<デュエルアカデミア編>
万丈目準は、大財閥である万丈目グループの御曹司である。また、彼は三男であることから次期グループを支えていく存在となるため幼いころから成績、礼儀に対して厳しく育てられてきていた。そのため、彼には失敗が許されない家柄からの圧力やプレッシャーが
いつも取巻いていた。そして、いつしか万丈目はやり場のない自分の恨みを自分よりも成績や下級クラスの人間にむけ見下し冷やかすような冷淡な性格へとなっていた。
しかし、デュエルアカデミア高等部に入学してから遊戯十代という下級クラスであるオシリス・レッドの生徒であるがデュエルの天才が現れ、不覚にも敗れたため今までのプライドやエリート意識はまるで音を立てるかのように崩れていった。
遊戯十代に敗北したことにより、今まで世話を押し付けていた取り巻き達や陰ながら尊敬していたオベリスク・ブルー担当のクロノス教諭にも信頼を失い万丈目は孤独になってしまった。
ある日、絶壁の状況に立たされている万丈目にラー・イエロー首席である三沢大地と寮の入れ替えデュエルを持ちかけられ、彼は名誉を取り戻すためにデュエルを引き受けることとなった。
だが、兄たちから失敗は許されない圧力や遊戯十代に敗北した恨みや憎しみ、負けたトラウマからの不安がつのり彼は、試合前夜に留守中の三沢大地の部屋に忍び込み、彼のデッキを夜の海に捨ててしまう。ところが思いを寄せている天上院明日香と学園最強デュエリストとの丸藤亮に現行現場を目撃されていたことが後日判明され、挙句の果てには三沢大地とのデュエルに敗北したため高いプライドが傷つけられ居場所がなくなったと感じ彼はデュエルアカデミアを自主退学してしまう。
退学後は、各地を放浪としていたが幸いなことにデュエルアカデミアノース高に編入することができわずか数週間で首席に上り詰め、学園対抗デュエルで因縁の相手である遊戯十代との試合に出場できるぐらいの実力を持つまでに成長をしていった。
学園対抗デュエルでは、またもや遊戯十代に敗北してしまったが遊戯十代やノース高校長である市ノ瀬を中心に今まで応援してくれたノース高の生徒達から背中を押され再びデュエルアカデミアへと戻ることを決意した。
彼は、過去の行いを反省し再びデュエルアカデミアに戻ってくることができたのだが心の奥には罪を起こしてまで自分の勝利を手に入れたいため私利私欲に他のデュエリストのデッキを盗み去り海に投げ捨てた時の過ちに対する罪悪感が潜んでいおり三沢大地をみるとたまに思い出すこともあった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
万丈目は、池に浮かび散々しているカードと少女の虚ろで悲しい表情が目に入った瞬間三沢大地のカードを捨てたことへの罪悪感と当時の記憶が不意に重なり、彼は意を決してカードが浮かんでいる池の方へと飛び込んでいった。
\\\\ザパアアアアアーンッ!!!!\\\\
「!!!!何の音っ!?」
[#dn=2#]は、突然の大きな音と水しぶきに驚き水しぶきが上がった方向に恐る恐る目を向けた。すると、池の真ん中で見慣れない黒い制服を着た男子生徒が手を一生懸命に伸ばしながら浮いているカードを集めている光景が目に移りこんだ。
「くそっ‼なんで俺様がこんなことをやらなくてはいけないのだ!?」
万丈目は慣れず悪戦苦闘し泥にまみれながらも浮かんでいた全てのカードを拾い終えるとなずなの方向へザバザバと音を立て膝上の高さに達している水を掻きながら向かってきた。
「うわ~、まるで猫さんみたいな目をした人だなー。」
近づいてくる色白で整った顔で細い釣り目の男子生徒を見ると思わず不機嫌そうな猫のように見えてしまい無意識に万丈目の顔を呆然と見つめていた。[#dn=2#]は猫が大好きなのである。
「おい、人の顔見て何ボーっとしている!お前が落としたカードはこれか⁉」
万丈目は、自分が近づいてきたのにかかわらず特別の反応も見せず呆然とした表情で自分を見つめていた[#dn=2#]に呆れながら少しぶっきらぼうに集めたカードをなずなの目の前に差し出した。
[#dn=2#]は、万丈目に差し出されたカードを見ると我に返り「・・・はっ!?ありがとうございます!」と赤面し慌ててお辞儀をし感謝の言葉を掛ける。その後、二度と自分の手に戻ることができないと諦めていた大切なカードを再び手に戻すことができた喜びの実感がこみあげてきて「ほんとうによかったぁ・・・」と安堵の溜息をついた。
