約束を果たしに
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あの格好いい背中に守られた時から、
否、もっと前から、
俺は柊くんに恋をしていた。
毎日、勉強や部活で疲れきっていても俺と遊んでくれる柊くん。
幸せな時間だった。
でも、別れは突然だった。
俺が小学3年生の、冬だった。
『ごめんな。京治』
そう言って謝った柊くんは、困ったような顔をしていた。
柊くんの高校進学と、ご両親の転勤が重なって、海外に引っ越すことになったそうだ。
俺は泣いて、泣いて。
泣いて縋って、行かないでって、それで、
それで、お互いの両親がいるのも忘れて言ったのだ。
柊くんが好きだと。
俺の泣き声しか聞こえない程に沈まりかえってしまった空気に、引かれてるんだと気が付いて余計に涙が出て。
でも、目を見開いて固まっていた柊くんは、
数秒後ふにゃりと、でもやっぱり困った顔をして
『ありがとう京治』
って。
ああ、振られたんだって、これでもう嫌われたんだって、更に、もっと涙が出て。
あの時、きっと俺の生涯で一番泣いたと思う。
だけど柊くんの言葉には続きがあったのだ。
『もし、・・・もし、京治が、大きくなって、それで、それでも俺の事、好きでいてくれたなら、
その時は俺が京治を迎えに来るよ』
約束。って小指を差し出してくれた柊くんは、まだ困った顔をしていた。
それでも、俺には十分だった。
指切りをして、最後に俺の頭を優しくなでた柊くんは、
笑ってご両親と車に乗り込んでいった。
走り去っていく車を、涙で滲む視界で、一生懸命目に焼き付けた。
それが柊くんを見た、最後の記憶。
当時は携帯も子供は持てなくて、
新しい土地では一時的に会社の寮で暮らしてから更にアパートに引っ越す予定の柊くんの住所も電話番号もわからず、
連絡も取れないまま時は経ち、
俺は来年、あの時の柊くんと同じ、高校生になる。
雪が降り始めた12月4日。
俺は未だに、あの恋を引きずっている。
早瀬柊くんが好き。
もう彼は、あの約束も、俺のことも、覚えてないだろうと、
彼が迎えに来ることは無いだろうと、分かっていながら。
否、もっと前から、
俺は柊くんに恋をしていた。
毎日、勉強や部活で疲れきっていても俺と遊んでくれる柊くん。
幸せな時間だった。
でも、別れは突然だった。
俺が小学3年生の、冬だった。
『ごめんな。京治』
そう言って謝った柊くんは、困ったような顔をしていた。
柊くんの高校進学と、ご両親の転勤が重なって、海外に引っ越すことになったそうだ。
俺は泣いて、泣いて。
泣いて縋って、行かないでって、それで、
それで、お互いの両親がいるのも忘れて言ったのだ。
柊くんが好きだと。
俺の泣き声しか聞こえない程に沈まりかえってしまった空気に、引かれてるんだと気が付いて余計に涙が出て。
でも、目を見開いて固まっていた柊くんは、
数秒後ふにゃりと、でもやっぱり困った顔をして
『ありがとう京治』
って。
ああ、振られたんだって、これでもう嫌われたんだって、更に、もっと涙が出て。
あの時、きっと俺の生涯で一番泣いたと思う。
だけど柊くんの言葉には続きがあったのだ。
『もし、・・・もし、京治が、大きくなって、それで、それでも俺の事、好きでいてくれたなら、
その時は俺が京治を迎えに来るよ』
約束。って小指を差し出してくれた柊くんは、まだ困った顔をしていた。
それでも、俺には十分だった。
指切りをして、最後に俺の頭を優しくなでた柊くんは、
笑ってご両親と車に乗り込んでいった。
走り去っていく車を、涙で滲む視界で、一生懸命目に焼き付けた。
それが柊くんを見た、最後の記憶。
当時は携帯も子供は持てなくて、
新しい土地では一時的に会社の寮で暮らしてから更にアパートに引っ越す予定の柊くんの住所も電話番号もわからず、
連絡も取れないまま時は経ち、
俺は来年、あの時の柊くんと同じ、高校生になる。
雪が降り始めた12月4日。
俺は未だに、あの恋を引きずっている。
早瀬柊くんが好き。
もう彼は、あの約束も、俺のことも、覚えてないだろうと、
彼が迎えに来ることは無いだろうと、分かっていながら。