本編③~カナズミシティの夜 クラブ・フェアリー潜入編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ここはカナズミシティ街中にあるホウエン地方最大の繁華街ネオラント町2番街。
時は夜の7時近く辺りは暗くなる頃であるが、街灯や派手な蛍光ライトに照らされている看板やホストクラブやキャバクラの宣伝カーが大音量で周りを走っている様子が目に映り昼の街とは異なった賑わいをみせていた。
ネオラント町は2番街商店街のような通路になっており通りでは華やかな服装をした出勤前のキャバ嬢達やキャッチの男達、酔っ払い客達や連れられたポケモン達が行き交い喧騒としていた。
キャッチの男達の足元にはニャースが可愛く手招きポーズをしている。
店の間の小さな通路ではヤミカラス達がゴミ箱をつついて漁っている。ネットを張って対策をしているそうだが頭の良いヤミカラス達にはこうかはいまひとつであるのが目に見えてわかる。
シアはネオラント町2番街入口付近の街頭前に立ってダイゴを待っていた。入口付近の該当は大きなコイキングのモニュメントが建てられておりよく待ち合わせ場所に使われる。Pフォンを眺めながら時々辺りをキョロキョロと見渡す。
「やあ、シアちゃん着いてたんだね」
聞き慣れた男の声を感じ振り向くとそこには微笑んでいるダイゴの姿があった。片手にDフォンを持ったままであったためギリギリまで待ち合わせ場所を探していたように見える。
「ダイゴさんこんばんは」
「私も今ちょうど着たところですよ」
多くの人やポケモンが行き交う入口付近で無事ダイゴと再開することができシアもほっとしダイゴに微笑みかける。
「初めてネオラント町に来てみたんだけど、ここは随分賑やかだね。さすがホウエンの最大繁華街だね!」
ダイゴは物珍しそうに目を輝かせながら辺りを見渡す。
「え!ダイゴさんネオラント町に来たことないんですか!?」
ダイゴから意外な発言を聞きシアは驚き目を丸くする。
「うん、ボクはもともと繁華街とかあまり行く機会がなくてね」
「ダイゴさんは夜の街とかで遊んだりしないんですか?」
「夜の街は美女がたっくさあんいますよお~?」
シアはわざとイタズラっ子のような表情をし「ニシシ」とふざけた様に笑って見せた。
案の定、冗談の通じないダイゴはムッとした表情を見せた。
「遊ぶわけないじゃないか!」
「ボクが遊んでいるとでも思ったのかい?」
「よかった」
「ダイゴさんは遊び人でないことがわかってなんだか安心しちゃいました」
シアはダイゴは夜の街とは無縁であることを意外に思いながらダイゴに笑いかけた。
「シアちゃん、それって一体どういう意味だい?」
ダイゴは首を傾げながら不思議そうに見つめる。
「さあね・・・。」
「そう言うシアちゃんだってこんな繁華街に行くことがあるのかい?」
「はい、私はよく調査で来ていますから」
「へ~、どんな人を調査しているんだい?」
「そうですね、平凡なサラリーマンだったりどこかの会社の部長だったり様々な人ですね。」
「夜の街はよくお偉いさん達の接待で足を運ぶ人が多いんですよ」
「それでさっきボクを疑ったのか」
ダイゴは少し呆れた表情を見せ小さく息を吹いた。
「だいたい多いのは浮気調査とかでしょうかね。」
「時々迷子ポケモン調査とかにも来ています。」
「浮気調査?そんなのも探偵の仕事なんだね!」
「どういう経緯で依頼がくるんだい?」
ダイゴはシアの探偵話しをすっかり気に入ってしまい興味津々に耳を傾ける。
「そうですね~」
「ある日夫のスーツに見覚えがないポケモンの毛が着いていたりして気になるから夫を尾行して調査をして欲しいとかありましたよ。」
「まあ、結局その人は私の調査で浮気がバレて奥さんに怒られポケモンをみんな没収されたとか・・・。」
「ポケモンを没収だなんてなかなか耐え難い罰だね。」
「なんだかシアちゃんは女性と男性の修羅場をいくつも見てそうだね」
ダイゴは苦笑いを浮かべながらシアを見つめる。
「まあね、これも探偵のお仕事ですから」
シアは腕を組むと横目でダイゴを見ながらフッと笑った。
ダイゴはどこか得意げに探偵の話をするシアに憧れを感じつつもあることに気が付きDフォンを見る。
「おっと、もうこんな時間だ」
「そろそろマツヨさんと待ち合わせの時間だからロタラさんに紹介されたバーへ行こうか」
二人はネオラント町の商店街を通るととある雑居ビルの前に辿り着く。
