第23話/言靈
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なんで…。
どうしてそこまでするの…?
僕の彼女だから?
僕の恋人だから?
こんな場所すぐに逃げ出せよ…。
だめだよ咲桜が傷つくところは見たくない…。
見たくないよ。
眼に涙が溜まった時、本田が僕に耳打ちをした。
「別れるって一言言えばいいんだって」
それは悪魔の囁きのようだった。
でもそういえば、咲桜はゴキブリも食べなくて済むし、根性焼きもしなくて済む。
「もう!!!!!!やめてくれ!!!!!」
本田の言葉は僕の頭を侵食して、僕の言葉に変化して、僕の口から溢れ出る。
「僕は…僕は名代さんなんて………好きじゃないんだ!むしろ…むしろみんなに優しくて、好かれてる名代さんなんてっ……名代さんなんてっ!!!!!大っ嫌いだ!!もう!僕に構わないでくれ!!」
全てが終わった。
全てがもう、どうでも良くなった。
蹴られる痛みも、浴びせられる罵声も暴言も……。
僕の好きな彼女はもうここにはいない。
言葉には力がある。
と、どこかの誰がいっていた。
僕は、僕の言葉で彼女を傷つけた。
僕だけに向ける優しさや、僕だけに見せる妖美な顔も…。
もう見ることはできない。
僕が彼女を傷つけたから、彼女はきっと僕の事を恨むだろう。
僕は涙が止まらなかった。
ゴキブリを無理やり食べさせられるよりも、タバコを皮膚に押し付けらる痛みよりも、ただただ、清らかな彼女を言葉で刺してしまった事が苦しくて、悲しくて、僕は声をあげて泣いた。
続く