第19話/鎌倉遠足
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僕らは色々巡った。
大きな大仏を見たり、緑の古い電車に乗ったり…。
海に行く前に、神社によった。
さほど人気のない神社だけど、みんなでお賽銭を入れて手を合わせる。
僕は、母さんと咲桜がこれからも元気でいられるようにと、咲桜とずっと一緒にいられるようにと、お祈りした。
お願いごとの数…。
多かったかな…。
ちらりと横を見ると、何かを祈っている咲桜。
目を瞑り顔の前で手を合わせている彼女は、神々しくて見惚れてしまった。
「順平君?」
「え?あ」
「どうしたの?私の顔ばっか見て」
「何、お祈りしたのかなって」
「何って……」
咲桜は何かを考えるように顎に手をおいてニヤリと笑った。
「ひ・み・つ!」
「え?」
「だってお願い事って人に言ったら叶わなくなっちゃうんだよ?」
そうなんだ。
知らなかった。
「でも順平君が教えてくれるなら、私も教えてもいいよ!」
「いや、でも言ったら叶わないんでしょ?」
僕がそう言うと、咲桜はクレープのときの様にほっぺを膨らました。
「ちぇー!引っかからなかった!」
引っ掛ける気だったんだね。
茶目っ気のある彼女も可愛いなと思ってしまう。
制服に着替えて、僕らは海に向かった。
海は、地平線の向こうは、オレンジ色から勝色に変わろうとしているところだった。
僕らは靴と靴下を脱いで波打ち際に立つ。
寄せる波が素足を飲み込み、海水の冷たさに少し身震いがした。
少し遠くで、キャッキャッと楽しそうに叫ぶ咲桜の髪はサラサラと海風にのって流麗としている。
僕の視線に気づいて手をふって笑いかけてくれる君に、僕は手を振り返した。