季節もの
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年代は2023年が終わり2024年が始まった。
ここカナズミシティの街中にあるカナズミ神社では、朝から新年を快く迎え入れようと初詣にポケモンを連れた多くの参拝者達で賑わっていた。シアもラックと一緒にポロサ探偵事務所の安全と商売繁盛のご利益を貰えるようにカナズミ神社に訪れていた。
だが、シアは沢山の人混みの中一人困った顔を浮かべていた。
「はあ、ラックさんどこ言ったんだろう。(あんぜんおまもり)を買って来るって行ってから居なくなっちゃうなんて」
「こんな人混みじゃみつけられないよお・・・。」
どうやらシアはラックとはぐれてしまったようだ。
先が見えないほどのポケモンとトレーナー達に埋め尽くされてる境内の中一人ウロウロとさまよっているとシアの背後に何者かが近づいてきた。
「やあ、シアちゃん。やっと見つけたよ!」
シアは突然声をかけられ驚いたと同時に聞き慣れた声だったのですぐに声の主がわかった。
「その声はダイゴさんですね!」
自信満々にシアは微笑みながら振り向くとそこにはグレーのトレンチコートを来てブラウンのハンチング帽に季節には似合わないサングラスをつけたダイゴが立っていた。
「ダイゴさん!なんですかその格好!!」
シアは普段はこだわりを持った高貴な身なりをしているダイゴとは打って変わって一際似合わない地味な服装をしているダイゴを見てつい大声で笑ってしまった。
ダイゴは焦り「しーっ!シアちゃん抑えて。」と口に指を当てて顔を赤くしながら笑うシアに注意を促す。
「え~、何でですか?」
シアはダイゴの言動の意味が解らずキョトンとしていると周囲から
「ダイゴさん!?」
「もしかしてチャンピオンの!?」
「どこどこ!?キャ~!ダイゴさま~!!」
とどこからか黄色い声が聞こえてきた。声の方へ視線を向けると数名の女性達が目を輝かせながらキョロキョロと辺りを見渡している様子が見えた。
ダイゴは女性達の声を聞くと更に焦った表情になり咄嗟にシアの腕を掴むと「こっちだ!」と境内の奥へと急いで行った。シアは腕を掴まれ驚きながらもダイゴについて行った。
境内の奥は人やポケモン達が少なく比較的落ち着いていた。
「ふぅ、ここまで来たらもう大丈夫か」
「突然腕を引っ張ってしまいすまない」
「さすがに人混みの中で姿を晒すと人だかりができて迷惑になるからね」
ダイゴはずれ落ちたサングラスをクイッと上げる。
「それは失礼しました。」
「ほんとチャンピオンはいろいろと大変ですね~」
いたずらっぽい表情を浮かべ上目遣いでダイゴを見つめる。
「それはボクをからかっているのかい?」
ダイゴは少し困った顔をしシアと見つめ合う。
「さあ、どうでしょうね」
「あ、そうだった。改めましてダイゴさんあけましておめでとうございます。」
「シアちゃん あけましておめでとう。今年もよろしく頼むよ」
「ダイゴさんも初詣に来てたんですね。」
今度は少し小声で話す。
「ああ、おやじの代わりでねデボンの商売繁盛祈願のために参拝と縁起物を買いにね。」
そう言うとダイゴは、手に持っていた紙袋から弓を引くジュナイパーが筆で描かれ悪霊退散と書かれた御札や大判を持つニャースが描かれ商売繁盛と書かれた御札を取り出しシアに見せた。
「こんな立派な御札があるんですね。凄く縁起良さそう!」
「シアちゃんもポロサ探偵事務所の商売祈願で来たのかい?」
ダイゴに事務所のことを言われてふとはぐれたラックのことを思い出した。
「そうラックさんと来てたのですかはぐれてしまって」
「そうだ、Pフォンに連絡来てるかな」
コートのポケットからPフォンを取り出し画面を見ると通知メッセージが届いており開くとラックから『急用ができてしまった。悪いが先に帰っていてほしい』とメッセージが入っていた。
