本編②~デボンコーポレーション潜入編

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無記名だと「シア」になります。

ここはカナズミシティ都市中。
 シアはホウエンの大企業デボンコーポレーション1回エントランスで待ち合わせの約束をしたダイゴを待っていた。


「ダイゴさん、ご実家も凄かったけど会社もまた大きいなあ。迷子になりそう」辺りをぼんやりと見渡しながら呟いた。大きな案内板を見ると会社は12階までありどのフロアも大きな会議室や座談室がある。


 会社のエントランスは、遠くの人が見えにくいぐらい広く見渡せば中央に受け付けや案内ステーションが構えていた。ステーションの壁にはカブトとオムナイトの絵画が飾られていた。エントランス内は綺麗に清掃されていて埃ひとつもかぶっておらずピカピカに輝いている。上を見上げると、大きなシャンデラがモチーフになっているシャンデリアが優雅に光を放ち足元を見ればかいのカセキやこうらのカセキそして鉱石達がガラス張りに飾られていてどこか幻想的な雰囲気を出していた。

 以前探偵の仕事で他の会社へ潜入調査した経験はあるものの今回のような大企業での調査は初めてなのでデボンでの調査はシアにとってどこか新鮮味を持っていた。
 

「ダイゴさんそろそろくるかな?」
左腕につけているポケッチを眺めた。ポケッチは午前10時頃を示していた。前日、ダイゴ から「10時にデボンのエントランスで待ち合わせしよう」と連絡が来ていたのでシアはとりあえずエントランスで立ち尽くしてダイゴ を待っていた。

 エントランスではビシッとスーツを決めたビジネスマンや白衣姿の研究員らしき人までたくさんの社員達が入れ替わり出入りしていた。大企業であるからか皆んな自信に満ち溢れた表情をしているように見える。


 ぼーっと忙しく行き交うデボンの社員達を横目で眺めてからシアは何かちょっとした遊び心が溢れてきてニヤリと笑った。


(そうだ、せっかくだからダイゴさんに見つけてもらおうと!)
 (ダイゴさん私を見つけることができるかな?)


 どうやら、ダイゴにエントランスを行き交う大勢の社員の中から自分を見つけ出してくれるか試してみようと考えついたみたいだ。

 というのもデボンの社員に変装したシアは普段の格好とは大きく異なる容姿をしており、髪はモスグリーンのポニーテールのウィッグをし目にはバイオレットのカラコン おまけにネイビーの眼鏡をかけスーツを決めたビジネスマンウーマンになっていて誰が見ても別人に見えてしまう容姿になっていた。


 そして、シアはカントー地方の探偵学校で学生をしていた頃変装の成績はトップレベルであり学内大会で優勝していたほどである。そのためかシアは自分の変装に自信を持っていた。

 シアは辺りを見渡し自分が場所に溶け込めそうなスポットを探し始めた。するとエントランスの窓側にスタンディングテーブルが並んでおり数人の女性社員や男性社員がパソコンやDフォンを操作しながら話し合っている様子が目に入った。

(よ〜し、あそこだったら溶け込めそう!)
目を輝かせながらシアはスタンディングテーブルの方へ移動しPフォンを取り出し見ているフリをしながら周りのデボン社員達の中に溶け込んだ。離れた所から見ても誰もシアだと気がつかないほどである。


(ふふっ、今まで誰も私の変装に気がついた人なんていないんだもん。ダイゴさんきっと今頃慌ててるかも!)
シアは傍から見ると涼しい顔をして社員達に紛れながら身をひそめていたが内心は自分を探して焦っているダイゴ の表情を想像してニヤけていた。すると背後から聞き慣れた声が聞こえた。