「確か、この辺りですね。ロタラさんのメッセージからだと」
ロタラはマツヨと連絡が取れる調査の事情について伝えていた。すると翌日マツヨからシア会って話がしたいと連絡がきて直接会うことになったのだ。日程、待ち合わせ場所、時間が決まるとロタラはにシア連絡していた。
「そうだね、バーの名前はNo.382だったよね」
二人はビル入口前にある看板から店の名前を探す。看板はたくさん店の名前が書かれておりなかなか見つけられない。
「店がたくさんあってなかなか見つからないですね~。」
「ってうわあ!?」
看板を見ていたら看板が何者かに覆われ見えなくなってしまった。
「ドクケイルだね。看板の明かりに誘われて張り付いてきたんだろう」
「下手に刺激すると毒の粉を撒かれてしまい厄介になるんだ」
ダイゴは腕をシアの前に出し看板から遠ざけるように誘導する。
「残念だけどこれじゃあ看板が見れないね」
「ドクケイルはむしタイプ」
「そうか、閃いたぞ!」
シアは頭の中にある策が思いつくとモンスターボールを取り出した。
「ゴー、ヘルガー!」
モンスターボールから光とともにヘルガーが飛び出してきた。ヘルガーは「ガウッ!」と鳴くとシアの所へ駆け寄って着た。
ヘルガーが近くに来るとシアは指を空に突き上げると「かえんほうしゃ!」と支持した。
ヘルガーはシアの声を聞くと口を上に向け「ウォーン」と遠吠えしながら炎を吐いた。
すると炎を見たドクケイルは驚くと一目散に逃げて行った。
「ちょっと手荒でごめんね」
シアは逃げていくドクケイルの後ろ姿に謝った。
「なるほど!ドクケイルはむしタイプだからわざと苦手なほのおタイプの技を見せたのか」
「シアちゃんの作戦はいいと思うよ」
ダイゴは腕を組みながら頷く。
「それはどうも」
ペコりとお辞儀をするとすぐに看板の方へ向き直る。
「あ、名前ありましたよ!」
シアはバーの名前を指さす。看板には5階と書いてあった。
「よし、行ってみようか」
5階に行き着いた二人はNo.382と書かれた看板のあるドアの前に差し掛かった。ドアは年季が入っており所々錆び付いていた。
「間違いない、ここだ」
ダイゴは確信するとドアノブを握り静かに開けた。ドアはガチャりと鳴るとゆっくり動いた。
バーの店内は狭く薄暗くなっておりスポットライトが中央のカウンター席を照らしていた。サックスのBGMが流れておりどこか大人なムードが漂っていた。
カウンターでは白髪のベテランで堅物そうな男のマスターらしき人がグラスをクロスで磨いていた。隣にはフーディンがねんりきを使い磨かれたグラスを棚へ片付けていた。
「いらっしゃい」
マスターは少しぶっきらぼうな口調で二人を見る。
その様子は、見たことない客に少し警戒しているようにも見える。
「あの、人と待ち合わせをしていまして」
「マツヨさんって方はここにいらっしゃいますでしょうか?」
シアはマスターの様子にも怖気づかずマツヨについて尋ねる。何事も聞いてみないと始まらないと思うのは探偵気質の表れである。
「・・・。」
マスターはグラスを磨いていた手を止めると無言でシアをじっと睨んだ。
シアはマスターの態度に焦るとダイゴに「本当にこのバーで間違いないですよね?」と小声で耳打ちする。ダイゴは無言で頷く。彼も内心「参ったな・・・。」と焦っていたのだ。
「どうしよう、このマスター取り掛かりにくい!」
そう心の中で焦り始めた時であった。
足元で「ニャアーン」と鳴き声がした。
目を下ろすとそこには艶やかなパープルカラーの毛並み、大きなグリーンの宝石のような目をしたチョロネコが見上げていた。
「これはチョロネコ?」
ダイゴと目が合うとチョロネコはカウンター席の奥へトコトコとかけて行った。
「あなたでしょ?シアさんって」
チョロネコが去っていった方向から声が聞こえた。
声のする席の方へ目を向けるとそこには金髪巻き髪ハーフアップが印象的なブルーのシースルードレスを来た女性がほおずえ着きながらカクテルを飲んでいた。女性は煌びやかなオーラを放っていた。カナズミの夜の女王と呼ばれても過言では無い。
「マツヨはあたしだけど」
(この人がマツヨさんか!いかにも売れっ子キャバ嬢って感じ~)とシアは思いながら声をかける。
「ロタラさんのご紹介できました。
「ポロサ探偵事務所のシアです。」
「ボクはダイゴです。」
「マツヨさんはじめまして。」
ダイゴはマツヨに礼儀正しく一礼した。