「なんだあ、先に帰っててですって~。」
シアはPフォンの画面を見つめながら大きくため息をつき呆れた表情をする。
「ラックさんならさっき御札とおまもりを売ってる所で会ったよ」
「ええ!私もそこ探したのに~。」
ダイゴの発言を聞くとシアは腕を組み少しムスッとした表情を見せた。ラックの気まぐれな性格は分かっているが今まで一生懸命探した意味が無くなってしまった。ダイゴはシアが不機嫌そうな顔をしたので「まあまあ、正月早々ラックさんも大変なんだよ」となだめた。
「だってえ~」
シアがなにか不満を言いかけた時だった。
《シャリンシャリン》
どこから鈴の音色の様な音が聞こえた。2人は辺りを見渡すと先にある小さな鳥居の下にリーシャンが楽しそうに跳ねていた。リーシャンの横には『ポケモンおみくじ』と書かれた箱が机の上に置かれていた。
「リーシャンか、昔からカナズミ神社にいるんだよ。お正月にリーシャンの鳴き声を聞くのがカナズミ神社の風物詩なんだ」
「そうなんだ、なんだか癒される鳴き声ですね」
リーシャンの鳴き声に癒されシアはいつの間にか表情が穏やかになってきた。
「そうだ、ダイゴさん。せっかくだからおみくじ引きませんか」
「いいね、今年初めての運試しと行こうか」
両者考えが一致しシアとダイゴはお金を入れおみくじを引いた。
シアは引いたおみくじをゆっくりと開いた。すると「大吉」と大きく書かれておりトゲチックのイラストが描かれていた。
運勢は【ポケモンの健康運:なんでもなおしいらず。日頃のお世話が実を結ぶ。育成運:技を見極めポケモンを信じ精進せよ。バトル運:勝つ。自信を持ち挑め】とどの運勢も良いことが書かれていた。
「やった~!私大吉でした。嬉しい!!」
笑顔でガッツポーズを取る。
喜んでいるシアとは対照的にダイゴは硬い表情をしながら開いたおみくじを眺めていた。シアは不思議そうにダイゴのおみくじを覗いてみるとそこには「大凶」と書かれておりトゲチックが逆さに描かれていた。
運勢の項目を読んでみると【ポケモンの健康運:思わぬ傷が命取り。育成運:怠ると信頼全て失う。バトル運:相手の出方次第でやけどを追う。過度な自信が負けとなる】とどれも不安を煽るような運勢が書かれてあった。
「わあ、大凶だ。初めて見た!」
「おみくじと言えども大凶となるとさすがにいい気がしないな」ダイゴは苦笑いを浮かべる。特にバトル運の悪さがチャンピオンの彼にとってはこうかはばつぐんだったようだ。
シアは自分のおみくじとダイゴのおみくじを改めて見るとふと考えが脳裏をよぎった。
「そうだ、ダイゴさんそのおみくじ私にください」
「いいけど何するんだい?」
「まあ、私の技を見ていてください」
シアはダイゴに微笑むと境内にある木に近づいて行った。どの木の枝にも結ばれたおみくじが沢山着いている。おみくじが結ばれていない低い枝を見つけると先ずは自分の大吉のおみくじを結びつけた。そして、結びつけたおみくじから通すようにしてダイゴの大凶のおみくじを器用に結びつけた。ダイゴはシアの行動を不思議そうに眺めていた。
「これで私の運が半分ダイゴさんに行き渡りますようにいたみわけです。」シアは得意げに話す。
「いたみわけってポケモンの技のことかい?」
「そう、いたみわけ。一緒に括りつけたらなんだか運を分け合ってるみたいでしょ?」
「ハハハ!まるでポケモンバトルみたいだね。これでお互い体力は半分同士だ。きっと面白いバトルになると思うよ」
ダイゴは予想もしなかった行動と発言が面白く笑いつつも相手思いなシアの行動にどこか暖かいものを感じていた。シアもダイゴにつられて思わず笑ってしまった。リーシャンは2人の笑い声を聞くと「シャリンシャリン」とご機嫌に鳴き始めた。
笑う門には福来る。
運など関係なく解けないように結ばれたおみくじのように2人の絆が深く結ばれますように。
