第28話/慈愛の涙【HAPPYEND√】
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僕の命を救ってくれたのは咲桜と言う事を教えてくれたのは、悠仁だった。
夜、咲桜は枕を持って、僕が療養している部屋にやってきた。
目を覚ました僕と一緒に寝たいんだって。
僕は快く受け入れ、僕に腕枕をされながら僕が目を覚ましたことを喜ぶ咲桜に、耳を傾けていた。
その一方で、僕の命を救ってくれたのは、咲桜だと言うことを噛み締めていた。
「ねぇ咲桜」
嬉しそうに僕のことを見ながら話す咲桜の名前を呼ぶと、彼女は「うん?」と小首を傾げた。
「僕のこと、生き返らせてくれてありがとう」
彼女の頬に手を当て言うと、咲桜は目をパチクリさせる。
「誰から聞いたの?」
「昼に、悠仁が教えてくれたんだ。そのときに咲桜の事も教えてもらったよ。僕の魂の形を知ってたから、僕は生きてるんだって」
「そうなんだ」
「僕に教えてくれたら良かったのに…」
「んー。なんか、順平君が起きて、動いてた事が嬉しくって……それに、『私が生き返らせたんだよ』って自分から言うの恥ずかしくて…ごめんね」
照れ笑いをする咲桜は、時折僕に視線を外しながらも、僕の手を触りながら言う。
そんな咲桜がやっぱり可愛いくって、愛おしくって、もっと触れたくなって、僕はギュッと抱き寄せた。
咲桜は「ふふふ」と小さく笑ってから
「ねえ。チューしたいな…」
「うん。いいよ」
僕らは、一度見つめ合ってから、お互い目を閉じて、磁石がひっつくみたいに唇を合わせた。
柔らかくて、甘くて…。
彼女に「嫌い」と言って後悔したあの日からずっと欲していたもの。
ただ唇を合わせただけなのに、マッチに火がついたみたいに急に心がポッと温まって、眼に涙が溜まる。
その涙は、僕が咲桜から生を受けた喜びと愛おしさに溢れた優しい涙だった。
第29話/人間の美徳【HAPPYEND√】へ続く