八輪咲いた
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『それじゃあ早速だが空喰、今の靴を見せておくれな』
峡が言うと、空喰は沓脱石に腰かけ短い両足を見せた。
「この通りでさぁ。ところどころ穴が開いちまって、穢れが漏れ始めちまった・・・。
こりゃあ直らねぇかい?」
峡は少し申し訳なさそうに眉を寄せて頷く。
『ああ。すまないな。こんなに早くボロになるとは・・・』
「はあぁ、そうですかい。そりゃ、仕方ねぇわなぁ」
空喰は少し悲しそうに自分が履いている靴を撫でた。
「峡殿がこいつを作ってくれたおかげで、わしゃあ地を歩くことができたんだぁ。
嬉しゅうて、ありがたくってぇ、大事に使っておったんだが、もう仕舞か。」
『また新しいのを作ろう。その為に呼んだんだ。』
「ありがてぇ。峡殿、たのんます。
こいつは供養してやってくんねぇか。よぅ働いてくれたんじゃけぇ」
空喰は靴を脱いで、開いた扇子の上に優しく置いた。
『ああ。ちゃあんと供養しよう。
だがその前に、次のは長持ちするように、今の悪かったところを見ておかないとな。ちょっと待ってな』
そう言うと、峡は靴が乗ったままの扇子を持ち立ち上がり、京治に声をかけた。
『京治、少しの間、空喰の話し相手をしていてくれるか?
聞いていてわかったろうが気さくな奴だ。そう怖くはないだろう。
ただし、この部屋の此処。この線から外に出てはいけないよ。空喰に言われてもだ。
さっき言ったことを覚えているね?守れるかい?』
“さっき言ったこと”とは、きっと妖物に気を許すなと言う話だろう。
京治は心細さと困惑で体が震えたが、手をぎゅっと握って頷いた。
「はい。守れます。これもお仕事のお手伝いなのでしょう?」
京治のその目を見た峡は嬉しそうに笑って、ぽんぽんと京治の頭を撫でた。
『ありがとう。助かるよ。そうだな・・・半刻程で戻るよ。
空喰、少し京治と待っててくんない。』
「おうさ。一刻だろうが十刻だろうが、待っててやるさぁ」
空喰の返事を聞くと、峡は少し心配そうに京治を見てから――壁をすり抜けた。
「!!???」
驚きに目を見開いて唖然とする京治を見て、空喰はわははと豪快に笑った。
「京治殿、峡殿は隣の部屋に行ったのよぉ。なんでも呪解の部屋なんだとさ。
なぁに、すぐ戻ってくらぁ。ちぃとあんたにゃ危ないところだけぇ、置いてっただけだぁ。
危ない部屋だで、峡殿以外に見えねぇように術がかけてあるんだぁ」
空喰が人のよさそうな笑みで話すものだから、京治も怖々話してみる気になった。
「あの靴は、そんなに危ない物なのですか?」
京治が恐ろしい物を見たような顔で尋ねるので、空喰は愉快になった。
「あの靴自体は元々ぁ危なくはねぇんだぁ。だがなぁ、俺が長く履いちまったせいでぇ穢れが移っちまったんだなぁ」
空喰が、申し訳ないような、どこか寂しそうな顔をして言った。
峡が言うと、空喰は沓脱石に腰かけ短い両足を見せた。
「この通りでさぁ。ところどころ穴が開いちまって、穢れが漏れ始めちまった・・・。
こりゃあ直らねぇかい?」
峡は少し申し訳なさそうに眉を寄せて頷く。
『ああ。すまないな。こんなに早くボロになるとは・・・』
「はあぁ、そうですかい。そりゃ、仕方ねぇわなぁ」
空喰は少し悲しそうに自分が履いている靴を撫でた。
「峡殿がこいつを作ってくれたおかげで、わしゃあ地を歩くことができたんだぁ。
嬉しゅうて、ありがたくってぇ、大事に使っておったんだが、もう仕舞か。」
『また新しいのを作ろう。その為に呼んだんだ。』
「ありがてぇ。峡殿、たのんます。
こいつは供養してやってくんねぇか。よぅ働いてくれたんじゃけぇ」
空喰は靴を脱いで、開いた扇子の上に優しく置いた。
『ああ。ちゃあんと供養しよう。
だがその前に、次のは長持ちするように、今の悪かったところを見ておかないとな。ちょっと待ってな』
そう言うと、峡は靴が乗ったままの扇子を持ち立ち上がり、京治に声をかけた。
『京治、少しの間、空喰の話し相手をしていてくれるか?
聞いていてわかったろうが気さくな奴だ。そう怖くはないだろう。
ただし、この部屋の此処。この線から外に出てはいけないよ。空喰に言われてもだ。
さっき言ったことを覚えているね?守れるかい?』
“さっき言ったこと”とは、きっと妖物に気を許すなと言う話だろう。
京治は心細さと困惑で体が震えたが、手をぎゅっと握って頷いた。
「はい。守れます。これもお仕事のお手伝いなのでしょう?」
京治のその目を見た峡は嬉しそうに笑って、ぽんぽんと京治の頭を撫でた。
『ありがとう。助かるよ。そうだな・・・半刻程で戻るよ。
空喰、少し京治と待っててくんない。』
「おうさ。一刻だろうが十刻だろうが、待っててやるさぁ」
空喰の返事を聞くと、峡は少し心配そうに京治を見てから――壁をすり抜けた。
「!!???」
驚きに目を見開いて唖然とする京治を見て、空喰はわははと豪快に笑った。
「京治殿、峡殿は隣の部屋に行ったのよぉ。なんでも呪解の部屋なんだとさ。
なぁに、すぐ戻ってくらぁ。ちぃとあんたにゃ危ないところだけぇ、置いてっただけだぁ。
危ない部屋だで、峡殿以外に見えねぇように術がかけてあるんだぁ」
空喰が人のよさそうな笑みで話すものだから、京治も怖々話してみる気になった。
「あの靴は、そんなに危ない物なのですか?」
京治が恐ろしい物を見たような顔で尋ねるので、空喰は愉快になった。
「あの靴自体は元々ぁ危なくはねぇんだぁ。だがなぁ、俺が長く履いちまったせいでぇ穢れが移っちまったんだなぁ」
空喰が、申し訳ないような、どこか寂しそうな顔をして言った。