END
𝐇𝐚𝐩𝐩𝐲 𝐍𝐞𝐰 𝐘𝐞𝐚𝐫 2024.1.1(元旦)
ここカナズミシティの街中にあるカナズミ神社では、朝から新年を快く迎え入れようと初詣にポケモンを連れた多くの参拝者達で賑わっていた。シアもラックと一緒にポロサ探偵事務所の安全と商売繁盛のご利益を貰えるようにカナズミ神社に訪れていた。
だが、シアは沢山の人混みの中一人困った顔を浮かべていた。
「はあ、ラックさんどこ言ったんだろう。(あんぜんおまもり)を買って来るって行ってから居なくなっちゃうなんて」
「こんな人混みじゃみつけられないよお・・・。」
どうやらシアはラックとはぐれてしまったようだ。
先が見えないほどのポケモンとトレーナー達に埋め尽くされてる境内の中一人ウロウロとさまよっているとシアの背後に何者かが近づいてきた。
「やあ、シアちゃん。やっと見つけたよ!」
シアは突然声をかけられ驚いたと同時に聞き慣れた声だったのですぐに声の主がわかった。
「その声はダイゴさんですね!」
自信満々にシアは微笑みながら振り向くとそこにはグレーのトレンチコートを来てブラウンのハンチング帽に季節には似合わないサングラスをつけたダイゴが立っていた。
「ダイゴさん!なんですかその格好!!」
シアは普段はこだわりを持った高貴な身なりをしているダイゴとは打って変わって一際似合わない地味な服装をしているダイゴを見てつい大声で笑ってしまった。
ダイゴは焦り「しーっ!シアちゃん抑えて。」と口に指を当てて顔を赤くしながら笑うシアに注意を促す。
「え~、何でですか?」
シアはダイゴの言動の意味が解らずキョトンとしていると周囲から
「ダイゴさん!?」
「もしかしてチャンピオンの!?」
「どこどこ!?キャ~!ダイゴさま~!!」
とどこからか黄色い声が聞こえてきた。声の方へ視線を向けると数名の女性達が目を輝かせながらキョロキョロと辺りを見渡している様子が見えた。
ダイゴは女性達の声を聞くと更に焦った表情になり咄嗟にシアの腕を掴むと「こっちだ!」と境内の奥へと急いで行った。シアは腕を掴まれ驚きながらもダイゴについて行った。
境内の奥は人やポケモン達が少なく比較的落ち着いていた。
「ふぅ、ここまで来たらもう大丈夫か」
「突然腕を引っ張ってしまいすまない」
「さすがに人混みの中で姿を晒すと人だかりができて迷惑になるからね」
ダイゴはずれ落ちたサングラスをクイッと上げる。
「それは失礼しました。」
「ほんとチャンピオンはいろいろと大変ですね~」
いたずらっぽい表情を浮かべ上目遣いでダイゴを見つめる。
「それはボクをからかっているのかい?」
ダイゴは少し困った顔をしシアと見つめ合う。
「さあ、どうでしょうね」
「あ、そうだった。改めましてダイゴさんあけましておめでとうございます。」
「シアちゃん あけましておめでとう。今年もよろしく頼むよ」
「ダイゴさんも初詣に来てたんですね。」
今度は少し小声で話す。
「ああ、おやじの代わりでねデボンの商売繁盛祈願のために参拝と縁起物を買いにね。」
そう言うとダイゴは、手に持っていた紙袋から弓を引くジュナイパーが筆で描かれ悪霊退散と書かれた御札や大判を持つニャースが描かれ商売繁盛と書かれた御札を取り出しシアに見せた。
「こんな立派な御札があるんですね。凄く縁起良さそう!」
「シアちゃんもポロサ探偵事務所の商売祈願で来たのかい?」
ダイゴに事務所のことを言われてふとはぐれたラックのことを思い出した。
「そうラックさんと来てたのですかはぐれてしまって」
「そうだ、Pフォンに連絡来てるかな」
コートのポケットからPフォンを取り出し画面を見ると通知メッセージが届いており開くとラックから『急用ができてしまった。悪いが先に帰っていてほしい』とメッセージが入っていた。
「なんだあ、先に帰っててですって~。」
