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逆行した善逸が原作始まっても幼児な件



その日、善逸は宇髄が任務であるため、炭治郎たちが滞在していた蝶屋敷に来ていた。


炭治郎と伊之助は善逸と簡単な遊びをしていた時に、善逸が突然はっ!とした。




善逸「たんじろー、きょーはにがつのなんにち!?」


炭治郎「え?確か……今日は2月……8日だな」


善逸「!!!」


伊之助「なんだ?何かあんのか?」


善逸「おいわい!おいわいしなきゃ!」




善逸がたいへんたいへんと慌てているのを炭治郎が落ち着かせる。




炭治郎「落ち着け善逸、何があったんだ?」


善逸「きょーはね!とみおかしゃんのたんじょーびだよ!」


炭治郎「えぇ!?」


伊之助「半々羽織の誕生日なのか?」


炭治郎「知らなかった……善逸、よく知ってたな?」


善逸「それはねー……」




そう言って善逸が出したのは、小さめの紙を数枚重ねて上の部分で簡単に留めたいわゆるメモ帳だ。
善逸はペラペラとそれをめくると、炭治郎たちに見せた。




善逸「みんなのたんじょーびはちゃんとここにかいてあるの!」




そのメモ帳のページには柱などの人達の誕生日が書かれていた。




炭治郎「そうか!善逸は偉いな!」


善逸「うひひ!」




善逸はそのメモを指さし、「ほら!とみおかしゃんにがつのはちにち!」と教えてくれた。




炭治郎「それじゃ、冨岡さんの誕生日祝いをしないと!」


善逸「しゅるー!!」


伊之助「なんだそれ!俺もやるぜ!」




だが、冨岡義勇と言えば、口下手でほとんど話さないことで有名だ。
鮭大根が好きなのは知っているが、それくらいしか炭治郎は知らない。




炭治郎「だけど、何をあげればいいんだ……冨岡さんが喜ぶものって鮭大根しか思いつかない……」


伊之助「つやっつやのどんぐりやろうぜ!」


善逸「うーん……」




善逸が頭に電球が出たように見えるような閃き方をした。




善逸「おれがしゃけだいこんちゅくゆ!」


炭治郎「駄目だ」


善逸「えー!!」


伊之助「なんでだよ?」


炭治郎「善逸はまだ小さいから、料理なんて危ないだろ?包丁とか、火とか……」


善逸「じゃあ、たんじろーといのしゅけとちゅくゆ!」


炭治郎「危ないから、俺たちが一緒でも駄目だ!」


善逸「えー……」


伊之助「じゃあどうすんだよ」


炭治郎「うーん……料理を作るんじゃなくて、何か買ってあげたらいいんじゃないか?」


伊之助「衣のついたアレ買おうぜ!」


善逸「しょれはいのしゅけがしゅきなやちゅ!とみおかしゃんのおいわいでしょー!」


炭治郎「食べ物とか……何か実用的なもの……冨岡さん、髪を結ってるし、結い紐なんてどうだろう?」


善逸「!しょれ!きれーなひもにちてあげよ!」


炭治郎「よし!それなら店に行こう!」


伊之助「俺は山に行くぜ!つやっつやのどんぐり探す!」


炭治郎「暗くなる前に帰ってこいよ」


伊之助「子分共もな!!」




そう言って伊之助は「猪突猛進」と叫んで山の方角へ走っていった。




炭治郎「それじゃ、行こうか善逸」


善逸「あい!」




炭治郎は禰豆子の寝ている部屋に善逸と共に訪れて、こそこそと小さな声で二人でいってきます(善逸はいってきましゅだった)と言って出かけた。




町で雑貨屋に入ってみると、優しそうなおばあさんがいらっしゃいと言ってくれた。
二人は髪飾り売り場を見つけて覗き込んだ。




炭治郎「冨岡さんのものだし、派手すぎない方がいいか?」


善逸「うじゅいしゃんみたいなはではでなのはやめたほうがいいよね」




二人はうーんと悩んでいた。




炭治郎「そうだ!冨岡さんは目が青いから、青色の結い紐にしよう!」


善逸「いいね!どれにしよー……」


炭治郎「あ……」




炭治郎の目に入ったのは青と黄色で編まれた綺麗な結い紐だった。
炭治郎は冨岡が善逸を大切にしているのを知っている。
冨岡が善逸と一緒にいる時、冨岡から優しい匂いがするのだ。
青は冨岡の目の色、黄色は善逸の髪と目の色。
一緒にしたら喜んでくれるんじゃないかと思った。




炭治郎「善逸、これにしよう」


善逸「え?しょれあおだけじゃなくて、きいろもありゅよ?」


炭治郎「善逸の色もいれてあげよう、きっと喜ぶよ」


善逸「え?い、いいのかな?」


炭治郎「もちろんだ!さぁ、買おう!」


善逸「よろこぶかなー?」




炭治郎が結い紐の金を出した時、善逸が慌てたように自分のがま口財布を開けようとしていた。
なかなか開かないため、泣きそうになっていたが、炭治郎がそれを開けてやり、善逸が持ってきたお金のほんの少しを出した。
善逸は「しょれじゃしゅくないよ!おれもおかねだしぇる!」と炭治郎の足にひっつくが、炭治郎は笑うだけでそれ以上は出させなかった。


帰りに柔らかいほっぺを膨らます善逸を炭治郎が抱き上げていた。




善逸「おれのおかね、ちょっとしかだしゃなかった!しょれじゃたんじろーのおかねなくなっちゃうでしょー!」


炭治郎「俺はちゃんと管理しているから大丈夫だ。それに、善逸にはまだ贈り物を用意してもらうから、それでいいんだ」


善逸「おれが?なにしゅるの?」


炭治郎「善逸、文字を教えてやるぞ」










『今日の夜に蝶屋敷に来てください!絶対です!善逸が待ってます! 竈門炭治郎』




そんな手紙が鎹鴉から冨岡に届いたのは、昼を少し過ぎた辺りだった。
その日は担当地区の見回りを終えて、屋敷で身体を休めていたため予定もなかった。




(善逸が待っている……なんだ?迎えならいつも宇髄がしている……)




どれだけ考えても義勇には分からず、気づいたら夕方になっていた。
まだ冷え込む季節、日が落ちるのも早い。
早く行かなければ暗くなると思い、義勇は蝶屋敷に向かった。




蝶屋敷に入ると、きよが義勇を見つけて声をかけた。




きよ「冨岡様!みなさんがお待ちです!」


冨岡(みなさん?)




