本編②~デボンコーポレーション潜入編

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 ダイゴ達一行はゆっくりと扉が開くと暗闇に包まれた特別会議室へ足を進めて行った。会議室に入ると人感センサーで部屋の明かりが着いた。すると、暗闇で分からなかった特別会議室の情景が目に映し出された。                               地位の高い人が座るのに相応しいビロードの高級感溢れるソファ、大理石でできたテーブル、そして、化石ポケモンのシルエットが描かれたモノクロの絨毯が明かりに照らされ輝いていた。特別会議室は、他の会議室とは異なり一般人が入るにはどこか後ろめたさを感じるほど気品が漂っていた。

「随分こだわりのある会議室ですね」
「さすが、社長御用達の会議室!」
シアは辺りを見渡しながらダイゴのそばに寄った。

「ああ、ボクも滅多に入ったことないがいつ見ても素晴らしい会議室だね。」
「特に大理石を使っているテーブルにはおやじらしさを感じるよ」

 どこか得意げに話すダイゴを見てシアは(さすが、金持ちは考えることが違うな)と呆れ周りに気づかれないぐらいの小さなため息をついた後部屋の壁を見渡した。

(やっぱり、ここも無いな)
(だから犯人は・・・。)
シアが何か感ずき始めた矢先であった。突然ヘルガーが「ウォン」と吠えた後部屋の奥へとかけて行きスタンドライトの下の匂いを嗅ぎ始めた。

「ヘルガー、何か見つけたの?」
ヘルガーに近寄り床に視線を落とすとシアは見覚えのある物を見つけた。

「ポケモンの毛!?」
「しかもエネルギールームで拾った物と一緒!」
シアは落ちている毛を広い上げるとポケットから先程拾った毛を取り出し見比べた。色、光沢、長さ、柔らかさが瓜二つだ。

「どうやら同じ毛のようだね。」
ダイゴはシアの横から興味深そうに覗きこむ。

「ヘルガーが反応しているので同じポケモンの可能性が高いですね。」
「恐らく犯人はポケモンを連れてこの部屋へ来たのでしょう」

「なるほど、犯人はエネルギールームで停電を起こさせた後この会議室に侵入したということか」
「でも、なぜ停電を起こさせてまでここへ来たのだろうか。停電になるとこの部屋は真っ暗になり辺りが見えなくなってしまうのに」

ダイゴの《部屋が真っ暗になる》と言う発言を聞くとシアは頭の中が突然フラッシュの様に輝いた感覚が湧き上がった。
「もしかして!」

シアは何か思いついた様な表情を見せるとビジネスバッグから手のひらサイズの箱型の機械を取り出しアンテナを2本引っ張り出した。

「セラさんその機械はなんだい?」
突然奇妙で見慣れない機械が現れダイゴは不思議そうに見つめる。

 「まあ、見ていてください!」
シアはダイゴを横目に見ると機械のスイッチをオンにした。すると間もなく機械は「ピーピー」と警報機のような高音を出し会議室中に鳴り響かせた。突然音が鳴りダイゴとクロダは一緒ビクッと驚いた。

 機械をスタンドライト下のコンセントタップ部分に近づけると機械は更に大きな音を鳴らし始めた。

「これですね!」
シアはしたり顔で呟いた。

「セラさん一体どうなってるんだい?」
ダイゴはシアの行動が読めず不思議そうに見つめていた。すると、シアはやっと今自分がしていることを話し始めた。

「盗聴器ですよ。このスタンドライトのコンセントタップに仕掛けられているみたいです。」
 
「盗聴器だって!?もしかして今鳴っているのは」

「盗聴器発見マシーンです。」
「ダイゴさん、こちらのタップを見せて頂いてもよろしいでしょうか?」

「ああ、構わないよ。」

シアはダイゴの返事を聞くとコンセントタップを外しテーブルの上に置くと上の蓋部分を剥がした。中には基盤が3つはめ込まれてあったが一つだけ黄色い色で形が異なるものが埋め込まれていた。シアは異なった基盤に気がつくと摘んで取り出した。

「どうやら、こちらが盗聴器のようです。」
「誰かがコンセントタップを盗聴器の付いたタップと交換した可能性があります。」

 盗聴器が特定の人しか入れない特別会議室に仕掛けられていたことが予想外であったためダイゴは衝撃を受けていた。

「驚いたな、まさかデボンに盗聴器が仕掛けられていただなんて。」
「でも、どうやって気づかかれずに仕込んだんだろう」
ダイゴは顎に手を当てながら考え込んだ。

「それは、窓がないからですよ。この会議室には」
シアは真剣な眼差しをしながら落ち着いたトーンで話し始めた。

「天井に監視カメラが設置されてあります。もし、この部屋に窓がありましたら、現在は昼であるため窓からの明かりで自分が部屋にいるのが映ってしまいます。」
「おそらく犯人は監視カメラに映るのを避けるためあえて窓のない会議室を選んだのだと思われます。」