万丈目は、[#dn=2#]の安心した明るくまるで太陽のような笑みを見ると心の中が温かい気持ちになると得意げな表情で「この俺様がわざわざ池に飛び込んでまで拾ってやったんだからもう無くすなよ。」と彼なりの気遣いの言葉を述べた。
「はい!貴方に拾って頂いたカードは一生大切にします!」と[#dn=2#]は再び赤面しながら万丈目に笑顔で返事をした。
「フンッ、一生だぞ!」と万丈目が話すと突然寒気が現れ「・・・って寒っ‼」と身震いした。万丈目が寒がるのも無理が無く、辺りはだいぶ暗くなり月明かりが見え始め少し肌寒い気温に下がっていた。池の水に濡れていた万丈目にとっては、寒さが容赦なく突き刺さっていた。
[#dn=2#]は、目の前で両肘を抱え身体を小さくしブルブルと震えている万丈目を見て気の毒だと思い「あっ、でしたらこのマントを使ってください!」と自分の背中に着けていた深緑のマントをとるとゆっくりと万丈目の背中にかけた。
「すまない」
万丈目は歯をガチガチさせながら[#dn=2#]が掛けてあげたマントに身を包めた。しばらくし、少し寒さが和らいだのか表情が穏やかになってきて[#dn=2#]は一安心の表情を浮かべた。
「お前、とぼけてカードを落とした感じではないようだな。誰かに捨てられたのか。」
[#dn=2#]は、万丈目の問いかけに少し顔を曇らせると「そうなんです。誰がやったのかはわからないのです。でも少し心当たりがあります・・・。」と今までのいきさつを万丈目に話した。
万丈目は、話を聴き終えると「フン、いつかわかったらそいつに言ってやれ『カードを粗末に扱うやつはデュエリスト失格だぞ』ってな!」となずなの目を見てニッと笑った。
「はい!」
「そういえば、貴方のお名前は?」
[#dn=2#]は真っすぐな目で万丈目を見て名前を尋ねた。
「俺はオベリスク・ブルー2年の万丈目準だ。万丈目さんと呼ぶがいい!」万丈目はまるで待っていましたとばかりに表情でと胸を張った。
「万丈目・・・」
名前を言いかけると万丈目が勘「さんだ!」ととっさに言い付け加えたが同時に[#dn=2#]が「万丈目先輩ですね!」と言い直したのであいにく万丈目の言葉は届かなかった。
「お前、後輩か。」
「はい、倫理委員会所属ラー・イエロー2年の[#dn=1#] [#dn=2#]と申します。」
[#dn=2#]は背筋をピンと伸ばしそろえた右手を額の前に構え見事な敬礼を披露した。しかし、彼女の心の中では(やった、敬礼決まった!私ってかっこいい!)と自画自賛していたことは言うまでもなかった。
万丈目は、[#dn=2#]の得意げな敬礼をみると少し悪戯な表情を見せ「ハハハ!なずなか。カードを池に落とされたマヌケな倫理委員会として覚えといてやる。」と高笑いした。
「マヌケな倫理委員会ってヒドイですよ!?せっかく素敵な人だと思ったのにぃ~っ!」
[#dn=2#]は、万丈目に少しムッとした表情を見せたが(でも、自ら池に飛び込んで他人のカードを拾ってあげるなんて変わっている人だな)と万丈目の人情にいつしか興味を抱いた。
「まぁ、マヌケでもアホでもいい。暗くなってきたからお前も早く帰った方がいいぞ。」
「あ!いつの間にこんな時間!!会議に遅刻しちゃう!!」
[#dn=2#]は、万丈目の発言から思わず腕時計をみるとすでに18:00に差し掛かっているのに気付いた。
「フン、会議か。まぁせいぜい頑張れよ。俺はこれで失礼する。」
万丈目は、そう言い放つと来た道の方向に振り向いた。そして、[#dn=2#]に「これ、お前に返す!!」と言うと羽織っていたマントを上に向けて投げ返した。
「もぉ~、何なんですか!人から借りたものを投げないでくださいよぉ~!」
[#dn=2#]は、とっさに頭から落ちてきたマントを止めることができず覆い被さってきたマントに視界を奪われ必死にもがいた。急いでマントから顔を出した時には万丈目は背を向け手を振りながら林の中を出て行っていた。
まだぬくもりが残っているマントを握りしめ背中が小さくなっていく万丈目を眺めながら[#dn=2#]は「この学園に来てやっぱりよかったな・・・。」と呟き万丈目が歩いた道とは反対の道を歩き始めた。
