探偵の手帳~日常短編集
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時は昼下がり、この日喫茶ペルレイは平日のためか客が少なくゆったりとした時間が流れていた。
店のマスコットポケモンであるドレディアは、店前の植木やプランターの花々にホエルコジョウロで水を与えていた。店の植物の世話担当をしている。
店中ではゆったりしたジャズが流れコーヒーの香りがふんわりと漂ってい鼻腔をくすぐっていた。そんなゆったりと明るい店内の状況とは対象的にどこか暗い雰囲気をした人物がいた。
「はぁ~っ」
シアは深くて長いため息をつきながら客が去ったテーブルの上を片付けていた。肩を落としながらのそのそと動くその背中にはどこか哀愁が漂っていた。その姿は近くにゴーストポケモンがいるみたいに見えると言われても過言では無い。
「シアちゃんなんだか今日は浮かない顔だね。何かあったのかい?」
店でコーヒーを飲んでいたダイゴは、話しかけにくい雰囲気が出ているシアだが心配になり声を掛けずにはいられなかった。座っている膝の上にはチルットが丸くなりながら昼寝をしていた。ダイゴはシアのチルットにすっかり懐かれてしまったのだ。足元にはチルットと遊び疲れたダイゴのココドラがくつろいでいた。
「なんでもないですよ!」
シアはテーブルを拭きながら苦笑いを向ける。どこか強がっている様子が明らかである。
「あ!」
(ガチャーン)
無意識にテーブルを拭いていたのでシアは不意に上のシュガーポットを落としてしまった。幸いポットは割れていなかったが角砂糖が床に散らばってしまった。
「失礼しました!」
「はぁ~・・・。」
恥ずかしさと呆れた気持ちが混ざり合い散らばった角砂糖を見つめながら更に深いため息をつく。
「ボクにはなんでもないようには見えないけど」
心ここに在らずな状態で片ずけるシアを見るに見兼ねてダイゴは含み笑いを浮かべながら横目で見つめる。
「ボクでいいなら話を聞くよ?」
「ダイゴさん聞いてくれるんですか!?」
困り顔をしながらダイゴに近寄る。ダイゴは落ち込んでいるシアを見て(シアちゃんってわかりやすいな)と心の中でクスッと笑っていた。
「なるほど。応援しているポケモンパフォーマーに恋人がいる噂が出ているんだね。」
特に大きなトラブルに巻き込まれている訳ではない事を知りダイゴは安堵する。
「そうなんですよお!」
「週刊誌のトレーナーアイでプラマイキッズのゴウくんに彼女ができたみたいな記事が書かれてあって私ショックで!」
「きっとデマだとは思うのですがもし本当だったらと考えるともう気が気じゃなくて・・・。」
シアは焦り口調で少し大きめな声で話す。探偵の仕事ではいつも冷静沈着にこなすシアとは別人に見える。
「そうなんだね。それは落ち込むね。」
ダイゴはシアの話を傾聴しながら(ボクもパパラッチには気をつけてはいるけどポケモンパフォーマーも大変だな。)とゴシップ記事を書かれたプラマイキッズを気の毒に思っていた。
「でも、シアちゃんにとってプラマイキッズの魅力ってなんなんだい?」
ダイゴは落ち込む話から方向性を変えようと話題を変える。すると待ってましたと言わんばかりにシアは目を輝かせた。
「プラマイキッズはなんて言ったてゴウくんとイチくんのペアが相棒のブラッキーとエーフィ達と協力しながら圧倒的なパフォーマンス披露するところですね!」
「そして、2人で歌いながらポケモン達と優雅にパフォーマンスするところは必見です!」
「ブラッキーとエーフィのシンクロ技パフォーマンスもまるでゴウくんとイチくんの歌声のように・・・。」
先程の落ち込みが嘘のように興奮気味にやや早口でシアはダイゴに語り始めた。
「そ、そうなんだね!」
「シアちゃんは本当にプラマイキッズが好きなんだね。」止まらないシアのファントークにダイゴは苦笑いを浮かべながら耳を傾ける。だが本心はシアが熱く語るプラマイキッズに少し自覚の無い嫉妬心が芽生えてきたのだった。
「はい!ホウエンでポケモンパフォーマンスライブが開催される時はチケットをゲットするようにしていますから」シアは腕を組み頷きながら自信満々に話す。するとダイゴの足元にいるココドラが大あくびをした。
「そう言えば、最近は気になる人を応援することをを推し活って言うそうですよ」
「それはポケモンパフォーマーの話しだけではなくて?」
