをして勝てたら諦めてあげる。ちなみに拒否権なんかないわよ!」

シアは心の中で(ロタラさん絶対折れる気なさそうだな)と半分諦めた気持ちになりふぅ~っとため息をついた。

「わかりました。勝負しますよ」

「そう来なくっちゃ!」
ロタラは満面な笑みを浮かべると嬉しそうに小さく跳ねた。

「恨みっこなしよ、じゃんけん!」


~数分後~


シアはクーラーボックスを肩にかけるとキッチンカーを後にした。
背後から「いってらっしゃ~い!」とロタラの声が聞こえたが聞こえないふりをしていた。

「はぁ~、よりによって負けるとは・・・。」
その姿は真っ赤なビキニが目立っていた。ロタラとのじゃんけんに敗北したのだ。

「ビキニなんて恥ずかしくて着たことないからなんか落ち着かないなあ。」
 着慣れないものを着たので違和感を感じていた。今まで感じたことのないビキニの開放感に戸惑っていた。

「でも、これもお仕事だから張り切らないと」
「冷たいアイスコーヒーはいかがですかぁ~!サイコソーダもありますよ!」
気持ちを切り替え声を出ししながらビーチを売り歩く。

 すると突然何かが足に引っかかり身体がよろけた。引っかかった原因は足元に突然スナバァが出てきたからだった。
「うわっ!」

 シアはバランスを崩し転びそうになり足を踏ん張ろうとしたが時すでに遅しだった。心中(もうだめかも、ロタラさんアイスコーヒー無駄にしちゃうかもだけどごめんなさい)と呟きながら目をつぶり倒れかかった矢先であった。

「おっと、だいじょうぶ?」
 シアは何者かの腕に受け止められた感覚があった。目を開くとそこには水着姿の金髪ツーブロックの男がシアの顔を覗き込んでいた。隣にはゴルダックが腕を組んで立っていた。

「ありがとうございます!助かりました。」
シアは安心すると微笑みながらペコリと頭を下げた。男は得意げにうんうんと頷くとシアをキョロキョロとみ始めた。

「へぇ~、アイスコーヒー売ってるんだ!」

「はい!冷たくて美味しくて癒されますよ」
シアはペルレイ自慢のアイスコーヒー得意げに宣伝する。「癒し」と言う言葉を聞くと男はにやりと笑った。

「まぁ、アイスコーヒーはいいからさオレを暑さから癒してよ」

男の表情が変わり何やら意味深な表情を浮かべ始めたのでシアは嫌な予感を察すると何か言い訳を考えていた。

「ごめんなさい。今お仕事中でして・・・。」
シアは困った表情を浮かべると男は更にじりじりと近寄ってきた。

「いいよいいよ、お仕事なんか!」
「ね、お願い!1回だけオレと楽しいところ行ってみない?」

「え~っと・・・。」
 シアの中では男は完全にナンパ師であることが確定した。何を言っても聞く耳を持たずにじり寄ってくる男を諦めさせる言い訳を考えようと頭をフル回転させていたが焦り始めていた。今日はついていないのか周りに人影もなかった。


男がシアの手を掴もうとした瞬間であった。当然男に冷気がかかり始めた。

「ひええ~!寒い!!」
男は冷気に襲われると身体を震わせながら歯をカチカチさせた。

「何が起きたの!?」

シアは目の前に起きた現状に驚き目を丸くして見つめた。


「ボクのサンドパンのこなゆきはどうだい!」
「クールに涼しくて癒されただろ?」

背後から聞き慣れた声がし振り向くとそこには石のデザインがプリントされているアロハシャツと白い短パン姿の男が腕を組み立っていた。隣にはアローラサンドパンがいる。


「ダイゴさん!」
シアは意外な人物が現れ驚いた。

「なんだよ、オレはこの子とお話してるんだ」
「声をかけるなら別な子にしな!」
男はダイゴ睨みつけながらしっしと手を振る。しかし、ダイゴは怯む様子もなく口を開いた。

「きみ、ナンパの常習犯だね。」
「スナバァはきみの手持ちだろ。女の子の足元を狙わせ転びそうになった所を助け誘い出す。」
「夏のホウエンの海でよく見かけるナンパ師のテクニックだよ。」
「スナバァはホウエンには野生でいないからね。」

ダイゴに図星を突かれ男は「チッ」と舌打ちをついた。

「なんだよ、探偵みたいにすました顔しやがって!」
「あんたには退場してもらうよ」
男はそう言うとダイゴを指さしゴルダックに指示を出す。

「ゴルダック、みずびたし!」
ゴルダックは水を辺りに吐き散らし始めた。砂浜はあっという間にドロドロになり足場が悪くなった。

「これで近寄れなくなっただろ!」
男は得意げに言い放つ。

「なるほどね」
ダイゴは呟くと含み笑いを浮かべサンドパンに足場を指さし指示を出した。

「サンドパン、つららばり!」
サンドパンのつららばりが足場に当たるとたちまち砂浜が氷で固まり滑りやすくなった。ゴルダックは足を滑らせバランスを崩しドスンと倒れ込んだ。

「今だ、メタルクロー!」
 ダイゴは、ゴルダックの隙を着くとサンドパンにすかさず指示を出す。倒れ込んだゴルダックはやられると思い目をつぶった瞬間だった。サンドパンの巨大で頑丈な爪がゴルダックの顔の横にめり込んでいた。ダイゴはわざと技を外させていたのだ。ゴルダックは訳が分からずキョロキョロと不安そうに辺りを見渡している。


「やる気かい?誰が一番強くてすごいことを思い知ることになるよ。」
ダイゴは男を真っ直ぐに見つめ言い放つ。目の奥に自信が力強く現れておりどこか王者な風格が漂っている。

「マジになっちゃってつまんねー。」
「お前ら行くぞ」
男は、ダイゴの目つききを見ると怯み始めゴルダックとスナバァをボールに戻し背中を向け去っていった。


「ふぅ、大丈夫かいシアちゃん」
 男が去るとダイゴの表情は和らぎ微笑む。シアもしつこかった男が過ぎ去り安堵していた。

「ダイゴさん助かりました。ありがとうございます。」
「でも、なんでここに?」

「ロタラさんから聞いたよ。」
「ムロタウンのビーチでキッチンカーをするってね」

「そ、そうなんだ~」
シアはまたロタラの仕業だと思い苦笑いを浮かべながら上っ面な返事を返す。
 

「ところで、今日のシアちゃんは目のやり場に困るね」
ダイゴは照れくさそうに目線を遠くに向けながら話す。

「あ、み、見ないでください!!」
シアは自分の格好に気がつくと恥ずかしそうにその場にしゃがみ小さくなった。

「いまさら?」
ダイゴは、心のなかで突っ込みつつも恥ずかしがりもじもじしているシアに色気を感じ余計に目線を向けられなくなっていた。


「ほら」
目を背けながらダイゴは着ていたシャツをカラサリスのようにじっと固まっているシアにかけた。

「え?」
シアはかけられたシャツを見て驚いた。

「着替えて来ればいいよ。」
「アイスコーヒーはボクが代わりに売るから」

「いいんですか!?では、お言葉に甘えて」

【To Be Continued(後編へ) 】

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