第14話/創傷
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
首を絞められて苦しかったのが急に楽になった。
眼の前にいたはずの伊藤がいない。
たしか、咲桜が伊藤に体当りして…。
それから…。
さっき起こったことを頭で整理しながら上半身を起こすと、左耳から女子部員の悲鳴が入ってきた。
「咲桜ちゃん!!咲桜ちゃん大丈夫?!?」
僕は咲桜という言葉に反応して、声が聞こえた方に顔を向けた。
「!?咲桜!!」
僕の目に飛び込んできたのは、左頬を手で押さえて蹲る咲桜と、腰を抜かした伊藤だった。
僕はすぐに、彼女のそばに行った。
そして彼女の側に血痕がついたカッターがあることに気づく。
血……?
なんで……?
「咲桜…?…どうし…」
僕が声をかけ終える前に、咲桜は頬に当てていた手を床について、体を起こし、僕の顔を見た。
僕は驚愕した。
声がでなかった。
だって、咲桜の顔…。
あの陶器みたいに白くてすべすべで、柔らかくて……。
可愛いを具現化した咲桜の顔が…。
左口角から左耳にかけて大きく切り裂かれて、血が雨の様にボタボタと頬を流れ床にシミを作っていく。