最終話/世界一愛を知った僕【HAPPYEND√】
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病院に着いたのは電話があってから約1時間後だった。
受付で名前を言うと、看護師に分娩室の前のベンチに案内され、座って待っているように知らされる。
分娩室からは、咲桜の叫び声と、助産師の大きな声が漏れ聞こえた。
咲桜、がんばれ!
がんばって…。
ベンチにすわって、手を組んで心の中で呪文のように何回も、何時間も唱えていると、急に静かになって、甲高い産声が壁を突き破って僕の耳に飛び込んできた。
産まれた…。
僕と、咲桜の子が…!
産まれたんだ。
元気な産声が僕の涙腺を緩めさせる。
その瞬間分娩室の扉が開いた。
「おめでとうございます。元気な女の子ですよ」
僕はすぐに咲桜の側に駆け寄った。
ベッドに横になっている咲桜は疲れ切っていて、汗まみれで、汗で濡れた髪が頬に張り付いている。
「順平君…驚かせて…ごめんね…急いで…来てくれたんだよね」
「当たり前だろ…だって自分の子供が産まれるってときに…急がない人がいる?」
「ふふ。それもそうだね」
咲桜の頬に張り付いた髪を、僕は丁寧に取り除く。
「ありがとう…咲桜。本当に、よく頑張ったね…ありがとう…」
「こちらこそ、いつもありがとう」
手を握り、咲桜の掌にキスを落とした。
「赤ちゃん。抱っこされますか?」
助産師に訊ねられ、答えたのは咲桜だった。
「はい。ぜひ!…ほら…順平君。赤ちゃん抱っこしてあげて」
「え?!…ぼっ…僕が!?…咲桜が抱っこしなよ」
「ううん。私さっき抱っこしたから…順平君が抱っこしてあげて」
「…わかった」