「はい、ジムリーダーやアイドルとかモデルとか人それぞれです。」
「じゃあ、ボクも推し活してるようだね」
ダイゴは顎に手を当てる。
「ダイゴさんも推し活してるんですか!一体誰ですか?」シアはワクワクしながら期待の眼差しをダイゴに向ける。するとダイゴはシアをじっと見つめてから微笑んだ。
「ボクの推しはシアちゃんだよ。」
「え、私は別にポケモンパフォーマーでもダイゴさんみたいにチャンピオンでも特別すごい人間ではないですよ。」
ダイゴに予想外なことを言われ唖然とする。
「ボクにとってはシアちゃんはすごい人だと思うな」
「それに、推すのなんてポケモンパフォーマーでもアイドルでなくても別にいいじゃないか」
表情を変えず真っ直ぐシアに視線を向けながら話す様子から冗談で言っている様には見えない。
「ボクはいつも人やポケモンのために頑張っているシアちゃんを推すよ」
「そんなこと人に言われたことあんまりないから何て答えたらいいか分からないですよ~!」
真面目な顔をして自分を応援していることをダイゴに言われシアはますますどんな返答をしたら分からず困り顔を浮かべ立ち尽くしていた。
すると、突然ダイゴの膝に乗っていたチルットが床に降りた。そして、翼をゆっくり上下に動かすと光り輝きながら無数の羽を出現させふんわりと舞い上がらせた。その様子はまるで輝く粉雪のようであった。
「すごいチルット!この前教えたフェザーダンス完璧じゃん!!」
「へぇ~、新しい技を覚えたのか。」
「無数の羽が光り輝く様子は神秘的でどこか奥ゆかしさがあるね。石に例えるとめざめいしかな?いや、ひかりのいしの方か・・・。」
(ダイゴさんはなんでも石に例えるな)と心の中で呟いたあとシアはチルットに笑顔を向ける。
「よかったねチルット ダイゴさんに褒めて貰えたよ」
褒めらるたチルットは「ピュイ」と短く鳴いてから羽を小刻みに震わせてワキワキとポーズを見せた。まるでお礼を言っている様に見える。
「そうか、ありがとうか」
チルットの仕草を見てシアは自分を応援してくれている人に返す言葉に気づくことができそして胸の中に温かいものが広がった。
「ダイゴさん私を推して頂きありがとうございます。」
ダイゴは少し照れくさそうにしているシアの顔を見ると笑顔で頷いた。
「うん、これからも応援してるよシアちゃん」
End
店のマスコットポケモンであるドレディアは、店前の植木やプランターの花々にホエルコジョウロで水を与えていた。店の植物の世話担当をしている。
店中ではゆったりしたジャズが流れコーヒーの香りがふんわりと漂ってい鼻腔をくすぐっていた。そんなゆったりと明るい店内の状況とは対象的にどこか暗い雰囲気をした人物がいた。
「はぁ~っ」
シアは深くて長いため息をつきながら客が去ったテーブルの上を片付けていた。肩を落としながらのそのそと動くその背中にはどこか哀愁が漂っていた。その姿は近くにゴーストポケモンがいるみたいに見えると言われても過言では無い。
「シアちゃんなんだか今日は浮かない顔だね。何かあったのかい?」
店でコーヒーを飲んでいたダイゴは、話しかけにくい雰囲気が出ているシアだが心配になり声を掛けずにはいられなかった。座っている膝の上にはチルットが丸くなりながら昼寝をしていた。ダイゴはシアのチルットにすっかり懐かれてしまったのだ。足元にはチルットと遊び疲れたダイゴのココドラがくつろいでいた。
「なんでもないですよ!」
シアはテーブルを拭きながら苦笑いを向ける。どこか強がっている様子が明らかである。
「あ!」
(ガチャーン)
無意識にテーブルを拭いていたのでシアは不意に上のシュガーポットを落としてしまった。幸いポットは割れていなかったが角砂糖が床に散らばってしまった。
「失礼しました!」
「はぁ~・・・。」
恥ずかしさと呆れた気持ちが混ざり合い散らばった角砂糖を見つめながら更に深いため息をつく。
「ボクにはなんでもないようには見えないけど」
心ここに在らずな状態で片ずけるシアを見るに見兼ねてダイゴは含み笑いを浮かべながら横目で見つめる。
「ボクでいいなら話を聞くよ?」
「ダイゴさん聞いてくれるんですか!?」
困り顔をしながらダイゴに近寄る。ダイゴは落ち込んでいるシアを見て(シアちゃんってわかりやすいな)と心の中でクスッと笑っていた。
「なるほど。応援しているポケモンパフォーマーに恋人がいる噂が出ているんだね。」
