第24話/映画館
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あの後私はどうやって家に帰ってきたのか、何もかも覚えていない。
ただ鮮明に、高画質で高音響に、彼から投げられた言葉だけは覚えている。
彼からの言葉はずっと頭の中で焼き付いたみたいに何度も、何度も……。
響き渡る。
そのたびに、息ができなくなる。
どうやって空気を吸って、吐くのかわからなくなった。
伊藤に頬を切りつけられた時よりも、深く、鋭く痛む。
彼と、映画を見たこと。
思いが通じ合った時のこと。
初めてのキスをしたこと。
学校をサボって街を散策したこと。
私のハジメテを捧げたこと。
毎日彼の事ばかり考え、彼の事が大好き『だった』時のこと。
目が回りそうなほど、彼とのことを思い出すたびに、心も
彼がいたなら、彼はそっと抱きしめて泣き止むまで待ってくれる。
だけど今はもう……。
なんて考えると涙の量に拍車がかかる。
カランを全開にした時のように涙が流れ、髪や頬や枕まで濡らしていった。