彼女のお願い
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コンビニをでて、停めてある自転車の前でアイスを食べる。
暑い中、冷たいアイスを恋人と食べるなんて青春だなと思う。
他愛のない話をしながら暑さで溶け始めているアイスを食べていると、咲桜がじっと僕を見つめた。
「それ美味しい?」
「うん。思ったより甘いけど、まあ美味しいかな」
「ふーん」
咲桜は自分のアイスを食べた後、周りをキョロキョロと見た。
刹那、目の前一杯に彼女が映る。
キスをされてると理解するのに数秒かかった。
いつもは温かくて心地いい彼女の唇が、今日はアイスみたいに冷たくて心地いい。
辺鄙な場所にあるコンビニだから多分人は来ない。
だから僕は、今のこの状態を楽しむことにした。
アイスを持ってない方の手を、彼女の体にまわして、ほんのりアイスの味がする彼女の唇を味わった。
角度を変えてつけては離す。
存分に味わった後顔を離すと彼女は、はにかむように笑った。
「ほんと甘いね」
「うん。甘すぎる」
「ちょっとだけ順平の味がした」
「なにそれ?…あつ。咲桜のアイス垂れてるよ」
「ああっ!」
手に垂れそうになるアイスを、咲桜は赤い小さな舌で掬って食べた。
そんな姿が色っぽくて、僕は釘付けになった。
「順平見すぎ」
「うるさいっ」
別に彼女をどれだけ見ようといいじゃないか。
と思いながら、溶け出したアイスを口に含んだ。
「ねぇ順平」
「なに?」
「このあと、何にもないならさ」
「うん」
「順平の部屋行っていい?」
この流れで、そのセリフってことは、そういうことだよね?!
驚いて、咲桜の方に目を向けると、小首をかしげていた。
あぁ僕はほんとにこれに弱いんだ。
「いいよ」
アイスを食べ終わって、自転車にまたがる。
後ろのリアキャリアには彼女がいる。
自転車を漕ぎだすと、僕の腰に彼女の細い腕がまわされて、胸が高鳴った。
そういえば、今日は母さん帰りが遅かったかな。
出来れば遅く帰ってきほしい。
なんて下心丸出しで、僕は一刻も早く家に着くように、懸命に自転車を漕いだ。
おわり