マツヨは横目で二人を見ると「まあ、座って」と隣の席を指さした。
「失礼します。」
言われた通り2人はカウンター椅子に座る。マツヨと距離が近くなるとムスクの香水の匂いが一層強く香った。2人の様子をチョロネコは興味深そうに目を丸くしてジュークボックスの上で丸くなりながら眺めていた。
「あなたがロタラの言ってた子ね」
「なんでもうちによく来る客の調査をしたいとか」
カクテルを持ち眺めながらマツヨは口を開く。
「はい、あるダイキアドバンス役員の方がよく利用されていると聞き調査をさせて頂きたくてお伺いさせて頂きました。」
「調査ねー。」
「探偵に探られるねはしょっちゅうあるから私は気にしないけどね」
「ただ、なんでよりによってうちの店でなの。別にこんなとこで調査しなくても後は追えるでしょ?」
「しかも、この世界での調査は一筋縄には行かないし時には危険もつきものよ」
「あなたにそんな覚悟はあるのかしら?」
「依頼人のためなら覚悟は出来ています。例えどんな謎でもポケモン達と乗り越えていくつもりです。」
シアは掛けられた言葉に怖気付くことも無く真剣な表情でマツヨを見つめた。
「シアちゃんは人やポケモンに対して真っ直ぐでな人です。」
「どうか力になって頂けないでしょうか。ボクからもよろしくお願いします。」
ダイゴも真っ直ぐとマツヨを見つめた。シアの力に少しでもなりたいと思っていた。
マツヨは2人に真剣に見つめられるとくすくすとほくそ笑みし始めた。
「フフフ、面白いじゃない気に入ったわ」
「ただし、ただでは協力しないわ。あたしはそこまでつまらない女じゃないの」
「では、どうしたら協力を考えて頂けますか?」
「そうね・・・。」
マツヨは一瞬シアとダイゴの姿を上から下へ眺めるように視線を流した。
「店でナンバーワンになれるぐらいの姿になれたらあたしとポケモンバトルで勝てたら協力してあげてもいいわ」
「ナンバーワンになれる姿!?」
シアは予想外のことを言われて驚き目を丸くした。
「なぜポケモンバトルだけでは難しいですか?」
ダイゴも驚きが隠せずマツヨに問う。
「あら、当たり前じゃない!」
「このナンバーワンの私のそばにいてもおかしくない姿でいないと私が恥をかいちゃうでしょ?」
「それに、あなたすっごい地味だもん。背も低いし色気も無いわね」
「まさか今のメイクや服装で店に来ようと思ってないでしょうね?」
「今のあなたとクラブ・フェアリーの関係ってまるでヒンバスにおおきなしんじゅね」
「そんなんじゃあたしは力になりたくないわ」
マツヨはシアをまじまじと見たあと呆れた表情を見せ首を横に振る。
「ええっ!?なにもヒンバスって・・・。」
ポケモンの中で最も地味で美しくないと言われているヒンバスに例えられて言われシアはマツヨに苛立ちを持ち始めた。
「あら、図星だったかしら」
マツヨは得意げな表情を浮かべながら鼻で笑う。
「ボクはそんなことないと思うけどな」
ダイゴもシアが悪く言われたことに違和感を覚え呟く。
「あら、あなたは逆に個性が強すぎて割にあってない恰好よ」
「そんなんじゃどのキャストよりも浮いてしまうわ」
「そのシルバーアクセで身を固めた成金みたいなファッションどうにかならないの?」
「なっ!?」
ダイゴはマツヨにこだわりのファッションを初めて否定され表情が固まる。
「まあ、彼の方はあたしがボーイの服装を特別に貸してあげるから大丈夫ね」
「ただ、シアさんはせいぜい頑張ってね」
(なんでこの人ダイゴさんだけ協力的なの!?)シアはマツヨのダイゴへの配慮に違和感を覚えていた。
「どう、やる気になった?」
「こう見えて私ポケモンバトル好きなのよ。」
「あたしは約束を守る女よ」
頬ずえをつきながらマツヨはシアを見つめる。
「その勝負引き受けます!」
シアは苛立ちを感じつつも言われてばかりにはなりたくないと対抗心を感じた。
「まあ、せいぜい頑張りなさい。」
「でも、このあたしに勝てないと思うけど」
「なんですって!?」
シアは今まで我慢していたがいよいよ堪忍袋の緒が切れそうになりムッとした表情を見せ始めた。
「まあまあ、シアちゃん抑えて。何か策を考えよう」
「では、ボク達はこれで失礼します!」
ダイゴは今にも怒りが爆発しそうなシアを見て危機感を感じチップをカウンターに置くとシアの手を引きとバーの外へ出ていった。せっかく調査ができそうなのにここでシアとマツヨが揉め事を起こすと厄介になる。
「頑張ってね~、ヒンバスちゃん。」
