第27話/後悔の涙【HAPPYEND√】
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映画館で会ったとき、声をかけていれば。
彼に一声かけていたら。
彼の跡を追って、あの時何であんなことを言ったのか聞いていれば。
とりとめもなく『タラレバ』が頭に浮かぶ。
「ごめんなさい…ごめんね…ごめん…あの時…順平君に、ちゃんと声かけてたら…」
順平君は死なずにすんだのかも。
「…ねぇ、順平君…私…………私は順平君のこと凄く好きだよ。大好きなの。愛してるのっ。いつも私のワガママを聞いてくれて、いつも私にだけ優しくて…私の王子様なんだよ…順平君は私の運命の人なんだよ」
もし、この世界に神様がいるのなら、どうか順平君を私から引き剥がさないで欲しい。
もう十分、独りぼっちは苦しいことを知ったし、順平君に愛されていたあの時が、どれほど幸せだったかわかったよ。
「何もかも失ってもいい……でも、順平君だけは、私から奪わないで…」
大粒の涙が頬を流れ、傷口の血と混ざって私の唇を濡らした。
「お願い…」
私は血と涙で濡れた唇を、順平君だったモノの唇に押し付けた。
彼の唇は、いつかキスをした時のように暖かかった。
第28話/慈愛の涙【HAPPYEND√】へ続く