シアはPフォンの画面を見つめながら大きくため息をつき呆れた表情をする。
「ラックさんならさっき御札とおまもりを売ってる所で会ったよ」
「ええ!私もそこ探したのに~。」
ダイゴの発言を聞くとシアは腕を組み少しムスッとした表情を見せた。ラックの気まぐれな性格は分かっているが今まで一生懸命探した意味が無くなってしまった。ダイゴはシアが不機嫌そうな顔をしたので「まあまあ、正月早々ラックさんも大変なんだよ」となだめた。
「だってえ~」
シアがなにか不満を言いかけた時だった。
《シャリンシャリン》
どこから鈴の音色の様な音が聞こえた。2人は辺りを見渡すと先にある小さな鳥居の下にリーシャンが楽しそうに跳ねていた。リーシャンの横には『ポケモンおみくじ』と書かれた箱が机の上に置かれていた。
「リーシャンか、昔からカナズミ神社にいるんだよ。お正月にリーシャンの鳴き声を聞くのがカナズミ神社の風物詩なんだ」
「そうなんだ、なんだか癒される鳴き声ですね」
リーシャンの鳴き声に癒されシアはいつの間にか表情が穏やかになってきた。
「そうだ、ダイゴさん。せっかくだからおみくじ引きませんか」
「いいね、今年初めての運試しと行こうか」
両者考えが一致しシアとダイゴはお金を入れおみくじを引いた。
シアは引いたおみくじをゆっくりと開いた。すると「大吉」と大きく書かれておりトゲチックのイラストが描かれていた。
運勢は【ポケモンの健康運:なんでもなおしいらず。日頃のお世話が実を結ぶ。育成運:技を見極めポケモンを信じ精進せよ。バトル運:勝つ。自信を持ち挑め】とどの運勢も良いことが書かれていた。
「やった~!私大吉でした。嬉しい!!」
笑顔でガッツポーズを取る。
喜んでいるシアとは対照的にダイゴは硬い表情をしながら開いたおみくじを眺めていた。シアは不思議そうにダイゴのおみくじを覗いてみるとそこには「大凶」と書かれておりトゲチックが逆さに描かれていた。
運勢の項目を読んでみると【ポケモンの健康運:思わぬ傷が命取り。育成運:怠ると信頼全て失う。バトル運:相手の出方次第でやけどを追う。過度な自信が負けとなる】とどれも不安を煽るような運勢が書かれてあった。
「わあ、大凶だ。初めて見た!」
「おみくじと言えども大凶となるとさすがにいい気がしないな」ダイゴは苦笑いを浮かべる。特にバトル運の悪さがチャンピオンの彼にとってはこうかはばつぐんだったようだ。
シアは自分のおみくじとダイゴのおみくじを改めて見るとふと考えが脳裏をよぎった。
「そうだ、ダイゴさんそのおみくじ私にください」
「いいけど何するんだい?」
「まあ、私の技を見ていてください」
シアはダイゴに微笑むと境内にある木に近づいて行った。どの木の枝にも結ばれたおみくじが沢山着いている。おみくじが結ばれていない低い枝を見つけると先ずは自分の大吉のおみくじを結びつけた。そして、結びつけたおみくじから通すようにしてダイゴの大凶のおみくじを器用に結びつけた。ダイゴはシアの行動を不思議そうに眺めていた。
「これで私の運が半分ダイゴさんに行き渡りますようにいたみわけです。」シアは得意げに話す。
「いたみわけってポケモンの技のことかい?」
「そう、いたみわけ。一緒に括りつけたらなんだか運を分け合ってるみたいでしょ?」
「ハハハ!まるでポケモンバトルみたいだね。これでお互い体力は半分同士だ。きっと面白いバトルになると思うよ」
ダイゴは予想もしなかった行動と発言が面白く笑いつつも相手思いなシアの行動にどこか暖かいものを感じていた。シアもダイゴにつられて思わず笑ってしまった。リーシャンは2人の笑い声を聞くと「シャリンシャリン」とご機嫌に鳴き始めた。
笑う門には福来る。
運など関係なく解けないように結ばれたおみくじのように2人の絆が深く結ばれますように。
END
𝐇𝐚𝐩𝐩𝐲 𝐍𝐞𝐰 𝐘𝐞𝐚𝐫 2024.1.1(元旦)