去っていく2人の背を見るとマツヨは嘲笑いながら横髪を右耳に掛けた。
するとダイゴは一瞬何か妙な気配を感じマツヨの右耳を観察しようとしたがシアをなだめることが優先だと思い直ぐにシアの方へ視線を戻した。
ネオラント町2番街に出た2人は通りを歩いていた。
「もう、ここまで人の見た目を悪く言うなんて!!」
「ほんと信じらんない!」
シアはムスッした表情を浮かべながらやや早歩きになっている。
「ボクはシアちゃんのことマツヨさんが言っていた通りには思っていないけどな」
そういうとダイゴはシアを見つめた。シアは目をそらすと「はぁ~」っと小さくため息をついた。心の中では(それ、本心で言ってるの?)と呟いていた。自分の容姿については特別自信がある訳では無いがコンプレックスを改めてはっきり言われるとやはり気が落ちてしまう。
「まあまあ!せっかくチャンスができたんだしマツヨさをに会えて結果よかったんじゃないかな!」
ダイゴはなんとかシアを前向きな気持ちに戻って貰いたいと思い両手を広げ大きなリアクションをしながら話す。しかし、内心(でも、あの感じどこか妙だったな。何かの力を感じたような)と去り際にマツヨから感じ取ったある違和感が脳裏によぎっていた。
「ほんと、悔しいから絶対バトルに勝ってギャフンと言わせてみせます!」
そう言うとシアは拳を握るポーズを取り前に降って見せた。ダイゴはシアの仕草を見るとどこか安心した微笑んだ。
「フフ、その意気だね!ボクも全力で応援するよ。」
「そう言えば、マツヨさんとバトルをするのには相応の格好をしなければならないんだろ?」
「どうする?ボクがデザイナーでも呼んでドレスアップをしてもらおうかい?」
ダイゴがシアに提案をするとシアは足を止め振り向きめダイゴを真っ直ぐ見つめた。
「いえ、ここは私の実力で挑みたいです。」
「一流の変装家のプライドにかけて全力を尽くさせて頂きます。」真っ直ぐと振れない視線は彼女の本気さを物語っていた。ダイゴはシアの特技である変装に対する思いが伝わると納得しゆっくりと頷いた。
「うん、わかったよ。今回は頼んだ!」
「でも、もし困っていることがあれば力になるからいつでも相談してほしいな」
「ダイゴさんには準備ができそうになりましたら連絡します。」
「ああ、期待しているよ」
「さて、もうこんな時間か。遅くなったらここの町は女の子一人で帰るのは危なしいそろそろ帰ろうか」
ダイゴとシアはネオラント町を後にし別れた。
シアは真っ直ぐ帰宅するとお風呂に入り湯船に漬かりながら考え事をしていた。
「はあ、ダイゴさんにはつい強がりを言ってしまったけど実はなんにも考えていないんだよな~。」
「キャバ嬢みたいな派手な服装なんて着たことないし初めてやるメイクテクだからどうしよ~。」
グラデシアの花の香りがする入浴剤を湯船に入れる。入浴剤はシュワシュワと音を立てながら泡を出すとふんわり甘い匂いが香ってきた。グラデシアの入浴剤はポケモン達にも人気な入浴剤だ。洗面器に湯船のお湯を入れて
床に置くとチルットが嬉しそうに中に入りバシャバシャと水浴びし始めた。シアはチルットを微笑ましく眺めていた。ポケモンが楽しそうにしているところを見ているとなぜか不安が吹き飛んでしまう。
お風呂から上がりPフォンを眺めるとメッセージ通知が目に入った。
「誰からだろう?」
通知画面からメッセージを開くすると送り主は意外な人物からであった。
シアちゃん!!!
元気~?
リヒトだよ💗(o'ᆺ'o)
今週の土曜日もしかして空いてるかんじ~??
実は、ホウエンに遊びに行くことになってせっかくだから久しぶりに会いたいなって💕
「あ~!リヒトちゃんからだ!」
メッセージの主が親友からだと分かるとシアは心が弾み小さくジャンプした。リヒトはシアの唯一無二の親友だ。
「ホウエンに来るんだ!私も会いたいな」
リヒトとはホウエンに来たばかりに1度会ったきりほとんど会っていない。時々電話する中ではあるがやはりどこか美味しいカフェでのんびりお話ししたくなる。
「まてよ、リヒトちゃんなら・・・。」
「もしかして私すごくツイてるかも!」
シアはリヒトの特技を思い出すと突然何か閃きニヤリと笑いながらガッツポーズをとった。
喜んでいるシアの傍らではお風呂から上がり身体がすっかり暖かくなったチルットが寝床に入りうたた寝をし始めていた。
◀◀ To Be Continued
次回、ゲスト夢主コラボ回になります!
