第20話/邪智暴虐
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そこには、怪訝な顔をした咲桜が立っていた。
「何してるの?」
「おっ咲桜。吉野ちゃんと待ってたんだよ。どこ行ってたの?…」
馴れ馴れしく肩を抱いてくる伊藤に気分が悪くなる。
「職員室に…行ってた」
「もうお昼じゃん?俺と食べようよ」
「やだ」
「なんで?」
「嫌だから」
「は?どーいうこと?俺の事嫌いなの?」
「……」
「なにか言えよ」
伊藤が咲桜の顔を覗き込む。
やめろ。
咲桜と話すな。
咲桜から離れろ。
僕の大事な…。
「咲桜にもう構うな!いこう!咲桜」
僕は咲桜の手を取って構わず走り出した。
ガチャガチャとお弁当から音が立つ。
気づけば僕は咲桜の手を引いて屋上まで走ってたみたいだ。
走りすぎて心臓が痛い。
肩で息をしながら、ドサッと音を立てて座ると咲桜が心配そうに隣りに座って、僕の背中をさすってくれた。
「…大丈夫?」
「うん…少し…休めば大丈夫…」
大きく呼吸して、肺に空気を送り込む。
「順平君…ありがとう…」
「咲桜が…」
「うん…」
「伊藤にまた何かされるかと思うと…耐えられなかった」
だから、走ってここまで逃げてきたんだ。
そう言うと咲桜は少し頬を染めて「嬉しい…ありがとう順平君」と僕の頬にキスをしてくれた。
ほんとは、独占欲と嫉妬心で潰されそうになったなんて言えないや。
でも咲桜のキスで黒い心も落ち着く。
この世界が咲桜と僕だけなら、あんな気持ちにはならなかったのに……。
呼吸も落ち着いたころ。
二人で咲桜が作ってきた天津飯をたべる。
それは、ほっぺが落ちそうなほど美味しかった。