新宿任務(with狗巻棘)
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曰く付きのお店は、非常線が引かれていて、私達はそれを跨ぐ。
中はカウンターと6つの丸椅子。
それから壁には、写真立てを飾っていた跡が数個残っている。
そして床にある残穢。
「おかか……」
狗巻先輩が首をふる。
たしか『おかか』は否定。
ここには呪霊がいない、でも
「残穢はありますね。それに、勝手口へ続いてる。もしかしたら、他のところにいるのかも……」
「しゃけ!めんたいこ」
しゃけは肯定。
めんたいこ…は何だっけ?
悩んでいるとスマホが鳴った。
『残穢追ってみよう』
狗巻先輩からのメッセージに私は大きく頷いた。
お店を出て、狗巻先輩と残穢の行く先へ向かう。
何個も閉店したお店をめぐり、最後の一つのお店に入ると、呪霊がいた。
伊地知さんの情報では2級が1体だったはずだけど、私達の眼の前にはその呪霊の他に、5体の呪霊が「ギィギィ」と不気味な声だして鳴いている。
聞いてたよりいっぱいいるけど、2級呪霊以外はどれも低級呪霊。
狗巻先輩は、聞いてたよりも数の多い呪霊に臆する事なく、私を呪霊から守るように前に立って、口元を隠していたジッパーを下げて
「潰れろ」
呪言を吐いた。
呪霊は空き缶を足で潰した時のようにぺっちゃんこになって、緑色の体液をお店に撒き散らした。
「た"か"な"?」
狗巻先輩が振り返って私の方を見ると、頬に緑色の体液がついていた。それに、声はガラガラ。
そういえば、呪言は喉の負担が大きいんだったっけ?
代償があるってパンダ先輩が言ってた。
「狗巻先輩。お疲れさまです。すぐに喉治療しますね」
私は狗巻先輩の頬の汚れをハンカチで拭いて、それから喉にそっと手を当てて目を閉じた。
私の身体の中にある暖かくて心地よい呪力が、私の手を通って狗巻先輩の喉に流れる。
狗巻先輩の喉がぽうっと薄黄色の光に包まれた。
「ツナツナ」
私の反転術式が終わると、狗巻先輩の声はいつもどおりに戻った。
手に持っていたスマホが鳴る。
『ありがとう』
『祓い終わったから、伊地知さんに電話するね』
右手で電話をかけるジェスチャーをする狗巻先輩に頷く。
狗巻先輩は私が頷いたのを見ると、スマホを耳に当てた。
スマホから「もしもし、伊地知です」と伊地知さんの声が漏れ出す。
「たかな。めんたいこ………………ツナ」
狗巻先輩が電話を切ると、スマホで何かを打って、私のスマホがまた震えた。
『伊地知さんここに来るの1、2時間位かかるらしいから、駅前で時間つぶしててって。着いたら連絡するって』
そう言えば、伊地知さん他の術師の送迎があるって言っていたなぁ。
なんて思ってると、狗巻先輩からまたメッセージが送られてきた。
『時間あるし、よかったらここでお茶しよ?』
送られ来たメッセージの後にURLがひっついてきて、それをタップするとオシャレなカフェのホームページが開いた。
パンケーキのお店でふわふわそうなパンケーキ生地にたっぷりの生クリーム───。
見ているだけでもお腹が鳴る。
『行きましょう!』
私はトークルー厶に返信した。
それを見た狗巻先輩はパッと顔を明るくして、「ツナツナ!」とVサインを送った。
私がおにぎり語が今よりもわかるようになるまであと2時間。
おわり