特に大きなトラブルに巻き込まれている訳ではない事を知りダイゴは安堵する。
「そうなんですよお!」
「週刊誌のトレーナーアイでプラマイキッズのゴウくんに彼女ができたみたいな記事が書かれてあって私ショックで!」
「きっとデマだとは思うのですがもし本当だったらと考えるともう気が気じゃなくて・・・。」
シアは焦り口調で少し大きめな声で話す。探偵の仕事ではいつも冷静沈着にこなすシアとは別人に見える。
「そうなんだね。それは落ち込むね。」
ダイゴはシアの話を傾聴しながら(ボクもパパラッチには気をつけてはいるけどポケモンパフォーマーも大変だな。)とゴシップ記事を書かれたプラマイキッズを気の毒に思っていた。
「でも、シアちゃんにとってプラマイキッズの魅力ってなんなんだい?」
ダイゴは落ち込む話から方向性を変えようと話題を変える。すると待ってましたと言わんばかりにシアは目を輝かせた。
「プラマイキッズはなんて言ったてゴウくんとイチくんのペアが相棒のブラッキーとエーフィ達と協力しながら圧倒的なパフォーマンス披露するところですね!」
「そして、2人で歌いながらポケモン達と優雅にパフォーマンスするところは必見です!」
「ブラッキーとエーフィのシンクロ技パフォーマンスもまるでゴウくんとイチくんの歌声のように・・・。」
先程の落ち込みが嘘のように興奮気味にやや早口でシアはダイゴに語り始めた。
「そ、そうなんだね!」
「シアちゃんは本当にプラマイキッズが好きなんだね。」止まらないシアのファントークにダイゴは苦笑いを浮かべながら耳を傾ける。だが本心はシアが熱く語るプラマイキッズに少し自覚の無い嫉妬心が芽生えてきたのだった。
「はい!ホウエンでポケモンパフォーマンスライブが開催される時はチケットをゲットするようにしていますから」シアは腕を組み頷きながら自信満々に話す。するとダイゴの足元にいるココドラが大あくびをした。
「そう言えば、最近は気になる人を応援することをを推し活って言うそうですよ」
「それはポケモンパフォーマーの話しだけではなくて?」
「はい、ジムリーダーやアイドルとかモデルとか人それぞれです。」
「じゃあ、ボクも推し活してるようだね」
ダイゴは顎に手を当てる。
「ダイゴさんも推し活してるんですか!一体誰ですか?」シアはワクワクしながら期待の眼差しをダイゴに向ける。するとダイゴはシアをじっと見つめてから微笑んだ。
「ボクの推しはシアちゃんだよ。」
「え、私は別にポケモンパフォーマーでもダイゴさんみたいにチャンピオンでも特別すごい人間ではないですよ。」
ダイゴに予想外なことを言われ唖然とする。
「ボクにとってはシアちゃんはすごい人だと思うな」
「それに、推すのなんてポケモンパフォーマーでもアイドルでなくても別にいいじゃないか」
表情を変えず真っ直ぐシアに視線を向けながら話す様子から冗談で言っている様には見えない。
「ボクはいつも人やポケモンのために頑張っているシアちゃんを推すよ」
「そんなこと人に言われたことあんまりないから何て答えたらいいか分からないですよ~!」
真面目な顔をして自分を応援していることをダイゴに言われシアはますますどんな返答をしたら分からず困り顔を浮かべ立ち尽くしていた。
すると、突然ダイゴの膝に乗っていたチルットが床に降りた。そして、翼をゆっくり上下に動かすと光り輝きながら無数の羽を出現させふんわりと舞い上がらせた。その様子はまるで輝く粉雪のようであった。
「すごいチルット!この前教えたフェザーダンス完璧じゃん!!」
「へぇ~、新しい技を覚えたのか。」
「無数の羽が光り輝く様子は神秘的でどこか奥ゆかしさがあるね。石に例えるとめざめいしかな?いや、ひかりのいしの方か・・・。」
(ダイゴさんはなんでも石に例えるな)と心の中で呟いたあとシアはチルットに笑顔を向ける。
「よかったねチルット ダイゴさんに褒めて貰えたよ」
褒めらるたチルットは「ピュイ」と短く鳴いてから羽を小刻みに震わせてワキワキとポーズを見せた。まるでお礼を言っている様に見える。
「そうか、ありがとうか」
チルットの仕草を見てシアは自分を応援してくれている人に返す言葉に気づくことができそして胸の中に温かいものが広がった。
「ダイゴさん私を推して頂きありがとうございます。」
ダイゴは少し照れくさそうにしているシアの顔を見ると笑顔で頷いた。
「うん、これからも応援してるよシアちゃん」
End