シアちゃん待たせてすまない。会議が長引いてしまって」

声の主は紛れもなくダイゴであった。
シアはあっさりと変装した自分を見破られてしまい唖然としゆっくりと瞬きをしながら振り返った。


「なんで解ったんですか?」
目を丸くしながら視線をダイゴ に向ける。


 ダイゴはフッと微笑みながらどこか見透かしている様な眼差しをキョトンとしているシアに向けた。

シアちゃんがどんな姿でも見つけてみせるよ」
ダイゴ はそう言うと真っ直ぐシアを見つめた。
シアも少し悔しさが入り混じった感情を抱きつつダイゴ を見つめ返した。

「そうだった、ここではシアちゃんじゃなくセラさんだったね」


セラとはシアがデボンの社員になり済ますために使う偽名である。本名を公開すると社長であるムクゲに調査がバレてしまう恐れがあるからである。


「改めましてセラです。ダイゴさん場所は変わりましたが引き続き調査の方よろしくお願いします。」シアは軽く会釈する。


「うん、実家では直接フォローできなかったけど今回はボクもしっかりと付き添うよ」そう言う時ダイゴは微笑んだ。
 

そして、ダイゴはポケットからDフォンを取り出して画面を眺める。


「そうか、まだかかるのか」
少し眉をひそめ困り顔をしている。

「どうかしましたか?」

「ああ、これから合わせたい人がいるんだけどどうやら急な予定が入ってしまってまだかかりそうなんだ」


 ダイゴは顎に手を当てて相手を待っている間どうしようか考え始めた。そして何か思いついたのか手をそっと離し頷いた。


「そうだ、せっかくだからボクがデボンを特別に案内してあげるよ」


「会社見学ですか。なんだか面白そうですね。」
「よろしくお願いします!」
シアはダイゴの提案に賛成し嬉しそうに微笑んだ。ホウエンの大企業を見学できるなんて滅多にないことだ。

「お、いい表情だね!じゃあ早速行こうか。」
ダイゴは喜ぶシアの表情を見つめた後社内へ招き入れた。


最初に案内されたのは大きなモニターがついた大きな機械がある部屋だった。


「おっきなモニター!ダイゴさんこの部屋はなんですか?」はシア目を輝かせながら尋ねる。
 
「これはポケモンが見ている夢を映像に出す機械なんだ」ダイゴは腰に手を当てながら自慢げに話す。


「ポケモンが見てる夢を!?すごい、私のヘルガーが見ている夢も見れるのかな?」シアはさらに目を輝かせながら大きな機械を眺める。

高揚しているシアとは対照的にダイゴは苦笑いをしていた。

「それ、まだ完成していないんだ」

「え〜、残念」
シアは肩を落としてため息をついた。

「でも同じ研究をしているイッシュ地方のライバル社に負けないように今研究に力を入れてるんだ」

「次行こうか」


ダイゴはシアを別の部屋へと案内する。今度の部屋はスピーカーがついた機械がたくさん置いてある部屋だってた。

「これはポケモンと話ができる機械なんだ」


「ポケモンとお話し!?私のユキメノコがなんで男の人ばっかり凍らせようとするのか聞いてみたい!」シアは再び目を輝かせ始めた。だがダイゴは先ほどと同じように眉を顰め残念そうな表情を浮かべる。


「それもまだ完成していないんだ」


「ええ〜!これも?」
まさか二つ目も未完成だとは思わなかったので目を丸くして驚く。


「じゃあ、次行こうか」


(大丈夫かな?本当にホウエンの大企業なんだよね?)
シアは未完成の機械ばかり紹介してくるダイゴ にどこか半信半疑になってきた。

3つ目に着いた部屋は人とポケモンが入れるくらいの小部屋の形をした機械がいくつもある部屋だった。
 
「これはポケモンになれる機械なんだ」

「で、完成はしたんですか?」
呆れながらダイゴに視線を向ける。流石に同じ予感はしていたようだ。

「実はまだなんだ。」

「やっぱり〜!」
ダイゴに先ほどから未完成の機械ばかりを紹介され期待外れになりシアは少しムッとし腕を組んだ。

「次こそは本当だよ。ボクを信じて」
どこか不貞腐れた表情をしているシアを見てダイゴは可愛げを感じクスッと笑う。

「ダイゴさん何が面白いんですか?」

「いや、なんでもないよ」
「じゃあ、行こうか」

最後に訪れた部屋はガラスの大きなカプセルが特徴的な大きな機械がある部屋であった。機械の上には不思議な液体が入った試験が数本はめ込まれていた。

「これはポケモンを生みだす機械さ」
ダイゴは今までとは違い自信満々に真っ直ぐと機械を見つめながら話した。

「ポケモンを生み出すって一体どう言う意味ですか?」
シアは首を傾げキョトンとする。
 

 「この機械はね、上に付いている特殊なバイオ液にポケモンの化石を入れるとデータが解析され塩基配列が形成されて育成すると化石からポケモンが蘇るんだ。」


「へ〜、なんだか難しそうですが化石からポケモンを蘇させられるなんてすごいですね!」
シアは先ほどまで膨れっ面から一変し目の輝きが戻ってきた。ダイゴは変装で見た目が変わっても表情が豊かなシアを見て胸の奥に温かみを感じていた。


「実はボクのポケモンもこの機械で化石から蘇ったんだ」
「見たいかい?」
ダイゴ はウィンクして得意げにモンスターボールを取り出した。


「はい!ぜひ」
「化石ポケモンなんて私初めて!」
シアは(一体どんなポケモンなんだろう)とダイゴ のポケモンに期待を持ち胸の前で両手を握った。


 【ホウエン地方の大企業デボンコーポレーションに潜入開始となったシア。仲良くからかい合う二人はこれから災難が起こるなど思いもしなかった。】


 ◀◀ To Be Continued
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