顔を上げると、夜空になったばかりの空を眺めると無数の星が光り輝いており満月は暗闇を明るく照らしていた。まるでこれからの未来を照らしているように。
いつも取巻いていた。そして、いつしか万丈目はやり場のない自分の恨みを自分よりも成績や下級クラスの人間にむけ見下し冷やかすような冷淡な性格へとなっていた。
しかし、デュエルアカデミア高等部に入学してから遊戯十代という下級クラスであるオシリス・レッドの生徒であるがデュエルの天才が現れ、不覚にも敗れたため今までのプライドやエリート意識はまるで音を立てるかのように崩れていった。
遊戯十代に敗北したことにより、今まで世話を押し付けていた取り巻き達や陰ながら尊敬していたオベリスク・ブルー担当のクロノス教諭にも信頼を失い万丈目は孤独になってしまった。
ある日、絶壁の状況に立たされている万丈目にラー・イエロー首席である三沢大地と寮の入れ替えデュエルを持ちかけられ、彼は名誉を取り戻すためにデュエルを引き受けることとなった。
だが、兄たちから失敗は許されない圧力や遊戯十代に敗北した恨みや憎しみ、負けたトラウマからの不安がつのり彼は、試合前夜に留守中の三沢大地の部屋に忍び込み、彼のデッキを夜の海に捨ててしまう。ところが思いを寄せている天上院明日香と学園最強デュエリストとの丸藤亮に現行現場を目撃されていたことが後日判明され、挙句の果てには三沢大地とのデュエルに敗北したため高いプライドが傷つけられ居場所がなくなったと感じ彼はデュエルアカデミアを自主退学してしまう。
退学後は、各地を放浪としていたが幸いなことにデュエルアカデミアノース高に編入することができわずか数週間で首席に上り詰め、学園対抗デュエルで因縁の相手である遊戯十代との試合に出場できるぐらいの実力を持つまでに成長をしていった。
学園対抗デュエルでは、またもや遊戯十代に敗北してしまったが遊戯十代やノース高校長である市ノ瀬を中心に今まで応援してくれたノース高の生徒達から背中を押され再びデュエルアカデミアへと戻ることを決意した。
彼は、過去の行いを反省し再びデュエルアカデミアに戻ってくることができたのだが心の奥には罪を起こしてまで自分の勝利を手に入れたいため私利私欲に他のデュエリストのデッキを盗み去り海に投げ捨てた時の過ちに対する罪悪感が潜んでいおり三沢大地をみるとたまに思い出すこともあった。
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万丈目は、池に浮かび散々しているカードと少女の虚ろで悲しい表情が目に入った瞬間三沢大地のカードを捨てたことへの罪悪感と当時の記憶が不意に重なり、彼は意を決してカードが浮かんでいる池の方へと飛び込んでいった。
\\\\ザパアアアアアーンッ!!!!\\\\
「!!!!何の音っ!?」
[#dn=2#]は、突然の大きな音と水しぶきに驚き水しぶきが上がった方向に恐る恐る目を向けた。すると、池の真ん中で見慣れない黒い制服を着た男子生徒が手を一生懸命に伸ばしながら浮いているカードを集めている光景が目に移りこんだ。
「くそっ‼なんで俺様がこんなことをやらなくてはいけないのだ!?」
万丈目は慣れず悪戦苦闘し泥にまみれながらも浮かんでいた全てのカードを拾い終えるとなずなの方向へザバザバと音を立て膝上の高さに達している水を掻きながら向かってきた。
「うわ~、まるで猫さんみたいな目をした人だなー。」
近づいてくる色白で整った顔で細い釣り目の男子生徒を見ると思わず不機嫌そうな猫のように見えてしまい無意識に万丈目の顔を呆然と見つめていた。[#dn=2#]は猫が大好きなのである。
「おい、人の顔見て何ボーっとしている!お前が落としたカードはこれか⁉」
万丈目は、自分が近づいてきたのにかかわらず特別の反応も見せず呆然とした表情で自分を見つめていた[#dn=2#]に呆れながら少しぶっきらぼうに集めたカードをなずなの目の前に差し出した。
[#dn=2#]は、万丈目に差し出されたカードを見ると我に返り「・・・はっ!?ありがとうございます!」と赤面し慌ててお辞儀をし感謝の言葉を掛ける。その後、二度と自分の手に戻ることができないと諦めていた大切なカードを再び手に戻すことができた喜びの実感がこみあげてきて「ほんとうによかったぁ・・・」と安堵の溜息をついた。