新登場キャラのリヒトちゃんが気になる方は紹介ページ【リヒト (桜ちゃん夢主)】を見てね♪
時は夜の7時近く辺りは暗くなる頃であるが、街灯や派手な蛍光ライトに照らされている看板やホストクラブやキャバクラの宣伝カーが大音量で周りを走っている様子が目に映り昼の街とは異なった賑わいをみせていた。
ネオラント町は2番街商店街のような通路になっており通りでは華やかな服装をした出勤前のキャバ嬢達やキャッチの男達、酔っ払い客達や連れられたポケモン達が行き交い喧騒としていた。
キャッチの男達の足元にはニャースが可愛く手招きポーズをしている。
店の間の小さな通路ではヤミカラス達がゴミ箱をつついて漁っている。ネットを張って対策をしているそうだが頭の良いヤミカラス達にはこうかはいまひとつであるのが目に見えてわかる。
シアはネオラント町2番街入口付近の街頭前に立ってダイゴを待っていた。入口付近の該当は大きなコイキングのモニュメントが建てられておりよく待ち合わせ場所に使われる。Pフォンを眺めながら時々辺りをキョロキョロと見渡す。
「やあ、シアちゃん着いてたんだね」
聞き慣れた男の声を感じ振り向くとそこには微笑んでいるダイゴの姿があった。片手にDフォンを持ったままであったためギリギリまで待ち合わせ場所を探していたように見える。
「ダイゴさんこんばんは」
「私も今ちょうど着たところですよ」
多くの人やポケモンが行き交う入口付近で無事ダイゴと再開することができシアもほっとしダイゴに微笑みかける。
「初めてネオラント町に来てみたんだけど、ここは随分賑やかだね。さすがホウエンの最大繁華街だね!」
ダイゴは物珍しそうに目を輝かせながら辺りを見渡す。
「え!ダイゴさんネオラント町に来たことないんですか!?」
ダイゴから意外な発言を聞きシアは驚き目を丸くする。
「うん、ボクはもともと繁華街とかあまり行く機会がなくてね」
「ダイゴさんは夜の街とかで遊んだりしないんですか?」
「夜の街は美女がたっくさあんいますよお~?」
シアはわざとイタズラっ子のような表情をし「ニシシ」とふざけた様に笑って見せた。
案の定、冗談の通じないダイゴはムッとした表情を見せた。
「遊ぶわけないじゃないか!」
「ボクが遊んでいるとでも思ったのかい?」
「よかった」
「ダイゴさんは遊び人でないことがわかってなんだか安心しちゃいました」
シアはダイゴは夜の街とは無縁であることを意外に思いながらダイゴに笑いかけた。
「シアちゃん、それって一体どういう意味だい?」
ダイゴは首を傾げながら不思議そうに見つめる。
「さあね・・・。」
「そう言うシアちゃんだってこんな繁華街に行くことがあるのかい?」
「はい、私はよく調査で来ていますから」
「へ~、どんな人を調査しているんだい?」
「そうですね、平凡なサラリーマンだったりどこかの会社の部長だったり様々な人ですね。」
「夜の街はよくお偉いさん達の接待で足を運ぶ人が多いんですよ」
「それでさっきボクを疑ったのか」
ダイゴは少し呆れた表情を見せ小さく息を吹いた。
「だいたい多いのは浮気調査とかでしょうかね。」
「時々迷子ポケモン調査とかにも来ています。」
「浮気調査?そんなのも探偵の仕事なんだね!」
「どういう経緯で依頼がくるんだい?」
ダイゴはシアの探偵話しをすっかり気に入ってしまい興味津々に耳を傾ける。
「そうですね~」
「ある日夫のスーツに見覚えがないポケモンの毛が着いていたりして気になるから夫を尾行して調査をして欲しいとかありましたよ。」
「まあ、結局その人は私の調査で浮気がバレて奥さんに怒られポケモンをみんな没収されたとか・・・。」
「ポケモンを没収だなんてなかなか耐え難い罰だね。」
「なんだかシアちゃんは女性と男性の修羅場をいくつも見てそうだね」
ダイゴは苦笑いを浮かべながらシアを見つめる。
「まあね、これも探偵のお仕事ですから」
シアは腕を組むと横目でダイゴを見ながらフッと笑った。
ダイゴはどこか得意げに探偵の話をするシアに憧れを感じつつもあることに気が付きDフォンを見る。
「おっと、もうこんな時間だ」
「そろそろマツヨさんと待ち合わせの時間だからロタラさんに紹介されたバーへ行こうか」
二人はネオラント町の商店街を通るととある雑居ビルの前に辿り着く。
「確か、この辺りですね。ロタラさんのメッセージからだと」
