第28話/慈愛の涙【HAPPYEND√】
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「…咲桜……」
彼女の名前を呼ぶと、咲桜が僕に飛びついてきて、身体が急に重くなった。
バランスが取れなくて、その場に倒れ込んでしまう。
「順平君の馬鹿!バカバカバカ!バカーぁ!!」
ポカポカと、僕の胸を叩く彼女の身体に、腕をまわして、後頭部に片手を置いて、ギュッと抱きしめた。
春の光のように暖かくて、お菓子の様に甘い香り。
ずっと、この手で触りたかった柔らかな感覚が、僕の涙腺を刺激した。
僕のことを叩いていた手は次第に落ち付き、しがみつく様に抱きついて、子供みたいに泣きじゃくった。
「ごめん…咲桜……ごめんね…ごめん…」
「私のこと嫌いじゃなかったの?!私のことなんてどーでも良かったんじゃないの!?」
「ちがっ…ちがう!…そんなことない!…好きなんだ!咲桜の事が…大好きでたまらない。嫌いなんて、嘘なんだっ…傷つけてごめん…咲桜……」
「私ほんとに、順平君に嫌われたって思ってて…辛かった」
「うん…ごめん…咲桜ごめん」
「ほんとに…私のこと嫌いじゃない?」
体を離して、真っ赤な目で僕をみつめる咲桜。
時折しゃくりをあげて、水滴が頬を伝う。
僕は指でその水滴をすくいあげた。
「うん。大好きだよ咲桜……」
「じゃぁ、もう嫌いなんて言わないで、私のこと、ずっと好きでいて」
「もう絶対嫌いなんて言わないし、咲桜の事ずっと好きでいる。てか、もう咲桜以外好きになれないよ」
「うれしい…」
目を瞑って笑う咲桜が愛おしくて、僕はまた彼女を抱きしめた。
僕は、生きてるんだ────。