最終話/世界一愛を知った僕【HAPPYEND√】
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呪霊を祓い終わった廃墟のビルの中に異常がないか、悠仁と僕は見てまわる。
「もうそろそろ産まれんじゃないの?」
「予定日は過ぎてるけど、まだ出たくないみたいなんだ」
立て付けの悪いドアを開けて2人で、一つ一つ部屋を確認していく。
「咲桜のお腹ん中が好きなんだな…名前は決めたの?」
「いや、まだ…咲桜には頼まれてるけど…なかなかいいのが思い浮かばなくて」
「あれ?女のコだっけ?男のコだっけ?…」
「性別は…産まれてからじゃないとわからないんだ」
「へぇぇ。…そっかぁ……順平が、パパかぁー」
「ホント言うとあんまり、自信ないんだよね」
ボソッと言ったつもりが、結構ハッキリ言ってたらしい。
悠仁が僕の事を見て、目をパチパチさせた。
「そんなすぐなれるもんでもないだろ」
「え?」
「すぐパパになれる奴なんて多分いねーよ…子供が成長するみたいに、ちょっとずつパパになってくんだよ…」
割れたガラスや、新聞紙や雑誌が散乱する部屋に、悠仁の落ち着いた声が響く。
「小僧の癖に生意気いいおって」
「あっ。もー。いいこと言ったのに、台無しじゃねぇの。ほんっと、毎回毎回勝手に出てくんなよなぁ」
悠仁はパチンと頬をたたくけど、呪いの王宿儺には効かないよね。
「咲桜も片目小僧の女になったかと思えば、妊んでおるとは……しかし…咲桜の子か…興あるな」
ケヒヒ、といつもの様に悠仁の頬で笑う宿儺に僕はすかさず「食べないでよね」と忠告した。
「食わん。咲桜の子は食うものではない」
「僕の子でもあるんだけどなぁ…」
「片眼小僧の血などどうでも良い」
「おい。失礼だそ」
また悠仁は頬を叩く。
「ケヒッケヒヒ…」
廃墟のビルは異常がなくて、伊地知さんが待機している車に悠仁と戻った。
車は結果報告をする為に高専に向かう。
道中悠仁と最近の映画の話をしたり、伊地知から咲桜の事を聞かれたりしていたら、すぐに高専に着いた。