ロタラはマツヨと連絡が取れる調査の事情について伝えていた。すると翌日マツヨからシア会って話がしたいと連絡がきて直接会うことになったのだ。日程、待ち合わせ場所、時間が決まるとロタラはにシア連絡していた。
「そうだね、バーの名前はNo.382だったよね」
二人はビル入口前にある看板から店の名前を探す。看板はたくさん店の名前が書かれておりなかなか見つけられない。
「店がたくさんあってなかなか見つからないですね~。」
「ってうわあ!?」
看板を見ていたら看板が何者かに覆われ見えなくなってしまった。
「ドクケイルだね。看板の明かりに誘われて張り付いてきたんだろう」
「下手に刺激すると毒の粉を撒かれてしまい厄介になるんだ」
ダイゴは腕をシアの前に出し看板から遠ざけるように誘導する。
「残念だけどこれじゃあ看板が見れないね」
「ドクケイルはむしタイプ」
「そうか、閃いたぞ!」
シアは頭の中にある策が思いつくとモンスターボールを取り出した。
「ゴー、ヘルガー!」
モンスターボールから光とともにヘルガーが飛び出してきた。ヘルガーは「ガウッ!」と鳴くとシアの所へ駆け寄って着た。
ヘルガーが近くに来るとシアは指を空に突き上げると「かえんほうしゃ!」と支持した。
ヘルガーはシアの声を聞くと口を上に向け「ウォーン」と遠吠えしながら炎を吐いた。
すると炎を見たドクケイルは驚くと一目散に逃げて行った。
「ちょっと手荒でごめんね」
シアは逃げていくドクケイルの後ろ姿に謝った。
「なるほど!ドクケイルはむしタイプだからわざと苦手なほのおタイプの技を見せたのか」
「シアちゃんの作戦はいいと思うよ」
ダイゴは腕を組みながら頷く。
「それはどうも」
ペコりとお辞儀をするとすぐに看板の方へ向き直る。
「あ、名前ありましたよ!」
シアはバーの名前を指さす。看板には5階と書いてあった。
「よし、行ってみようか」
5階に行き着いた二人はNo.382と書かれた看板のあるドアの前に差し掛かった。ドアは年季が入っており所々錆び付いていた。
「間違いない、ここだ」
ダイゴは確信するとドアノブを握り静かに開けた。ドアはガチャりと鳴るとゆっくり動いた。
バーの店内は狭く薄暗くなっておりスポットライトが中央のカウンター席を照らしていた。サックスのBGMが流れておりどこか大人なムードが漂っていた。
カウンターでは白髪のベテランで堅物そうな男のマスターらしき人がグラスをクロスで磨いていた。隣にはフーディンがねんりきを使い磨かれたグラスを棚へ片付けていた。
「いらっしゃい」
マスターは少しぶっきらぼうな口調で二人を見る。
その様子は、見たことない客に少し警戒しているようにも見える。
「あの、人と待ち合わせをしていまして」
「マツヨさんって方はここにいらっしゃいますでしょうか?」
シアはマスターの様子にも怖気づかずマツヨについて尋ねる。何事も聞いてみないと始まらないと思うのは探偵気質の表れである。
「・・・。」
マスターはグラスを磨いていた手を止めると無言でシアをじっと睨んだ。
シアはマスターの態度に焦るとダイゴに「本当にこのバーで間違いないですよね?」と小声で耳打ちする。ダイゴは無言で頷く。彼も内心「参ったな・・・。」と焦っていたのだ。
「どうしよう、このマスター取り掛かりにくい!」
そう心の中で焦り始めた時であった。
足元で「ニャアーン」と鳴き声がした。
目を下ろすとそこには艶やかなパープルカラーの毛並み、大きなグリーンの宝石のような目をしたチョロネコが見上げていた。
「これはチョロネコ?」
ダイゴと目が合うとチョロネコはカウンター席の奥へトコトコとかけて行った。
「あなたでしょ?シアさんって」
チョロネコが去っていった方向から声が聞こえた。
声のする席の方へ目を向けるとそこには金髪巻き髪ハーフアップが印象的なブルーのシースルードレスを来た女性がほおずえ着きながらカクテルを飲んでいた。女性は煌びやかなオーラを放っていた。カナズミの夜の女王と呼ばれても過言では無い。
「マツヨはあたしだけど」
(この人がマツヨさんか!いかにも売れっ子キャバ嬢って感じ~)とシアは思いながら声をかける。
「ロタラさんのご紹介できました。
「ポロサ探偵事務所のシアです。」
「ボクはダイゴです。」
「マツヨさんはじめまして。」
ダイゴはマツヨに礼儀正しく一礼した。
マツヨは横目で二人を見ると「まあ、座って」と隣の席を指さした。
「失礼します。」
