順平の知らないこと(吉野順平with五条悟)
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「悠仁と咲桜が直談判しにきたから罰則が軽くなったことは順平も知っての通りなんだけど…。普通考えれば若造二人が──。しかも一人は秘匿死刑が確定していた若造。そして、もう一人は当事者と関係がある人物……。そんな2人が頭を下げたところで、軽くなるなんてこと、ある訳よね。まぁ僕なら感動するけど…上は、頭固いおじいちゃんばっかだからさ。そこで、手を売ったの…」
「それが……これってことですか?」
「そ。順平も知ってる通り、咲桜は稀有な血を引いてる。その血はねぇ〜呪術界では、平安時代に一度途絶えたはずの卑弥呼の血を引く家系。………それがまぁ〜ひょっこり、この時代に現れちゃったもんだから、呪術界はみ〜んな咲桜が欲しいわけ………なぜだかわかる?ヒントは咲桜の術式」
咲桜の術式と言えば、慈愛の術式。
言い換えれば反転術式の様なものだけれど、愛の交歓によって交わった者の魂をコピーし、その人物にこそ最大の能力を発揮する。
そしてその術式のお陰で、僕は無為転変で魂の形を変えられてしまったにもかかわらず、息を吹き返したんだ。
本来なら、息を吹き返すことは絶対にないのに──。
その時僕はあることに気づいた。
僕が無為転変を受けた時、僕は死ぬはずだった。
もとい、死ぬ運命だった。
なぜなら無為転変で魂の形を変えられた者は、反転術式でも治療できないから。
なのに、咲桜の術式のお陰で僕は生き返った。
それってつまり───。
「咲桜の術式が──所謂…不死になるからですか…?」
僕の答えに、五条先生は「せーかい!」と拍手をした。
「この業界はさ。いつも死と隣り合わせなわけ。だとしたら欲しいでしょ不死。特にさ、権力を持ったやつはね。喉から手が出るほど欲しいわけ。今はこうやって大人しくしてるけど、いつ本気になるかわかんないよね」
「…何が言いたいんですか?」
「ん?そのうち本気で咲桜を奪いに来るってこと」
「そんな事…許されるわけないじゃないですか」
「それが、この世界だと許されちゃうんだよね〜。禪院家とかほんっと何しでかすか、わかんないよ?」
あそこは手段を選ばないから、という五条先生の言葉に僕の背筋は凍った。
咲桜の力を欲している輩が、非道な手で咲桜を奪いにくる。
そんなの僕が絶対に許さない。
無意識に手にぐっと力が入った。
「そんな事があったらさ。順平はどうする?」
「僕が咲桜を全力で守ります」
「頼もしいねぇ。咲桜もきっと心強いよ」
五条先生は手をパチパチと叩き、口角を上げて笑った。
「因みに、咲桜は一人ひとりにお断りの返信してるんだよ」
知らなかったでしょ。
なんて言う五条に僕は頷いた。
「ほーんと咲桜って律儀だよねぇ。こんなの適当にあしらえば良いものをさ。今日もそれで出かけてるし」
今朝出ていく時、そっけなかったのは僕に悟られないためだったのか。
別に隠すことじゃないのに…言ってくれれば僕だって何か相談にのるのに…。
悶々としていると、扉をノックする音と共に「先生〜いる〜?」と悠仁の声が聞こえた。
五条先生は「時間通だ」と言いながらテーブルに置かれた写真が片付けられていく。
時間通り?
何が?
「いるよ〜入っておいで〜」
五条先生の合図で悠仁、それから伏黒君と釘崎さんが部屋に入ってきた。
「先生〜用ってなに?」
「私エステ予約したらから、手短に頼むわ」
悠仁と釘崎さんの言葉に五条先生はニヤリと笑った。
なんか、嫌な予感。
伏黒君も多分同じ気持ちなんだろう、眉間に皺を寄せた。
「1年の君達に任務の依頼で〜〜〜す!!」
部屋に釘崎さんの悲鳴が響いた。