第23話/言靈
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「順平君から離れて!!」
佐山がタバコを口から離したとき、いつもならこの声が聞こえると、胸が高鳴って、全てが幸せになるのに、今は聞きたくないというか、ここに来ちゃいけない人物の声が聞こえた。
「おっ咲桜じゃーん。いい時にきたね」
伊藤は嬉しそうに、咲桜の肩に手を回そうとしたけれど、咲桜がすぐにその手を払い除けた。
「やめて。気安く触らないで」
「え?なんだよ。なんでそんな怒ってんの?」
「怒るでしょ!寄ってたかって!何が不満なの?!彼が貴方達に何かした?!」
「アイツ見てるだけで胸くそ悪いんだよ。咲桜といちゃつきやがって、俺の咲桜なのによ!なぁ咲桜。アイツと別れろよ」
「何言ってるの…気持ち悪い」
「あんなヤツのどこがいいんだよ!捨てろって!」
言い争う伊藤と咲桜の声をよそに、タバコをふかす佐山は、突然口を開いた。
それは、僕だけに聞こえるくらいの音量だった。
「俺達はさぁ…ぶっちゃけアンタと咲桜ちゃんの色恋なんて、どーでもいいんだわ。翔太は俺らに何でもくれる訳よ。だから翔太の望む事をするだけなの。だからさ…別れろよ」
ギッと佐山を睨む。
「ふーん。まぁそれでもいいけど…?そう言うと思って俺らも手は打ってんだわ…」
彼は吸っていたタバコの火を足で消して、それから意味ありげに、ニヤリと笑った。
「咲桜ちゃんって虫嫌いかな。
お前に食べさせる為のゴキブリ、咲桜ちゃんに食べさせてるとこ動画撮って……あ。根性焼きもいいね」
佐山の言葉に、僕を押さえつけてる本田と西村も加勢する。
「気絶したら、俺らで輪姦
「ハメ撮りも撮って売ったらそれなりの金になるかも!翼より断然可愛いしな」
ゲラゲラ笑う西村と本田。
「吉野ちゃんが一言『別れる』って言えばいいんだよね」
佐山が新しいタバコに火をつけてふかした。
この臭いは嫌いだ。
嫌なことばかり思い出す。
「咲桜とは…別れない。別れたく…ない」
佐山は「せっかくチャンスをやったのに…」とため息をついて、虫かごを手に、言い争う伊藤と咲桜の間に割って入った。