言われた通り2人はカウンター椅子に座る。マツヨと距離が近くなるとムスクの香水の匂いが一層強く香った。2人の様子をチョロネコは興味深そうに目を丸くしてジュークボックスの上で丸くなりながら眺めていた。
「あなたがロタラの言ってた子ね」
「なんでもうちによく来る客の調査をしたいとか」
カクテルを持ち眺めながらマツヨは口を開く。
「はい、あるダイキアドバンス役員の方がよく利用されていると聞き調査をさせて頂きたくてお伺いさせて頂きました。」
「調査ねー。」
「探偵に探られるねはしょっちゅうあるから私は気にしないけどね」
「ただ、なんでよりによってうちの店でなの。別にこんなとこで調査しなくても後は追えるでしょ?」
「しかも、この世界での調査は一筋縄には行かないし時には危険もつきものよ」
「あなたにそんな覚悟はあるのかしら?」
「依頼人のためなら覚悟は出来ています。例えどんな謎でもポケモン達と乗り越えていくつもりです。」
シアは掛けられた言葉に怖気付くことも無く真剣な表情でマツヨを見つめた。
「シアちゃんは人やポケモンに対して真っ直ぐでな人です。」
「どうか力になって頂けないでしょうか。ボクからもよろしくお願いします。」
ダイゴも真っ直ぐとマツヨを見つめた。シアの力に少しでもなりたいと思っていた。
マツヨは2人に真剣に見つめられるとくすくすとほくそ笑みし始めた。
「フフフ、面白いじゃない気に入ったわ」
「ただし、ただでは協力しないわ。あたしはそこまでつまらない女じゃないの」
「では、どうしたら協力を考えて頂けますか?」
「そうね・・・。」
マツヨは一瞬シアとダイゴの姿を上から下へ眺めるように視線を流した。
「店でナンバーワンになれるぐらいの姿になれたらあたしとポケモンバトルで勝てたら協力してあげてもいいわ」
「ナンバーワンになれる姿!?」
シアは予想外のことを言われて驚き目を丸くした。
「なぜポケモンバトルだけでは難しいですか?」
ダイゴも驚きが隠せずマツヨに問う。
「あら、当たり前じゃない!」
「このナンバーワンの私のそばにいてもおかしくない姿でいないと私が恥をかいちゃうでしょ?」
「それに、あなたすっごい地味だもん。背も低いし色気も無いわね」
「まさか今のメイクや服装で店に来ようと思ってないでしょうね?」
「今のあなたとクラブ・フェアリーの関係ってまるでヒンバスにおおきなしんじゅね」
「そんなんじゃあたしは力になりたくないわ」
マツヨはシアをまじまじと見たあと呆れた表情を見せ首を横に振る。
「ええっ!?なにもヒンバスって・・・。」
ポケモンの中で最も地味で美しくないと言われているヒンバスに例えられて言われシアはマツヨに苛立ちを持ち始めた。
「あら、図星だったかしら」
マツヨは得意げな表情を浮かべながら鼻で笑う。
「ボクはそんなことないと思うけどな」
ダイゴもシアが悪く言われたことに違和感を覚え呟く。
「あら、あなたは逆に個性が強すぎて割にあってない恰好よ」
「そんなんじゃどのキャストよりも浮いてしまうわ」
「そのシルバーアクセで身を固めた成金みたいなファッションどうにかならないの?」
「なっ!?」
ダイゴはマツヨにこだわりのファッションを初めて否定され表情が固まる。
「まあ、彼の方はあたしがボーイの服装を特別に貸してあげるから大丈夫ね」
「ただ、シアさんはせいぜい頑張ってね」
(なんでこの人ダイゴさんだけ協力的なの!?)シアはマツヨのダイゴへの配慮に違和感を覚えていた。
「どう、やる気になった?」
「こう見えて私ポケモンバトル好きなのよ。」
「あたしは約束を守る女よ」
頬ずえをつきながらマツヨはシアを見つめる。
「その勝負引き受けます!」
シアは苛立ちを感じつつも言われてばかりにはなりたくないと対抗心を感じた。
「まあ、せいぜい頑張りなさい。」
「でも、このあたしに勝てないと思うけど」
「なんですって!?」
シアは今まで我慢していたがいよいよ堪忍袋の緒が切れそうになりムッとした表情を見せ始めた。
「まあまあ、シアちゃん抑えて。何か策を考えよう」
「では、ボク達はこれで失礼します!」
ダイゴは今にも怒りが爆発しそうなシアを見て危機感を感じチップをカウンターに置くとシアの手を引きとバーの外へ出ていった。せっかく調査ができそうなのにここでシアとマツヨが揉め事を起こすと厄介になる。
「頑張ってね~、ヒンバスちゃん。」
去っていく2人の背を見るとマツヨは嘲笑いながら横髪を右耳に掛けた。