万丈目は、[#dn=2#]の安心した明るくまるで太陽のような笑みを見ると心の中が温かい気持ちになると得意げな表情で「この俺様がわざわざ池に飛び込んでまで拾ってやったんだからもう無くすなよ。」と彼なりの気遣いの言葉を述べた。
「はい!貴方に拾って頂いたカードは一生大切にします!」と[#dn=2#]は再び赤面しながら万丈目に笑顔で返事をした。
「フンッ、一生だぞ!」と万丈目が話すと突然寒気が現れ「・・・って寒っ‼」と身震いした。万丈目が寒がるのも無理が無く、辺りはだいぶ暗くなり月明かりが見え始め少し肌寒い気温に下がっていた。池の水に濡れていた万丈目にとっては、寒さが容赦なく突き刺さっていた。
[#dn=2#]は、目の前で両肘を抱え身体を小さくしブルブルと震えている万丈目を見て気の毒だと思い「あっ、でしたらこのマントを使ってください!」と自分の背中に着けていた深緑のマントをとるとゆっくりと万丈目の背中にかけた。
「すまない」
万丈目は歯をガチガチさせながら[#dn=2#]が掛けてあげたマントに身を包めた。しばらくし、少し寒さが和らいだのか表情が穏やかになってきて[#dn=2#]は一安心の表情を浮かべた。
「お前、とぼけてカードを落とした感じではないようだな。誰かに捨てられたのか。」
[#dn=2#]は、万丈目の問いかけに少し顔を曇らせると「そうなんです。誰がやったのかはわからないのです。でも少し心当たりがあります・・・。」と今までのいきさつを万丈目に話した。
万丈目は、話を聴き終えると「フン、いつかわかったらそいつに言ってやれ『カードを粗末に扱うやつはデュエリスト失格だぞ』ってな!」となずなの目を見てニッと笑った。
「はい!」
「そういえば、貴方のお名前は?」
[#dn=2#]は真っすぐな目で万丈目を見て名前を尋ねた。
「俺はオベリスク・ブルー2年の万丈目準だ。万丈目さんと呼ぶがいい!」万丈目はまるで待っていましたとばかりに表情でと胸を張った。
「万丈目・・・」
名前を言いかけると万丈目が勘「さんだ!」ととっさに言い付け加えたが同時に[#dn=2#]が「万丈目先輩ですね!」と言い直したのであいにく万丈目の言葉は届かなかった。
「お前、後輩か。」
「はい、倫理委員会所属ラー・イエロー2年の[#dn=1#] [#dn=2#]と申します。」
[#dn=2#]は背筋をピンと伸ばしそろえた右手を額の前に構え見事な敬礼を披露した。しかし、彼女の心の中では(やった、敬礼決まった!私ってかっこいい!)と自画自賛していたことは言うまでもなかった。
万丈目は、[#dn=2#]の得意げな敬礼をみると少し悪戯な表情を見せ「ハハハ!なずなか。カードを池に落とされたマヌケな倫理委員会として覚えといてやる。」と高笑いした。
「マヌケな倫理委員会ってヒドイですよ!?せっかく素敵な人だと思ったのにぃ~っ!」
[#dn=2#]は、万丈目に少しムッとした表情を見せたが(でも、自ら池に飛び込んで他人のカードを拾ってあげるなんて変わっている人だな)と万丈目の人情にいつしか興味を抱いた。
「まぁ、マヌケでもアホでもいい。暗くなってきたからお前も早く帰った方がいいぞ。」
「あ!いつの間にこんな時間!!会議に遅刻しちゃう!!」
[#dn=2#]は、万丈目の発言から思わず腕時計をみるとすでに18:00に差し掛かっているのに気付いた。
「フン、会議か。まぁせいぜい頑張れよ。俺はこれで失礼する。」
万丈目は、そう言い放つと来た道の方向に振り向いた。そして、[#dn=2#]に「これ、お前に返す!!」と言うと羽織っていたマントを上に向けて投げ返した。
「もぉ~、何なんですか!人から借りたものを投げないでくださいよぉ~!」
[#dn=2#]は、とっさに頭から落ちてきたマントを止めることができず覆い被さってきたマントに視界を奪われ必死にもがいた。急いでマントから顔を出した時には万丈目は背を向け手を振りながら林の中を出て行っていた。
まだぬくもりが残っているマントを握りしめ背中が小さくなっていく万丈目を眺めながら[#dn=2#]は「この学園に来てやっぱりよかったな・・・。」と呟き万丈目が歩いた道とは反対の道を歩き始めた。
顔を上げると、夜空になったばかりの空を眺めると無数の星が光り輝いており満月は暗闇を明るく照らしていた。まるでこれからの未来を照らしているように。