第22話/秘密共有
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母さん以外誰にも見せたことのないおでこの傷痕を、咲桜に見せた。
「ごめん…嫌なもの見せたね…でもこれが僕の『秘密』」
「その跡……どう、したの……?」
「根性焼き…って知ってる?」
ふるふると顔を首を振る咲桜。
そりゃそうだよね。
咲桜みたいに、みんなに愛されて育った子が、知るはずもないよね。
「火のついた…タバコをね。皮膚に、押し付けると…こういう跡が、残るんだよ…」
「え……」
咲桜の瞳が大きく揺れた。
「それって…それって誰がそんな事を……もしかして!伊藤が!?」
「違う……彼じゃない」
父さんなんだ。
閉まる喉から僕は言いたくない言葉を絞り出した。
僕の大好きな彼女の瞳に、じわじわと涙が溜まって、何度も触れた柔らかな頬にいくつもの線ができる。
「痛むの?……」
僕の傷痕を恐る恐る触れる咲桜。
温かくってポカポカした…。
「今は傷まないよ」
タバコを押し付けらた時は気を失うくらい痛かったけどね。
なんていうと咲桜は僕に抱きついて子供みたいに声をあげた。
僕の為に悲しんでくれてる。
僕の為に泣いてくれる。
そんな咲桜に、愛おしさで胸がいっぱいになって、優しく腕を咲桜の体にまわした。
咲桜の髪から香る甘い匂いに包まれると、心が落ち着く。
彼女は、不思議な力を持ってるのかもしれないと思った──。