するとダイゴは一瞬何か妙な気配を感じマツヨの右耳を観察しようとしたがシアをなだめることが優先だと思い直ぐにシアの方へ視線を戻した。
ネオラント町2番街に出た2人は通りを歩いていた。
「もう、ここまで人の見た目を悪く言うなんて!!」
「ほんと信じらんない!」
シアはムスッした表情を浮かべながらやや早歩きになっている。
「ボクはシアちゃんのことマツヨさんが言っていた通りには思っていないけどな」
そういうとダイゴはシアを見つめた。シアは目をそらすと「はぁ~」っと小さくため息をついた。心の中では(それ、本心で言ってるの?)と呟いていた。自分の容姿については特別自信がある訳では無いがコンプレックスを改めてはっきり言われるとやはり気が落ちてしまう。
「まあまあ!せっかくチャンスができたんだしマツヨさをに会えて結果よかったんじゃないかな!」
ダイゴはなんとかシアを前向きな気持ちに戻って貰いたいと思い両手を広げ大きなリアクションをしながら話す。しかし、内心(でも、あの感じどこか妙だったな。何かの力を感じたような)と去り際にマツヨから感じ取ったある違和感が脳裏によぎっていた。
「ほんと、悔しいから絶対バトルに勝ってギャフンと言わせてみせます!」
そう言うとシアは拳を握るポーズを取り前に降って見せた。ダイゴはシアの仕草を見るとどこか安心した微笑んだ。
「フフ、その意気だね!ボクも全力で応援するよ。」
「そう言えば、マツヨさんとバトルをするのには相応の格好をしなければならないんだろ?」
「どうする?ボクがデザイナーでも呼んでドレスアップをしてもらおうかい?」
ダイゴがシアに提案をするとシアは足を止め振り向きめダイゴを真っ直ぐ見つめた。
「いえ、ここは私の実力で挑みたいです。」
「一流の変装家のプライドにかけて全力を尽くさせて頂きます。」真っ直ぐと振れない視線は彼女の本気さを物語っていた。ダイゴはシアの特技である変装に対する思いが伝わると納得しゆっくりと頷いた。
「うん、わかったよ。今回は頼んだ!」
「でも、もし困っていることがあれば力になるからいつでも相談してほしいな」
「ダイゴさんには準備ができそうになりましたら連絡します。」
「ああ、期待しているよ」
「さて、もうこんな時間か。遅くなったらここの町は女の子一人で帰るのは危なしいそろそろ帰ろうか」
ダイゴとシアはネオラント町を後にし別れた。
シアは真っ直ぐ帰宅するとお風呂に入り湯船に漬かりながら考え事をしていた。
「はあ、ダイゴさんにはつい強がりを言ってしまったけど実はなんにも考えていないんだよな~。」
「キャバ嬢みたいな派手な服装なんて着たことないし初めてやるメイクテクだからどうしよ~。」
グラデシアの花の香りがする入浴剤を湯船に入れる。入浴剤はシュワシュワと音を立てながら泡を出すとふんわり甘い匂いが香ってきた。グラデシアの入浴剤はポケモン達にも人気な入浴剤だ。洗面器に湯船のお湯を入れて
床に置くとチルットが嬉しそうに中に入りバシャバシャと水浴びし始めた。シアはチルットを微笑ましく眺めていた。ポケモンが楽しそうにしているところを見ているとなぜか不安が吹き飛んでしまう。
お風呂から上がりPフォンを眺めるとメッセージ通知が目に入った。
「誰からだろう?」
通知画面からメッセージを開くすると送り主は意外な人物からであった。
シアちゃん!!!
元気~?
リヒトだよ💗(o'ᆺ'o)
今週の土曜日もしかして空いてるかんじ~??
実は、ホウエンに遊びに行くことになってせっかくだから久しぶりに会いたいなって💕
「あ~!リヒトちゃんからだ!」
メッセージの主が親友からだと分かるとシアは心が弾み小さくジャンプした。リヒトはシアの唯一無二の親友だ。
「ホウエンに来るんだ!私も会いたいな」
リヒトとはホウエンに来たばかりに1度会ったきりほとんど会っていない。時々電話する中ではあるがやはりどこか美味しいカフェでのんびりお話ししたくなる。
「まてよ、リヒトちゃんなら・・・。」
「もしかして私すごくツイてるかも!」
シアはリヒトの特技を思い出すと突然何か閃きニヤリと笑いながらガッツポーズをとった。
喜んでいるシアの傍らではお風呂から上がり身体がすっかり暖かくなったチルットが寝床に入りうたた寝をし始めていた。
◀◀ To Be Continued
次回、ゲスト夢主コラボ回になります!
新登場キャラのリヒトちゃんが気になる方は紹介ページ【リヒト (桜ちゃん夢主)】を見てね♪