第14話/創傷
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「タッ!!タオ!タオル!タオルを早く!」
閉まる喉から無理やり声を出した時、扉の方から「何やってるんだ!」と男子教員の声が聞こえた。
僕はその声に反応することなく、部員から受け取った白いタオルを咲桜の頬に強く当てた。
「咲桜…咲桜……」
白い生地が血を吸ってどんどん赤く染まる。
眼の前が涙で滲む。
血が、止まらない。
このままだと咲桜が死んじゃう。
死なないで、お願い…。
お願い……。
咲桜。
「おい!救急車!救急車!」
「救急車今呼んでます!」
「保健の先生!こっちです!」
教室にいる人間の声が耳の中でこだまする。
どうにかこの血をとめないと…。
ぐっと、押さえてる手に力をいれると肩に手をおかれた。
横目で見ると、保健室の先生だった。
彼女は優しく落ち着いた声で
「名代さん。今救急車呼んでるからね。少し横になりましょう。吉野君、押さえててくれたのね。そのまま押さえててもらえるかしら」
といったので、僕は小さく頷いて咲桜を寝かせた。
「吉野君、ありがとう。先生が変わるわね」
手袋をして、タオルを持った保健室の先生と場所を変わって、僕は咲桜の血のついた手をギュッと握った。
その手は、死んだ人みたいに冷たかった。