第16話/エスケープ
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「あ!順平君の負け!」
腕を下げて、僕の方に体を向けてニッコリ笑う咲桜の顔。
5日前、伊藤に切られた頬の傷は次の日には跡形もなくなっていた。
僕は挙げていた腕を、そのまま咲桜の頬に持っていく。
自然と向き合う形になって、お互いの距離も近い。
咲桜は僕の言葉を今か今かと待ってたみたいだけど、突然僕が頬に手を添えたから、みるみるうちに顔が熱っぽくなる。
「咲桜」
「ひゃい…」
「切ったところ…痛くない?」
「うん。痛くないよ」
跡形もなくなっちゃったからね。
とニッコリ笑って、頬に乗せた僕の手をとる咲桜に、ちょっと心臓が跳ねて、今にでも抱きしめたくなる。
まぁ、誰もいないから抱きしめてもいいんだけど…。
「そっか」
「なんだかよくわかんないけど…手術の次の日になくなってて、お医者さんもびっくりしてた」
「明日、なんでなくなったのかの検査に行くんだっけ?」
「そうなの。しかもちょっと大きい病院に…やだなぁ。注射とかするって言うし…すっぽかしちゃおっかな…」
僕の手で手遊びをする咲桜に答えるように僕も彼女の手で手遊びをする。