きよだけではなく、なほ、すみにも案内され、冨岡は道場の扉を開いた。




「「「「誕生日おめでとう(ございます)!」」」」




ぽかんとしている冨岡。
我先にと飛び出したのは伊之助だった。




伊之助「おらあ!半々羽織!」


炭治郎「伊之助、突っ込むな!」


しのぶ「今日は冨岡さんの誕生日ですから、善逸くんたちがお祝いしたいと申しまして……」




しのぶは特例で蝶屋敷の道場の使用許可を出したのだ。




宇髄「ほれ冨岡!うちの嫁たちが作ったド派手な料理だ!たんまり食え!」


しのぶ「さすがに他の柱の皆さんは忙しくて来れませんが、善逸くんが冨岡さんにお祝いしてあげてって言ってますとお手紙を出したので、何かしらの返事はあると思いますよ」




それでもまだぽかんとした状態で突っ立っている冨岡に禰豆子が近づき、目の前で手を振る?




禰豆子「むー?」


冨岡(は!)




冨岡はようやく動き出す。
宇髄、宇髄の嫁たち、しのぶ、アオイ、きよ、なほ、すみ、カナヲ、禰豆子、伊之助、炭治郎、そして善逸を見て、ようやく今日が自分の誕生日であることを思い出した。




冨岡「誕生日……か……」


伊之助「ははーん……半々羽織忘れてたな?」


宇髄「柱ともなると、忙しいからな。うっかり忘れちまうのも無理はねえな」


炭治郎「善逸が覚えてたおかげだな」


善逸「とみおかしゃん!ごはんたべよー!」




善逸が冨岡を集団の真ん中に招き入れる。
冨岡は戸惑っていたが、善逸の楽しそうな笑顔に絆されたようで、そのまま座った。




たくさんの料理は善逸から頼まれた雛鶴、須磨、まきをが作ったもののようで、鮭大根もあった。
中には善逸が好きそうな甘味もあった。
みんなで楽しくワイワイと料理を食べながら話している。
一時の平和を冨岡は顔に出さないものの、存分に楽しんでいた。




宇髄「おい冨岡!これやるよ!」


冨岡「……これは?」


宇髄「俺と胡蝶の合作!藤の毒が塗られたド派手な暗器だ!」


冨岡(暗器とは隠し武器のはず……何故こんなに派手な色なんだ……?)




冨岡に渡されたのは小さめの刃物の暗器。
毒を使って鬼を倒すしのぶの藤の毒が塗られているものだ。
だが、宇髄好みに色を塗られている。
冨岡は宇髄に渡された暗器をしまうための小さな袋にその暗器をしまった。




伊之助「俺はこれだ!つやっつやのどんぐり!しかも!松ぼっくりも見つけたぜ!!」




伊之助は冨岡の手にコロコロとどんぐりと松ぼっくりを渡した。
冨岡はやはり顔に出さないが、嬉しそうだ。
禰豆子は押し花のしおり、アオイ、きよ、なほ、すみは打ち身などに効くという軟膏、カナヲはシャボン玉の道具を渡した。




炭治郎「冨岡さん!これ、俺と善逸からです!」


善逸「とみおかしゃん!これ!」




炭治郎と善逸が差し出した小さな袋を受け取る冨岡。
中には青と黄色の結い紐と折りたたまれた紙。




善逸「しょれね!とみおかしゃんのめのいろとー……おれの、いろだよ!」


炭治郎「髪の結い紐です!」




冨岡は紙を広げると、そこには歪な、だが可愛らしいひらがなで『とみおかしゃん たんじょーび おめでと』と書いてあった。




善逸「たんじろーがおしえてくれたの!じょうじゅにかけた?」




冨岡は自分の足にくっついていた善逸の頭を優しく撫でて、微かに笑った。




冨岡「ありがとう、善逸」

善逸「うひひ!たんじょーびおめでとー!!」




笑った!?
その場にいた冨岡と善逸以外の心が一瞬一つになった。




冨岡「本当に、ありがとう……」




冨岡が嬉しそうにしているので、良しとしようということで、またみんなで楽しく談笑し、その日は平和に終わった。




冨岡にとって大切な日になった。




冨岡は善逸に会いに行く日は必ず貰った結い紐をつけていくようになった。




後日、冨岡の元に柱たちからの誕生日祝いの手紙が届けられたという。(不死川からは誕生日らしいなの一言、伊黒からは長い指摘のような手紙だったらしい)










冨岡の屋敷にある、一つの箱の中には軟膏、シャボン玉の道具、押し花のしおり、つやつやのどんぐりと松ぼっくり、派手で毒が塗られた暗器、そして善逸からの手紙が大切に入れられていた。
















2月8日
冨岡義勇誕生日おめでとうございます。



















宇髄さんは善逸が冨岡祝いたいということで急いで任務終わらせました。
禰豆子はしのぶと一緒に押し花を作りました。

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