「なるほど、停電を起こせば部屋が暗くなるから監視カメラは姿を移すことができなくなるな」
「部屋は人感センサーで明かりが着くからね。反応させないためにも停電にさせたのかもね」

 「ダイゴさんその通りです。そして、スタンドライトの下はちょうど死角になっており監視カメラに移りにくい場所になってます。ですので犯人はスタンドライトのコンセントに目をつけたのでしょう」

シアはゆっくりと周囲を見渡すとさらに考察を話し始めた。

「先程、この会議室は防音室になっていると聴きました。きっと犯人はこの部屋での会話を聞きたかったのだと思われます。」


ダイゴはシアの考察を聞くとある予感が脳裏をよぎりクロダの方へ振り返った。

「クロダ、近々おやじがこの会議室で話す相手は誰だ?」心の中では誰であるか検討が着いていたが確信を持ちたかった。

クロダは一瞬驚いた表情を見せ視線を落としたがすぐにダイゴの方へ戻した。

「ダイキアドバンスの社長オトギリ様と社長が明日話される予定となっております。」

「やっぱり、予想は合っていましたね!」
クロダの発言を聴きシアは予想していた考察が的中し得意げに口角を上げた。

「ボクも勘づいていたよ。セラさん素晴らしい推理だね。」
「さて、おやじと話す相手が解ったことだし犯人に先手を取られてしまう前にボク達も手を打つとするか!」

「ええ、推理もポケモンバトルも先手必勝です!」




 時間は午後の5時を過ぎていた。ポロサ探偵事務所ではラックは自分が調査している資料に目を通していた。

「う~む、最近はポケモンサプリ詐欺業者の調査依頼がやけに目立つな・・・。」そう独り言を呟いていた時だった。

「ラックさん、ただいま戻りました!」
シアがヘルガーを連れ事務所へ戻ってきた。

「おかえりなさい。どうだい、調査は順調かい?」

「今はダイゴさんとデボンコーポレーションを調査しているのですけど奇妙なできごとがありまして・・・。」

シアはラックにデボンコーポレーションで起きたことと調査した内容の一連を話した。

「停電に盗聴器か、なかなか手の込んだことをする相手だな。まるでスパイ行為に慣れているかのようだな」

「きっと犯人はムクゲ社長とオトギリの会話を盗聴するために盗聴器を仕込んだはずです。」
「何か重要なことを話すのではないでしょうか」シアは腕を組み首を傾げると足元にいたヘルガーがブルっと身震いした。

「解った、私もダイキアドバンスについて何か情報を得たらシアに報告するよ」

 「ありがとうございます。ラックさんも調査して頂けますと心強いです。」
そう言うとラックはフッと微笑むとウィンクしてみせた。

「ところでシア、ダイゴさんとは上手くいってるか?」

「ええ、ダイゴさんなら私の推理をいつも手伝ってくれていますよ」

「いや、そうではなくてだな・・・。」
ラックは淡々と話すシアから浮いた話しが聞けないとわかると少しつまらない顔をする。

「はい?なんでしょうか?」
シアはラックの質問の意図が掴めずどんな反応をしたらいいかわからずきょとんとする。
 
「いや、なんでもない」
 
「変なラックさん!」
ラックを見てシアはクスりと笑った。笑っているシアを見てラックは(ロタラも言ってたが本当に何も感じてないんだな。ホウエンチャンピオンのダイゴなんて女の子達に人気ですごくて魅力的な人なのだがなんだか惜しいな)と心の中でため息をついていた。


 その日の夜、シアは自宅に戻ると机に着きと今まで集めた証拠物品と写真を並べ始めた。先程までボールで遊んでいたチルットは遊び疲れて丸くなり眠りについていた。クークーと可愛い寝息を立てながら眠っているチルットをしばらく見つめたあと証拠物品をそれぞれ手に取り考え込む。

 ツワブキ亭のリビングで見つけたタバコの箱とキャバクラの名刺。書斎の手帳から見つけたダイキアドバンスのオトギリの名刺。そして、デボン特別会議室で見つけたポケモンの毛。どれも関連性が無く謎が深い。そして、デボンで起きた停電事件。不可解なことが重なりシアはまるで自分達のことも監視されているのではと思い込み始めた。

「・・・誰かが私達のことを見ているのかな?」
 そう呟いた途端であった。部屋に飾ってある小さな写真立てが「カタン」と音を立てて倒れた。


【名推理で盗聴器を見つけ出し犯人の行動を掴めたシア。犯人が追い求めた社長会議とはどんな秘密が潜んでいるのだろうか。】


◀◀ To Be Continued


プチsideストーリー更新中「本編chapter12 side~ダイゴとデボン社員食堂
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