第22話/秘密共有
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順平君の『秘密』は、悲しいものだった。
順平君の事を私はなんにも知らなかったんだなぁって痛感した。
それからもっと知りたいと思ったし、私の事も知ってほしいと思った。
順平君にぎゅーってされていると、ざわついた心も落ち着く。
温かくて、優しくて……。
「咲桜には、『秘密』はないの?」
上から降ってきた言葉に私は顔をあげた。
「私の…『秘密』?……」
「ない?……もし、あるなら僕は知りたいな……あっ勿論無理にとは言わないよ!…」
言いたくなければいいんだ。
って気を使う順平君。
私は自分の『秘密』があるか考えた。
『秘密』かぁ…。
そうだなぁ……。
あっ。
でもあれは『秘密』と言えるのかな…。
「『秘密』かどうかわからないけど…みんなが知らない事ならあるよ」
「教えてくれる?」
「うん!…ちょっとまってね」
私はベッドから立ち上がって、勉強机の鍵がかかる棚から、木箱をとった。
それは、手に収まるくらいの木箱で蓋には何かのマーク。
木箱は古くてところどころ黒ずんでる。
ほんのりお香の香りがするそれと、それから木箱の下に置いていた古い書物手にとって、順平君の左側に座った。
「私の『秘密』はこれ…」
まずは、木箱の中をみせた。
慎重に木箱を開けると、中には翡翠の勾玉が入ってる。
「これは…勾玉?」
「そう。翡翠の勾玉。私はお母さんから貰って、お母さんはお祖母ちゃんから、お祖母ちゃんはひぃお祖母ちゃんからってずっとずっと女の子に代々受け継がれてるもので、凄く大事なもの…らしい。それから、この書物も、翡翠の勾玉と一緒に受け継がれるんだけど……私にはなんて書いてあるか読めないんだ…勾玉も書物も、誰にも見せちゃいけないって…」
「え?それってまずくない?」
書物を手にしていた順平君がわなわなと震えてる。
「だから『秘密』なんだよ」
「そ。…そうなんだ。……それにしてもこれ相当古いものみたいだね。……書かれてる文字は何なんだろ。漢字でもないみたいだし」
「ね。いつの時代のものかもよくわらないってお母さんも言ってた」
怪文書の書物をペラペラと丁寧に捲っていたのを閉じて、私に視線を向けた。
「そうなんだ。咲桜はもしかしたら、稀有な血筋なのかもよ?」
「えーーそれはないよ。でも絶対になくしちゃいけないって事と、後世に残さなきゃいけないって言われたよ」
これって『秘密』になるかなって順平君に聞いたら「これはトップシークレットでしょ!十分すぎるよ」って目を丸くするしながら言ってた。
よかった。
順平君と『秘密』の共有ができて。
これで、二人きりの世界ができたかな。
続く