第16話/エスケープ
夢小説設定
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僕はこの時間が一番好き。
この世界で僕と咲桜の二人きりみたいで、ずっとこのままがいいのにって思っていたら、昼休みの終わりを告げるチャイムがなった。
はぁ…。
この時間も終わりか…。
つないでた手を少し緩めると、咲桜は緩めず、逆にギュッと握ってきた。
「順平君は…授業、サボったことある?」
「え?…………何回か…あるよ…」
僕は咲桜の瞳を見つめた。
彼女の黒曜石の様な瞳に、次に続くであろう咲桜の言葉に、ちょっぴり期待する僕の顔が映る。
どちらが誘った訳でもなく、僕らは触れるだけのキスをした。
ゆっくり離れて、お互い微笑む。
「授業…サボっちゃおっか」
「うん…」
咲桜は手を離して起き上がって、スカートについた汚れを手で払って、上半身だけを起こした僕に手を差し出した。
「荷物取りに行こう。体育の時間だから多分もうみんないないだろうし」
僕は立ち上がってそれから手を取った。
「映画でも…見に行く?」
「それ!すごくいい!」
咲桜が階段に繋がる扉の取っ手に手をかけた時、「あっ」と声を上げた。